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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第五部 主と建国せし道 第一章 ジャンカの町 闘技大会

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997/1120

戦パート 混沌のロキ勢力VS両星のルイン勢力 戦いの幕引き

幕引き部分なので滅茶苦茶長いです。

空白除いてギリギリ5千文字以内にはおさめました!

一杯消しました……。

 借り物の力で空を飛ぶ俺。

 念願の夢が叶ったのにこれっぽっちも嬉しくないのはなぜなのか。

 それは……憂鬱な銀色の雲が視界にあるからか、或いはもう、自分で飛ぶより竜に乗る

方が良かったからかもしれない。


 グングンと天高く昇って行き、雲に手が届く位置まで来た。

 そして……あることに勘違いしていたことに気付く。

 この世界……空が無限に続くのかと感じる程、空の果てが見当たらない。

 太陽らしきものは存在するのだが、太陽とも異なる方法で、ゲンドールには光が及ぶの

だろうか。


「やっぱ、異世界なんだよな……ここ」

 

 目の前にある銀色の雲。

 この雲がバルシドニアなのか? 或いは姿が変わり襲って来るのか? 

 分からないことが多いが……まずは近づいてみよう……そう思ったが、答えは直ぐに出た。


 

「かつて、ゲンドールには古代種と言われる生物が沢山いたんだよ」

「……ロキ、か」

「それでね。その生物たちはさ。好き勝手生きてたんだ。でもね、彼らが好き勝手生きて

るとさ。他の生命体が作れないっていうからさ。管理させたの。誰にだと思う?」

「絶対神だろう。お前が、その生物を管理する神だとでもいうのか」

「そうそう。だってさ……彼らは大陸を消滅させるほどの力がある。それってさ、凄く混

沌的なことだと思わない?」

「お前の行動は理解出来ない。理解する気もない。俺の目的はお前を封じるか、阻止する

ことだ」

「まだ話したいことがあるんだ。実はさ、女王に手出ししたんだよ。そしたらね、何が起

こったと思う? 彼女にね、痛めつけられたんだ。凄いよね? 上位神に立ち向かう力が

あるんだよ? でもね、あの力を手に入れるよりさ……君を手に入れれば直ぐ手に入るで

しょ? だからね……この戦いに勝ったら、その体を頂戴ね」


 俺が負けても魂はこいつにやるつもりはない。

 必ずタルタロスが回収するだろう。

 そして……俺は負けない。

 こいつがどんな卑怯な手段を取ろうとも。


「バルシドニアを覚醒させるためにはね。条件があるんだ。だからね、それまで最強の(ツワモノ)

を用意したから遊んでよ。君好みに拾って来た魂なんだ。気付いてた?」

「ああ。剣客たちの魂を引っ張って来たんだろ」

「なんだ、気付いてたのか。どうだった? 楽しかった?」

「お前と戯言を重ねるつもりはないが、一言だけ言わせろ。人で無ければそいつらはもう武人じゃない

んだ。信念が変われば戦いは弱くなる。お前がどんな魂を集めようとも……」

「フェイツ、ストーボー。せっかく楽しませてあげようと思ったけどさ。そういう素直にいえ

ないところは直してあげるからね」


 奴の声が何処から聞こえてくるのか不思議だったが、銀色の雲をずっと眺めていてようやく分かって

きた。

 ロキってのは本来形を持つような存在じゃないんだ。

 いきなり現れておちょくったり、実体がないまま話して来たり、ミレーユ王女のような姿だったり。

 こいつ自身はきっと、目に見えないような存在に違いない。

 だが、何処にでも現れるような存在ってわけでもないのだろう。

 それは恐らく……こいつが関与出来るのが雲なんだ。

 雲から実体のようなものを作りだしている。

 ロキの倒し方は分からない。

 だが、まずは……正面に現れた翼を持つ人型の戦士二名。

 こいつらは七刃の残りか。かなり強そうな奴らだが……。

 一人はエンシュを思わせるような抜刀姿勢。

 一人は……何だこいつは。まるで構えてないが、威圧感が半端じゃない。

 どちらも所持しているのは日本刀のように思える。


「おいルイン」

「ここは俺たちに任せろォ!」

「封印してそうそう悪いな。それより二人とも。ロキの倒し方と、バルシドニアについて知らないか?」

「ロキについては分からぬゥ。だがァ、バルシドニアはまだ目覚めておらぬようだァ」

「俺も実際見たことはねぇが、バルフート、バルシドニアが合わさって災厄となるって聞

いたことがあるぜ。だが、バルフートだけでも十分天災じゃねえのか」


 ……まだ覚醒される前で、バルフートがいなければ災厄とはならないってことか? 

