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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第五部 主と建国せし道 第一章 ジャンカの町 闘技大会

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第八百五十話 冴える睡眠の中

明日より異世界転生 我が主のためには一日一話投稿を目標に投稿いたします。

その分は他の作品を完結に向けて執筆して行こうと思いますのでよろしくお願いいたします。

他作品が完結したら、次回作を執筆開始いたします。

我が主のためにはまだまだ続きますー!

「……ここは、確実に夢だな」

「だえー」

「……」


 俺は先ほどまで確かにクジラモドキの中にいた。

 しかしここは南国のビーチ。

 暖かささえ感じ取れるその場で、俺たち三人は海パンを履いて立っている。


「バカンスしたいなんて思ってなかったんだけど、何でこうなったんだ?」

「だえー。頭の中に思い描く安らぎの空間のどれか一つを無作為に選んだ結果

だえー」

「俺の頭にこんなシーンなんて……あっ」


 そーいや死ぬ前に最後読んでた小説が、南国ビーチ物語とかいうふざけた題名の小説だった

から、それが影響したに違いない。

 読んだと言っても目で見るのではなく、|デイジー《Digital Accessible Information System》図書という朗読サービスだったわけだが。

 内容は、水着ギャルを追っかけるもの……などでは決してない。

 南国リゾートでダラダラと酒を飲み、ハンバーガーを貪り珍妙な人たちと踊り狂ったり

する。

 最後は何故か南国に移住を決意して家を建て、喫茶店を始めるという無謀過ぎる終わり

だったのを記憶している。

 その続きの方が気になるので探したが、続編は出ていなかった。

 きっとそのせいで深く記憶しているのだろう。

 だが、残念ながらその店は此処には無いようだ……。


「……まぁ海の中にいたわけだし、一番連想されやすくても仕方ないか。ちゃんとビーチ

パラソルと椅子まであるな」

「だえー。ここもよく眠れそうだえー。ルインの頭の中、面白そうだえー」

「覗くなよ。考え事でパンクしそうなんだから。まずクジラモドキから出る方法を考えよ

う。おーいプリマ?」

「寝てないだえー」

「そうか……やっぱ一人で考えるか」


 南国ビーチに獣耳プリマがいないのは少々残念だが……いや、そもそも何でタナトスと

ヒューメリーが俺の夢にいるんだ? 

 こいつらの能力のせいか……。それも今は置いておこう。


 まず、俺の能力で外へ出るにしてもバネジャンプだけじゃ無理だ。

 内部をトウマで滅茶苦茶にするとか? いや、こいつが仮に死んだらそれこそ俺たちは

海の藻屑となって消えるだろう。

 吐き出すにしてもここは口の中ではない。

 通常の呼吸をするタイミングで外へ出ると、吹き飛んだ勢いでバラバラになるだろう。

 後はよじ登り噴気孔へ行くか……穴を開けるとかか? さすがに激痛で暴れるか。

 いや待てよ。暴れさせれば吐き出そうとするか? 

 その中で勢いが強くない頃合いを見計らって出れるんじゃないだろうか。

 それか、封印を試みるかだが……果たして内側から封印なんて出来るのか? 

 こんなデカブツ封印しても外へは出せないだろうが……凄い技が使える可能性もあるな。


「ヒューメリー。こいつって妖魔として取り込めると思うか?」

「すぅ……すぅ……」

「寝てる……タナトス、お前はどう思う?」

「……」

「こいつも寝てるか。俺も少し寝るべきなんだろう……」


「少しは休んでくだされ……」そんなルジリトの声が聴こえたような気がしたので、その

まま椅子の上で少し眠ることにした。

 すると、とても安らかな心地を覚えた。

 時折ザーッという寄せては返す波の音が心を落ち着かせる。

 ……確かにあの本が描いていた主人公のように、こんなところで喫茶店でもやれたら幸

せかもしれない。

 そう感じさせる程、良い心地のものだった。

 何時かこういうところに……。



 ――どのくらい時間が経ったのだろうか。

 ずっとこうしていたい。そんな気分にさせられていたが、紅色の少女と、その少女が抱

える子供の顔が脳裏に浮かんだ後、四人の子供たちの顔が次々に頭の中に浮かんで、慌て

て跳び起きた。


「こんなことろで悠長にしてる場合じゃない……あれ、随分疲れが取れたな」

「だえー。疲れたときはぐっすり眠るんだえー」

「お陰でなんとかなりそうな自信が着いたよ。有難う、ヒューメリー」

「だえー」


 ヒューメリーが「だえー」と言った瞬間、情景が変わり横たわっている自分に気付く。

 まず、此処がクジラモドキの肺であるなら傷つけるのはまずい。

 もしかすると海底を泳いでいる状態かもしれない。

 海の底では離脱しようにも出来ないだろうから、その場合こいつを浮上させる必要が出

て来る。

 鼻栓が閉じているから……そこを傷つければ恐らく害をなすものが入ったと、放り出そ

うとするはず。

 そのタイミングで直ぐに出て飛べば、脱出出来る……かもしれない。 

 或いは封印も肉部分であるなら出来るかもしれない。

 まずはその場所へどうやって向かうかだが……試してみる価値はありそうだ。

 それにしても……「はぁ。パモ、腹減ったよ」

「ぱみゅ……」

「そう、パモ。腹減った……あっ」


 俺はすっかり忘れていた。パモが黒衣に封印されていることを! 

 しかし今の状態でパモは確認出来ない。

 アメーダもプリマも普通に出て来ていたようだが、パモは出れないのか? 


「ちょっと待ってろ……」

【絶魔】

「ぱーみゅ!」

「この形態なら……ってその姿!? パモは形態変化するのか」


 絶魔で出て来たパモは、いつもの白いふわふわパモからグレードアップし、モコシロ感

七割増しのパモとなっていた。大きさも俺の腰くらいまではあるだろうか。

 しかし絶魔でないと出れないってのは困るな……もっと黒衣を自在にだせるようになれ

ばいいのだが。

 絶魔を解除しても戻らないってことは、封印から出すタイミングで力の影響を分け与え

ているのかもしれない。

 ……あれ? そういえばプリマは何処にいったんだ。


「ぱみゅ!」

「ああ、悪いな。スッパムか! 有難うパモ」 

 パモはスッパムを幾つか出してくれた。

 ジャンカ町にはしっかりと植え替えたスッパムの木が沢山ある。

 

「だえー。美味しそうだえー」

「ヒューメリーたちは食べなくても平気なんじゃないのか?」

「平気だえー。でも美味しそうだえー」

「食ってみるか?」

「だえー。いいの?」

「ああ。タナトスももう起きてるんだろ。食ったら作戦を伝えるぞ」

デイジー図書とは、主に視覚障がい者向けによく用いられるデジタル録音図書の

国際標準規格です。アイサポートを通じて多くの視覚障がい者に利用されております。


 著者はあまり利用しておりませんが、社内CSR活動の一環で、日本点字図書館へ寄付

する仕組みを会社に構築しました。

 とはいっても著者が執筆しているのは今のところ現実で伏せていますので、知ってる人

は殆どおりません。

 少しでもそういったサービスを提供するボランティアさんが楽になってくれればいいな

と思っています。

 ちなみに、南国ビーチ物語は著者の妄想本ですので、行っても無いと思います(笑)

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