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第七百八十四話 |氷永重斗《コルエジント》

 おやおやこれはこれは。侵入者でございますね。

 そうでございますか。あなた様を追って……。

 正直まだ、アメーダの力をあなた様にお見せするのは気が引けるのでございますが……

攻撃してくるようであれば、対処するしかございません。


「そちらで何をされているのでございますか」

「げげっ。見つかった!? 面倒だなぁ。俺は面倒な事は嫌いなんだよ。

早いとこ撃ち落としそこなった竜を連れて戻らないと、また腕立てとかやらされるんだ。

そこをどいてくれないかな」

「一体どうやって結界に入ったのでございますか? ……その乗り物でございますか。

ギオマ様を追って入って来れたのでございますね……」

「なぁ頼むって。ここの事は秘密にしておくからよ。通してくれよ」

「それは出来ぬ相談でございますね。あなた様のお名前は?」

「俺か? 俺はテンガジュウ。魔王、テンガジュウだ」

「……そうでございますか。テンガジュウ様。雷城の主、ベルベディシア様の

幕下で雷電の魔鎧の使い手。今のあなた様には荷が重い相手でございますね……」

「おいおい。何でそこまで知ってるんだ? お前、一体何者だ?」

「ここに入ったのがテンガジュウ様の運の尽きでございます。お覚悟を」


 どうやらギオマ様は厄介な相手を呼び込んでしまわれたようでございますね。

 早めに事を運んでいたのが功を奏したようでございます。


「死霊族のアメーダ。カイオスの力の一端をお見せするのでございます」


 空中に浮かぶ雷雲キュペーテに乗り、突如として現れた紅色の髪の女性に相対するは

迸る雷を帯びた鎧を着る男。

 筋肉質な体つきに強面だが、どことなく臆病にも見えるその男、テンガジュウは

ふざけている場合じゃない事を悟る。


「参ったな。戦闘する気満々って面だな姉ちゃん。相手が誰だかわかってるのか? 

俺は……」


 いうよりも早く、眼前まで迫り、雷が迸る鎧に掌底を叩き込まれる。

 大きく後方に雷雲事吹き飛ぶテンガジュウ。

 掌底を撃ち込んだ相手の手は大きく電撃を帯びているが、何一つ表情を曇らせず追撃に出る。


氷永重斗(コルエジント)

「くそ、幻術使いかよ!」


 吹き飛ばしたテンガジュウに、巨大な氷の回転するスパイク状のものが襲う。

 それは一つ二つではない。

 無数の巨大な氷の回転するものが、取り囲むように襲っていった。


「まだまだでございます」

「冗談じゃない。俺は帰るぞ!」

「逃さないのでございます! ここを知った以上テンガジュウ様にはここで散って頂く

のでございます」


 氷結の塊を砕くと、アメーダは直ぐにテンガジュウの首許目掛けて攻撃を繰り出す。


「アメーダ! よせ!」

「っ! ……承知したのでございます」

「ちっ。もうちょっとでカウンター入れられたのに。誰だ邪魔したのは」


 アメーダが突っ込む前に大きな声が上がり、止めた者がいた。

 カウンターがくるのも承知していたが、主に止められては戦闘続行出来ない。


「おいおい。あれは……妖魔がこんなところにいるのはどういうことだ」


 直ぐに妖魔と気付いたテンガジュウは不思議そうに首を傾げる。

 あまりにも変な事が起こったうえ、今なら逃げられそうだと判断して、直ぐに飛び去って

いくことにした。


「あなた様……逃してしまったのでございます。きっとあの者は仲間を連れてこちらへ

やってくるのでございます」

「だからって、小さい子供もいるんだ。そこで殺し合いはすべきじゃないだろ? 

どうしても戦わなければいけない相手なら、俺がどうにかするから。アメーダは

案内を頼むよ。全く。突然飛び出して何してるのかと思えば……警戒してくれてたんだな」

「勝手な行動をしてしまい、申し訳ございません。どうか、罰を」

「罰? ばかいうな。お前の行動は俺たちや、この死霊族の町を思ってのことだろ。

罰を与えられるなら、それに気付いていなかった俺の方だ。ありがとな。

それで……何者だったんだ?」

「ギオマ様を襲った雷城の手の者でございました。名前に嘘がなかったため、読み取る

事が出来たのでございます。恐らく……後ほど雷城の絶魔王、ベルベディシアが

ここを訪れるかと思うのでございます。始末を、つけなければ……」

「物騒だな……ギオマ狙いなら気付かなかったのも頷ける話だ。けど、絶魔王って奴も案外

話あえる相手かもしれないだろ? 幸い泉が町に繋がったんなら逃げる術もある。無理に

殺し合う必要なんてないさ」

「……そのような甘い相手とは思えないのでございます。ハクレイ様にご相談される

のもよろしいかと思うのでございますが……」

「老師か……腰の具合、大丈夫かな。わかったよ、そっちも確認してみるから。

まずは町に戻ろう」

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