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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第五章 親愛なるものたちのために

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第七百九十話 共鳴する光

 全員の顔をはっきり確認して、一人ずつ抱き上げた後、それぞれの妻を抱き締める。

 その後、一人ずつ部屋まで負ぶって寝かせつけた。

 メルザは唯一心配なので、直ぐ近くにパモを置いておく。

 パモも久しぶりの主を心配そうに眺めている。

 

「パモ。俺はこれからブレディーを復活させないといけないんだ。

本当はそばを離れたくないんだけど……メルザの事、頼んでもいいか?」

「ぱみゅ!」

「それじゃ頼むよ。アルカーンさんに渡すものと、アレだけ預かっておく。ドルドロスが

消えてなくなったのは、ルーンの安息所傍だったな……」


 闇の衣、闇の知識、闇のオーブ。全ては揃った。

 そして賢者の石もここにある。

 本当に復活させられるのかは疑問だった。

 バラムバロムという存在。

 そしてブレアリア・ディーンという存在。

 どちらも一つの存在なのか。

 わからない。まずはアルカーンさんの許へ行こう。 

 前に渡したブレディーの存在であるバラム・バロムを封じているものを受け取らないと。


 ――アルカーンさんの部屋をノックすると……ナナーがひょっこりと顔を出した。

 久しぶりに見たが、元気そうだ。


「ルイン!久しぶりだ! やっと帰って来ただ?」

「ああ。ナナーも元気そうだな。ビュイは一緒じゃないのか? アルカーンさんは……おや。

随分と部屋が綺麗だな」

「片づけてあげてるだ。パパの代わりに」

「パパか……その呼び名なら喜びそうだな」


 部屋を除くと、以前とは比べ物にならないほど整理整頓が行き届いている。

 俺の配慮は正しかったようだ。しかし……当の本人は相変わらず眉間にしわが寄っている。

 そして――「ルインさん! ようやく戻ってきましたか。お久しぶりですね」

「フェドラートさん!? お元気でしたか。長い間、町を見守ってくれてありがとうございました」

「いいえ。アルカーンより聞いたのですが、地底へ赴く方法があると……」

「はい。そちらはシカリー側の依頼をこなしたので。それと……メルザも戻って来ています」

「ほう。ようやく不在の主が戻ったか。それで? 約束のものは持ってきたか」

「相変わらずですね、アルカーンさんは。はいこれ。依頼の物です」

「よし。よく持ってきた。手に入れるのは骨が折れただろう。ちゃんといいものを用意してやる」

「いいもの?」

「それよりもだ。貴様のルーニーの中に戻したあれを、呼び覚ますのではなかったのか」

「この中にブレディーが入ったままだったのか?」

「ああ。さっさと行け」


 アルカーンさんとフェドラートさんに挨拶だけして、直ぐにルーンの安息所方面へ向かう。

 場所は……このあたりだろうか? 

 ちょうどその付近かと思われる場所まで行った時だった。

 フェドラートさんがメルザと子供、そしてパモを抱えて走って来た! 


「ルインさん。急にパモさんが来て、知らせを――これはどういう、共鳴しているのでしょうか?」


 俺が所持していたもの。

 闇のオーブ、知識の詰まったロケット。そして、この場所は闇の衣があったとされる場所。

 周囲一帯が光を発し……そして、メルザとその子供も同じように光を発していた。


 一体何が……また、イネービュが何かしたのか。


「あ……ツイン。感じる。温かい、光のように」

「ブレディー……? まさか……子供に……カルネに宿ったのか……」

「……眩しい。俺様、眩しいよぉ……」

「メル……ザ」

「ルイン? ルインだ。俺様、ずっと夢みてたみてーだ。なぁなぁルイン」

「……ああ。やっと、会えたな。長すぎる半年。いやもうすこし経ったかな。

長かったよメルザ。そして……ブレディー。いや、お前の子供のカルネだ」

「カルネ……へぇー。子供……俺様とルインの。あれ? ブネ様は?」

「……今は、子供を撫でてやれ。お前の……俺たちの子供を」

「ルインさん。私は失礼しますから、ごゆっくり」

「ありがとう、フェドラートさん」

「フェド先生も来てたのか……なぁルイン……俺様、まだちょっと眠いみたいだ」

「ああ、ああ……俺が傍にいるから。だから今は、メルザもカルネも、ゆっくり眠っていてくれ」


 二人を見守る俺は……やはり泣いてしまっていた。

 結局ブレディーを元の姿には戻してやれなかった。

 確かにイネービュは元に戻るとは言っていなかった。

 イネービュには全てわかっていたのだろう。

 俺とメルザの子であり、闇の賢者でもあるこの子の事が。

 明らかに異質の力を持った子に違いない。

 だが……ブレディーは普通の子として生きたかったはずだ。

 でも……俺はメルザと、この子を正しく育てるんだ。

 これ以上、絶対新に振り回されるつもりはない。

 幻魔として。そして妖魔として。大切に育てよう。

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