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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第五部 主と建国せし道 第一章 ジャンカの町 闘技大会

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第八百九話 商売繁盛

 上空に高……すぎると着地で骨折するので程よく跳んでみせた俺は、クリムゾンに対

し、自らの手のひらを向ける。

 カットラスはまだ出さない。出せばクリムゾンには恰好の餌食だとわかっている。

 俺が剣を抜かない限り……アニヒレーションズは使えない。

 何せこっちはいつでも術打ちが可能だからな。


 察したクリムゾンは後方へそのまま移動。

 見物客からはびびってると罵られるが、まったく分かっていない。

 手を伸ばした段階で何かあると警戒し、動きを見定めるやつは回避するか斬撃などを飛

ばすだろう。

 それも一つの手だが、先手を打てば予測した後手ならその裏をかく。

 今の俺なら攻撃されていた場合、シールドで防ぎつつ氷塊のツララで奇襲して、正面に

氷の柱を立て、その上から方向を変え姿勢を崩してカットラスで攻撃できただろう。

 当然後方に退避しても追撃しないわけがないのだが。

 しかし今は実演販売中だ。

 いかに三大鍛冶職人を売り込むか! 

 それが鍵となる。


「その距離、この装備の効果で追いついてみせる!」

「おいあの兄ちゃん速えぞ!」

「装備がどうとか言ってやがる。まさか付与効果の影響か?」

「あの速度が手に入るなら、大会用に買うか……」


 よく見たらルーン国の獣人さんが混ざってらっしゃるじゃありませんか。

 これはいかん。桜だ! しかし今は戦闘中なので何も言えない。

 ……いや、間違ってはいないから桜じゃないか。


「いきますぞ、殿方殿。深淵に見舞え。シャル・イー・セイバー!」


 Eの文字に素早く切り裂く十指の攻撃が、突進してくる俺へと向けられる。

 ……相変わらず見え辛いし、その威力。

 冗談じゃない、手加減無しかよ! 

 慌ててシールドで躱すように防ぎつつ、縦に振り下ろす最後の振り下ろしに合わせ、

カットラスで防いだ……が、重い……やっぱり強いな! 

 ちょっと無理だ「……神魔解放」

「殿方殿。小声で何を……」


 俺はひそかに神魔解放を行い、一気にクリムゾンの攻撃を押し返した。

 いや待てって! ハンデが重過ぎる。

 大っぴらに妖術で手の内をさらけだしたくないし、実演販売だから術もあまり行使した

くないんだよ! 


 再度距離を離した俺たちは、互いに向き合う。


「すげえ……かなり威力ありそうな攻撃だったぞ」

「ていうか何で十本も剣を使えるんだ。一本一本針みたいなもんかと思ったのによ」

「あの装備も店で売ってるのかな。ダメだ、戦いも気になるけど見に行こう。

売り切れちまう!」


 ……実にいい流れだ。

 こっちもヒートアップしてるし店もヒートアップしているだろう。


「そろそろド派手にいくか。クリムゾン」

「……お手柔らかに」

「赤閃!」

「アニヒレーションズ!」


 俺の赤閃はかなり威力がある。しかしそいつを無数の斬撃で相殺するクリムゾン。

 さらにそのまま数発赤閃を放ち、再度空中に飛翔してカットラスを直接叩きつけた。

 ギィン! という鋭い音を発し、五指の剣でそれを抑えたクリムゾン。

 少し笑うと残りの五指で攻撃にかかる。

 それをシールドガントレットで押さえつつ、反動をいかして一回転し、更に横薙ぎの形

で振りぬく……のを簡単に交わされ、その勢いのまま後方へ離れた。


 ……これ、剣技だけじゃ到底勝てないわ。

 いやいや。勝たなくていいんだけど。

 

「ここまでにしておきましょう。明日の大会、出れないのが残念だ。またお手合わせを」

「そ、そうだな。次はもう少し術も使いたいな」

「ふっ。剣技だけが取り柄ゆえ、早々遅れをとるわけにはまいりませんよ。ではこれで」


「うおおおーー、凄かったぜ! あんた明日出るのか? 応援するぜ」

「いやー。同じ武器売ってないか探したけど無いわ。それ、売ってくれねえか? 金貨七

枚でどうだ?」

「しっかしさっきの兄ちゃんも凄かったぜ。あれに似たような武器売ってたから買っち

まったよ」


 ……結構な騒ぎになったな。ひとまず移動しよう。

 一応付近にいる者にはわかるように礼をして、その場を去る。


 これだけの騒ぎでも今のところ怪しい動きは、見られない。

 ひとまず警備詰所へと赴くと、沖虎がいた。

 こちらを見ていたのだろう。少々不服そうだ。


「拝見しましたが、主殿は手加減しすぎです」

「いいんだよ、あれくらいで。剣術ならクリムゾンの方が上で当然だ。俺は何せ、剣士

じゃないからな。大会の時は俺らしく戦えればそれでいい」

「しかしですね……」

「それよりどうだった? 怪しい奴、いたか?」

「いえ。不審な者は。騒ぎを起こす者は多かったのですが、姉上の大立ち回りを見て逃げて

行きました。まさか姉上に挑む愚か者までいるとは思いませんでしたが」

「白丕は俺より力があるからな……さて。闘技場を開けて来るか。明日はよろしく頼む」


 飲み水だけもらうと、警備詰所にある衣類に着替え、顔を仮面で隠した。

 ……そうだ。俺は素顔を隠して戦う! ばれている奴にはばれているが、名前も素顔も

隠して戦うので正体をばらさないでいただきたい。

 この恰好ならさっきの騒ぎ者とはわからないだろう。

 

 ――警備詰所からは近い、闘技場入り口。

 その入り口はレンズ傭兵斡旋所から行けば真っすぐの道。

 港や町の入り口からは、迂回して入る一か所限りの門。

 大きな門があり、前世にあった雷門というわけではないが、立派な【ジャンカ門】と書

かれた垂れ幕が入り口にある。

 しかし、特徴としてこの門……外からは普通には開けられない。

 ドアノブも何も付いていないからだ。

 これを開けられるのは現在俺の町に三人しかいない。

 ……伝書の力を通せるものだけ開放出来る。


「ラモト」




 俺の腕を伝わり文字が門へと伝わる。

 この門の裏側にその文字と同じような紋様があり、それらが一部合わさると開錠す

る……とのことだった。

 これと同じ仕組みのものが、ジパルノグには幾つかあるらしい。

 あの国の重犯罪者の扉には、これと同じ仕組みが入っているようだ。


「おお、開いたぞ」

「どうやって開けたか見てたか?」

「いや。管理人にしか開けられない鍵があるんだろう」


 後ろから見ていた数人が話し込んでいる。

 当たってるっちゃ当たってるが、開け方を知ったところで開けられないだろう。

 中は違う意味での戦場。

 そう……この闘技場は地下通路があり、それが泉前へと繋がっているのだ! 

 つまり外から開ける必要が、関係者には特に無いわけだ。

 ここから直接物資を運べるので、物資を運ぶのに、買い物客へ迷惑を掛けることは

ない。

 

 明日はいよいよ開会式。

 最後にここへ立ち寄ったのは……あらゆる大陸の便利品を借りている、その確認。

 催される光景は、さぞ驚くことになるだろうな。

 

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