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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第五部 主と建国せし道 第一章 ジャンカの町 闘技大会

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第八百四十話 イプノティズモス

「さて、それじゃ早速特訓しようか。丁度お嬢さん二人もいるし、この二人と同時に戦っ

てみよう」

「それ、決勝戦よりきつくないか? どっちも優勝候補だと思ってるんだけど」

「ルインと戦っていいのか? でもここだと歪術使えないんだよな」

「あなた様と対峙するのはもう少し後だと思っていたのでございますが……承知したので

ございます」


 二人とも結構やる気だ。

 本当にそんな力があるなら、試してみたい。


「気付いたと思うけど、君は枷を外した。常時枷を付けていた影響か、第七感解放状態で

いても何ら変わらず行動出来ているだろう。その状態だけでも十分な強さだが、絶魔は半

端な強さではない。この私を今の状態であるなら殺せてしまう程危険だ。そして君の力

は誰かを取り込めば取り込むほど増大する。すべての装備を所持した上で対峙したら、手

が付けられない程だろう。もし君が更なる力で国を守りたいなら……覚悟を決め、その二

人を封印することだ。その、黒衣にある腰部分にね」

「黒衣の腰? そもそも黒衣なんて着用してないぞ」

「いいから。真化してみなよ。直ぐに分かる」

「まぁ、やってはみるけど」


【絶魔】


 真化を行おうとしたが、いつもの真化とは明らかに違う。

 両腕が熱くて焼けるようだ。

 そして、酒を一気に飲んだかのようにクラクラする。

 一番熱いのは……目だ。これはまずい。目が開けられない。

 

「うう……目が熱い! これまずくないか」

「安心しなよ。目だけに頼るから七感を上手く扱えない。君なら分かるだろう?」

「そんなこといっても……くそ、意識が刈り取られそうだ」

「そこは……目の前の二人を失いたくないなら、頑張って」

「……くそ。それで同行を許可したのかよ!」


 強い高揚感……なんて言葉程度じゃ表せないほど、湧き上がる戦闘意欲。

 熱すぎる目をゆっくり見開くと……俺は黒衣を身に纏い、既にコラーダとティソーナを

構え、右肩上にレピュトの手甲が存在し、その手にはクルージーン・カサド・ヒャンが握

られていた。


「神剣ソフド。またの名をクルージーン・カサド・ヒャン。光剣として知られる有名な剣は

その形態に認められているようだね。でも今の君なら常時使えるんじゃないかな」

「ソフド? そんな名前の剣だったのか……」


 そんなことより気を抜くと直ぐに意識が無くなりそうだ。

 これに慣れろってのかよ。冗談だろう? 

 

「その状態、剣をしまってみなよ。今は剣、必要無いんだから」

「封剣、剣戒……おい、このソフドって奴どうしたらしまえるんだ?」

「さぁ……」

レピュトの手甲解放(アンディグラフォ)……げっ。消えない。右手に移して……おい放せレピュトの手甲。くっそ……」


 無理やりレピュトの手甲から引き剝がそうとするが、ピクリともしない。

 こんなヤバイ剣常時出しっぱなしとか冗談じゃない。罰ゲームだろ、これ。


「そういえばその剣の鞘はどうしたんだい?」

「鞘? そうか。帰る場所が無いから出しっぱなしなのか。ええと、鞘……?」


 よく自分の体を確かめると、腰のところに一本の鞘が何故かある。

 これだろ……というかこいつら神話級の剣はいっつも突然現れたりしてどうなってるん

だ。

 体に内蔵されなければ気が済まないのだろうか。

 

 鞘をひっつかむと、レピュトの手甲が持つソフドを慎重にしまっていく。

 カチリと鞘に納めると、レピュトの手甲からポロリとソフドが離れたので、腰に再度

差した。


「よし。もう時間経過しちゃったけど、その状態で妖術も無しだ。幻術と妖魔の魔を最

大限用いて彼女たちと戦ってみて」

「いいだろう。貴様を巻き込みたいところだがな」

「あ……剣を収納して気を抜いたね。魔族の高揚に飲み込まれたみたいだ。それじゃ私は

檻ごとしばらく消えてるから」


 檻ごと消える? 俺の大切を奪おうとしたあいつを……逃がしていいのか。


「ラーンの捕縛網」

「えっ? それ、持って来てたの? ちょ、駄目だって!」

「黙れ。何か企んでいるのだろうがそうはさせん」

「まずい……鳥の捕縛牢か。まぁ上空からでも檻は消せるけど。黒鳥よ。急いで檻を消せ」


 さて……やり合う相手は娘二人しかいない。

 余暇に過ぎぬが……いいだろう。余暇らしく先ほどの条件で相手をしてやろう。


「ではあなた様、参るのでございます。氷永重斗(コルエジント)!」

「氷術で俺に挑むとは、笑止……こうか、氷永重斗(コルエジント)

「ッ! さすがでございます」


 相殺された絶級氷術を飛び越え、双鎌を構えた小娘が飛び込んでくる。

 その鎌を両腕で防ぎ止めると、後方へ大きく押し返した。


「うわっ! プリマの鎌を腕で止めるなんて、何であんなに硬いんだ」

「これぞ両星の腕。小娘の攻撃で傷など付きはしない」

「では体術勝負でございます。ハッ!」


 押し出した小娘と交代し、娘が至近距離へと迫る。


「撚糸硬殻……む。この糸を見切るか」

「そちらは以前アメーダが破壊したものでございますから」


 放出された糸で出来た硬い殻を、光を発する素手で破壊し尽くすアメーダ。

 その素手はよく見ると氷の鋭い塊で出来ている。

 

「器用な娘だ。我が配下に相応しい。魔の吸引、我が一部とな……」

「はい終了。封印はいいけど吸収は駄目だ。これは相当修行させないと簡単にそこら中殺

しちゃうね」

「な、ぜ、動け……貴様如きの力で!」

「変貌した私が見えていないのかい? ああ、目を閉じてるのか。つまり意識をもつ間し

か実質見えないんだね、君は。(タナトス)催眠(イプノティズモス)



 突如としてアメーダ、ルインの前に現れたタナトスは、黒い羽根をまき散らしながら

双方の間に割って入り、双方へ凶悪な睡眠を施した。

 ルイン、アメーダ、プリマはあっという間に身動き出来なくなる。


「私の睡眠影響を受けない者は、弟のヒュプノスのみだ」

ソフドがホフドになってましたすみません><


ソフドまたはスフトが正しいです。

クルージーン・カサド・ヒャン。中々に面白い伝承がある剣です。

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