 いや、悠長に考えてる余裕はなさそうだ。


「最強竜が一角、魂吸竜で相違ない。相手にとって不足無し」

「……無駄な殺生は好かぬ。しかしながら、降り掛かる火の粉は払わねばならぬ」


 ストーボーにギオマが、フェイツにベリアルが戦いを挑む。

 ストーボーは低い姿勢で身構えたまま、撃って来いと言わんばかりにギオマを挑発する。

 ギオマは当然、この挑発に乗り、その巨体から繰り出すおぞましいブレスを吐き出した。

 魂を打ち出すブレス……対峙して敗北した者の魂を喰らう恐ろしい竜だ。

 その魂を凝縮されたエネルギーとして打ち出すその威力は凄まじい。

 

「柳生新陰流、無刀の位」

「ぐ、ぬゥーー!?」


 抜刀術でも使うのかと思いきや……刀は抜かず、体捌きでブレスをはじき落してみせた。

 

「陰流、月影」


 もう一人の男……フェイツが更に追い打ちをかける。

 瞬速の弧を描く太刀でギオマにかなりのダメージを与えてみせた。

 なるほど……とんでもない剣客を拾ってきたな、あいつ。

 柳生新陰流と剣聖上泉信綱。

 こんな場所で剣聖の腕を見られるとは。

 

「こう……か? 月影!」

「っ! 何だと。小僧、貴様見様見真似で何故出る!」

「陰流は、好きだったから。完全に模倣出来るようなもんじゃないけど。ついでに無刀の位ってのは思想

の話だろう。実践で刀を抜かず相手を倒すための方法ってわけじゃない」

「我らの意を、貴様が何故知る……いや、転生者だったからか」

「それもあるけど、あんたらは恐らくしがらみが強すぎる。この世界はもう、前世の世界とは違うんだ。

だからな……流星!」


 瞬間で移動する方法なら手に入れてる。

 もう、アースガルズで戦ったときの俺はいない。

 こいつらを見ても、それほど驚かないほど実力がついていた。


「二人とも。ここは任せる。俺はあの雲を調べて来るから」

「ふぬゥ。やりおるではないかァ。だがこの程度、痛みを覚える程のものでもないわァ」

「こっちは任せておきな……少しは楽しめそうじゃねえか。クククク」


 借り物の力も何処まで持つか分からない。早く解決しなければ。

 俺は一人、銀色の雲に触れ……たと同時にその中へと吸い込まれていく。

 これはまさか【領域】か!? 

