間話 今度こそあなたを助けます
「はぁ……はぁ……絶対、絶対助けますわ……」
ミリルは思い返していた。この少女を木の下に置いて行ってしまったことを。
悔しくて申し訳なかった。
ギルドーガ相手に戦っている仲間を想像し、いてもたってもいられなかった。
他にも多くの人がいたはず。少しでも避難させないといけない。
けれど片腕がない少女一人を残しておくのは見捨てるのも同然だったのかもしれない。
彼女は生きていてここにいる。今度は絶対見捨てない。
ふ化儀式のため父の元へと送った竜の卵の事もある。必ず生きて戻らないと。
今は一刻も早くあの女性の許へ向かわなければ。
竜騎士の跳躍力は尋常ではない。
四十キロ程度の女性を担いでいても、数メートルは飛翔できる。
ミリルは建物の上を飛び越えて行き、港へ向かっていった。
「いた! 戦ってる!」
ミリルは上空へ飛翔してメルザを抱えながら槍を対象へ投擲した。
槍はライラロと対峙している相手に奇襲で刺さり、相手は倒れた。
「あんたたち、無事だったのね。こいつでここにいたのは最後よ。
私もちょっと油断していたわ」
「ライラロさん、お怪我を?」
「私なら大丈夫。それよりそっちのバカ弟子は大丈夫かしら?
まだ教えてない事沢山あるから、死なれても困るのよ」
「ええ、気絶してるだけです」
「ベルディスの弟子は? あの子が傍にいないなんて珍しいわね」
「それが……私たちを逃がすために一人で。ライラロさんの許へ連れて行って逃げろと」
「そう、それがあの子の意志ならば、守ってあげないとね」
「はい。わたくし……足手まといと言われ、自分の不甲斐なさが悔しくて悔しくて……うぅっ」
「今のあんたの役目は何? あの子に託されたバカ弟子を
しっかり守ってやることでしょ? 泣いてる暇があるなら
しっかり警戒して。死ぬ気でバカ弟子を守りなさい! それがあいつのためでもあるわ!」
「はい、えぐっ。あの、ライラロさん」
「何よ」
「しかって頂きありがとうございます。少し亡き母を思いだしてしまって」
「じゃあそろそろ乗ってくれるかしら。ここは安全じゃない。
海上を行くわ。話は後よ」
「わかりました。よろしくお願いしますわ」
そういうと、ライラロはミリルを乗り物に乗せて水上を勢いよく走るのだった。