表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第五部 主と建国せし道 第一章 ジャンカの町 闘技大会

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

919/1120

第八百二十一話 体験したことがある光景

 ――翌朝。

 昨晩は遅くまでルジリトたちと話し込んでいたため、少々寝不足だ。

 だが、今日から始まる決勝……必ず何か起こると踏んでいる。

 何も無いにこしたことは無いのだが、最悪試合を続けられないことも想定。

 最悪怪我人さえ出さなければ、後日改めて行うことだって出来る。

 しかし……敵と思われる集団が近くにいて、何もせず手をこまねいている

ってのも癪に障るので、こちらもより一層対策をしておいたのだが……。


「主様ぁ。本当に出掛けるだかぁ? 間に合わなくなっても知らねぞぉ」

「ああ。あえて先手を打たせてその後ってより、やっぱ話し合いで解決出来る可能性も視

野にはいれたい」

「装備は本当に腰のそれだけで平気なの? ちょっと心配なんだけど」

「だからミレーユは来なくてもいいって。仮にも一国の王女だろう?」

「あら。言ったはずよ。私はもう王女でもなんでもない。ただの……ミルクレープよ」

「あなた様。良いではございませんか。これもいい修行になるかもしれないのでございま

す」

「プリマも暴れていいんだよな……」

「いやお前らは残れよ……大会始まったら不戦敗だぞ」

「勝ちあがることに興味はございません。メルザ様やあなた様の威光を知らしめられれば

それで十分でございます」

「プリマは勝ちたいぞ! 景品にロブロードの限定ピースがあるからな」

「あの景品のせいでどうみてもオタクっぽいのが参加してたんだけど……」


 そっとロブロードの限定ピースなるものを混ぜたお陰で、一時はシカリーまで参加させ

ろと言い出した。

 仕方ないので別途ロブロードの大会を開き景品を設けると伝えて落ち着かせたが……。

 このわんぱくな子供(ラング)はそんなこと聴きやしない。

 それに、依頼したのは神の遣いエーナにだ。ずっとマミマミ言われて落ち着かせるのに

苦労した。


「とにかく、町の防衛が手薄になっても困る。俺がなんでベルトだけつけてるかわかるだ

ろ? こっちは大丈夫だ。待っててくれ」

「ちぇ。暴れようと思ったのに」

「十分暴れてるだろう……ミレーユは意地でもリュシアンから離れないつもりか」

「空、飛びたい気分なの! あーもう、何で負けた私が褒賞なんか……」

「あの雷帝ベルベディシア初の記念品だぞ。大切にとっておけよ」

「だって見てよこの印。大きく雷の文字が刻まれているだけよ? こんなものに価値なん

て付くと思えないんだけど」

「……センスはどうあれ、絶魔王の一角が許可した代物だ。カーィに作ってもらった杖よ

り価値が出ると思うぞ……」

「はぁ……そうなったら処分してカーィさんに新しくもっといい杖やローブをお願いして

みるわ……さて、私は行くから」

「仕方がございませんね。アメーダは何時でもあなた様の許へ飛べるので、こちらでお待

ちしているのでございます」

「ミレーユが行くならプリマは行くぞ! あれ、そーいやいつも一緒のエンシュがいない

ぞ?」

「ああ、彼はな……特訓中だ」

「ふーん。なら早く行こ―ぜ」


 結局プリマとミレーユが同行する形となり、リュシアンに乗ってベッツェン方面へと向か

う。

 リュシアンは竜形態になると、非常に早く飛ぶことが出来る。

 サーシュより運べる人数も多いが、サーシュは飛翔形態のまま地上へ攻撃出来る能力があ

る。

 その点で、ルジリトは上手く担当を割り当ててくれているようだ。



 ――ベッツェンまでの道のりは、元三夜の町があった場所からさらに西のガルドラ山脈を

越えねばならないが、言うまでもなく飛んでいるので何の問題も無く抜けれる――のだ

が、その南側にある、キメラが住まう場所。俺にとってはトラウマのあるその場所で、煙が

上がっているのを目にする。


「主様ぁ! 煙が見えるけんど、どうするだぁ?」

「あそこはキメラの縄張りだ。移民が足を踏み入れたのか? もしくは……近づいて見てく

れ」

「……ちょっとやばそうよ。見て」

「キメラってあれか。うじゃうじゃいるぞ」

「トラウマだな、これは……」

「トラウマってなんだ?」

「意味合いでいうなら俺の知る国の言葉で心の傷ってこと。複数の語学の集合体だな。近づ

いてくれリュシアン! 助けるぞ!」


 キメラの足にしがみついている奴がいるのを発見した。

 人数は二人。男女のペアだ。

 こんなところで新婚旅行でもしてるのか、こいつらは。


「ちょっと契約してもいいかしら」

「ああ。またやるのか」

「またって何よ。二回だけよ。力借りたの」

「そうだったか……それよりもまずは助けるぞ! 赤閃!」


 キメラに向けて赤閃を放つ。

 それと同時に下へはドラゴントウマを出して置いた。

 昔、このキメラには酷い目にあわされたな……しがみついてる奴らは助けが来たという

より殺しに来たと思っているらしく、ギャーギャーとキメラに捕まり叫んでいた。

 おい、それ以上引っ張ると男のパンツがずり落ちるから止めろ! 

 赤閃を受けたキメラは怒り狂い、リュシアンの方へと向かって来る。

 だが、俺たちは既にトウマの上。

 しがみついている奴らも、キメラがこちらを狙っているのでトウマの上へ舞い降りて来

る。


「ぎゃーーー! 死ぬズリ。死ぬズリー! ズボンもパンツもずり落ちるズリー!」

「うるさいわよトドネ! ちょっと黙ってなさいよ!」

「フージョがいけないズリ! 下も上も死しかないズリー!」

「……なんかこいつ、見たことあるんだけど」

「そんなことより一匹契約するから! ちゃんと支えてなさいよ!」

「はいはい……」

「プリマが歪ませておいてやるよ」

「ありがとプリマ」


 ミレーユは何気にプリマの耳を撫で回しても許される、数少ない一人。

 ギオマが触ろうものなら両手に鎌を出して斬り結びにいくというのに。


「……契約の儀により汝らの意、我に従い喜を持って属せ。

汝の糧は我が魔の威光、汝が欲するは我が根源たる魔也、我が問いに応じよ!」


 淡い光がキメラを包み……プリマにより身動きがとれなくなったキメラ一匹が

ミレーユ王女へ跪き、服従して消えた。

 残りのキメラを次々とプリマが仕留めていく……俺、こいつとまともに戦えるのか? 

 歪術……目の当たりにするとただただ恐怖でしかない。

 ロブロードで負けていたら、俺はきっと目の前のキメラさんと同等な形をとっていただ

ろう。 


「た、助かったズリ……」

「それは、どうかしらね……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