 空中にいたはずの俺が、今は銀色の地面の上に立っている。

 時折ギオーーーというような鳴き声が聞こえる気がした。

 そして、俺の正面には、膝を抱えて座り込む……銀色の人の形を模した小さい何かがい

た。


「待ってたよ」

「お前の存在を感じてから、嫌な予感はしてたんだ」

「なのに、来たんだね」

「バルシドニア。こいつと……お前は一緒なのか?」

「同化したんだ。そしたら、分離出来なくなった」

「哀れだな」

「でもね。君を手に入れたら、その束縛から逃れられる気がする。だって君は何でも取り

込む能力があるんでしょ?」

「何でもかは分からない。でもな……混沌に加担するようなことはしない。ロキ、お前を

……バルシドニアを倒して俺は先に進まなきゃならない。散々な目にあわされたが、これ

で終わりにしよう。封剣、剣戒」

「実体が無いのにどうやって戦うの?」

「さぁな。混沌と戦う方法なんて見当もつかない。だが、方法はあるはずだ」

「……いいよ。バルシドニアがどれほどの力を有するのか、君に分からせてあげる。人型で

戦うのも……そうだ、いい姿で君と対峙しようかな」


 銀色の塊は姿を変え……銀色のメルザとなった。

 相変わらず、胸糞悪いことをしてくるやつだ。

 だが……「視覚的な意味は、俺には関係ない」

「つまらないなぁ。もっと動揺して欲しいのに、目を閉じちゃうなんて」

「悪いが……お前に勝ち目はない」


 瞬時にロキへと近づくとその塊を包むように、抱擁した。

 いや、正確には抱擁しているようでしてはいない。


「どうやって……触れたんだ」

「さぁな。絶対神にでも聞けよ」

「混沌までも、飲み込むっていうのかい? 君が受け入れられるとでも?」

「混沌と戦う方法なんて分からないって言っただろ。でも、混沌という存在が必要だから

お前が生まれた。それだけは理解出来る」

「うふふふ……君が進んで私のものになってくれるなんて……うっ、これは……」

「俺はお前のものじゃない。お前が……俺のものになる。バルシドニアとやらが覚醒する

前に、お前もろとも俺へと取り込んでやる」

「ふざけてるの? 神を……たかが魔族如きが取り込めるはずがない! そんなはずある

わけない! 本体で君に近づいたから? 嫌だ、君を取り込む算段が、こんな苦労し

て近づいたっていうのに。全部、近づいただけで無駄に終わる? 嫌だ、そんなの!」

「安心しろ。お前の魂は、タルタロスに渡してやる。俺が欲しいのはお前じゃない。バル

シドニアだけだ」


 銀色の塊。それは溶けるようにして俺の身体へと流れ込んでいった。

 ……これは、メイショウが持つ力の影響だろう。

 取り込んだというより封印に近い形で、ロキを体に取り込んでいくようだ。

 あらゆるロキの情報が俺へと流れ込み……こいつという存在をよく理解した。

 戦えるような相手じゃないというのが答えだ。

 そして、バルシドニアも、本来であるならこんな形ではない。

 メイショウが恐れていたバルシドニアは、バルフートと融合して一匹の銀色の雲翼を持

つ竜となり、バルヘレスとう超破壊現象を引き起こす。

 最初からそうしなかった理由は簡単だ。俺と……メルザ、そして賢者の石を入手しようと

していた。

 そして何より奴は神として混沌を引き起こし続けねばならない。

 皮肉なものだ……混沌を生むために行った行動が、自らを滅ぼす原因作りとは。


 バルシドニアの領域と思われた場所は、ソレを取り込んだ瞬間に消えてなくなった。

 残るは……「フェイツとストーボーだったな」


 ギオマとベリアルが激しい死闘を繰り広げていた。

 俺がメイショウから与えられた力の影響を強く受けているせいもあり、戦いに困惑して

いるようにみえる。

 俺も同じだ。対象とした相手を強制的に取り込んでしまう。

 こんな恐ろしい力、さっさと返却したい。

 絶対神の目線ってのは恐ろしいものだ。


「ロキ様をどうしたのだ!?」

「取り込んだ。もうお前たちに戦う理由はないはずだ」

「とり、こんだ……神を取り込んだと? つまり貴様は神だとでもいうのか?」

「神みたいな力を借りたに過ぎない。終わればただの……魔族だよ」

「主無くば志失われ何に生きよう。我を葬るは我にのみ許されしこと。敗軍の将

に撤退無く、敗軍の将に命無し」

「てめえ、何言ってやが……」


 言い終わるより先に、自尽してみせるフェイツ。

 ストーボーは剣を放り捨て、去っていった。

 あっけない幕引きだが、転生した魂ってのは主が消えてもそのままなんだな。

 ――ゆっくりと地上へ降り立つと、ベリアルとギオマが首を傾げる。

 

「おい。これで終わり……なのか?」

「分からない。まずはメイショウの下に……」


 うふふふ……終わらないよ。

 君の取り込む力はもうつかんだ。

 さぁ、始めよう。

 最終戦を。



「……そんな簡単な相手……ってわけじゃねえよな、やっぱ」

「無理やり、封印から出て来たか……バルフート、それにバルシドニアも」

「うふふふふ……諦めない、諦めないよ。封印者を殺せば外に出られる。君を失うのは

辛いけど、主を襲えないわけじゃなさそうな封印だね。いいよ、君が死んで私も死んで。

そして改めて一つになろうよ」

「……これが、バルフートの真の姿?」


 その竜は数万もの手が生えた、銀色の雲の翼を持つ恐ろしい姿をしていた。

 大地をしっかり手でつかみ、頭を上にした姿勢で、今にも何かを放出しようとしていた。


「やべえ! この大陸ごと消し飛ばすつもりだぜ! おいギオマ! 分かってやがるだろうな!」

「ふぬゥ! 誰にものを言っているのだァ! 魂吸のブレス、とくと味わえェ!」

「ルイン、おめえも何か撃ちやがれぇー!」

「二人とも落ち着け……バルフートよ。そのまま、動くな」

「……」


 ロキはまだ理解してないようだ。

 神は支配する側。支配されたことがない。

 支配とは……こうするものだ。


「ラーンの捕縛網……モード、スライム三号。スライムの体内、悪くないだろう? ロキよ」

「何で、何で何で言うことをきかない!? 外に出れた。融合も出来た。バルフートとバルシドニアも

くっつけたのに、何で、どうして? 何をしたの? 封印は理解したのに。どうして、どうしてだ! 

動けよバルフート! もうちょっと動けばあいつの絶望した顔が見れるのに! もうちょっと、もう

ちょ……」

「混沌のロキ。お前の……負けだ」

戦パートはこれで終了となります。

後日談としての記載を明日投稿いたします。

主人公視点なので戦場を描く場面が少なかったので、書いててもっと書きたい部分が多いなと感じました。

これも経験ですね。筆者は戦国ものが大好きなので、違う作品では本物の戦を表現する小説も書くと思います。

ファンタジーものの戦で制限かけてないとかなりぶっ飛びますね。

やっぱ空飛べるのって完全ぶっ飛びファンタジーですね。

ちなみにルインさんが飛翔したのはメイショウから預かった一時的な力で、返却されます。

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