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異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー  作者: 紫電のチュウニー
第五章 親愛なるものたちのために

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第七百五十一話 埋もれていた本

「グーッハッハッハッハッハッハァ! 調子があがってきたァ! さぁどんどんこいベギラアントどもぉ! 

貴様らの閃熱吐きなど我には効かぬわァ!」

「大分慣れてきた。採掘ってなれると案外楽しいんだな。知らなかった。ルーンの町にも

採掘できる場所ってあるのかな……あれ? 何だこれ。掘ってたら壁の中から本? ……いや日記か

何かか。文字がびっしり書いてあるな……読めないな。一応もらっておくか」


 出てきた本には見た事も無いような文字がびっしりと書かれている。

 土の中に眠っていたにしては随分と綺麗に見える。最近埋められたもの? 

 いや、鉱石の中に埋もれていて最近ってのは無理があるだろう。

 そういえばこっちの世界にきて本を見る事がまるでないな……。


「ひぃー。わっし、夢でも見てるに違いない。ベギラアントを素手であんなに倒してるなんて」

「おいルイン! 貴様の短剣を我に貸せェ!」

「ああ、どうもアーティファクトじゃなかったみたいで少し錆びてるけど」


 適当に短剣を放り投げると、再び採掘に戻る。よし……今度は綺麗に鉱石を取り出せたな。

 マルクタイト鉱石……鉄より硬度は低いが、光沢のある美しい鉱石だ。

 色は灰褐色。この金属は特殊な金属なのだろうか? 

 そういえばこれを詰めて持っていると芽吹きの時の効果を防げるんだったな。

 よし、どんどん掘るか……。


「グーッハッハhッハッハ! 俺の名はルイン! くらえ、横薙ぎ!」

「ちょ! 何やってんだ! 恥ずかしいからやめろーーー! ……あれ、何か手甲が……」



 まずい。こんな面白そうな事にエルバノが我慢できるはずがないのを忘れていた。しまった! 


「もう我慢できーーーーん! エルバノ様にも遊ばせよ! ずるいぞギオマ、貴様ばっかり

楽しそうにしおって。わしにもロブロードのピースの真似をさせよ!」

「あーあ。終わったわ……何のために隠してきたのか。もう馬鹿らしくなってきた……」

「なな、手甲から女性が……しかもどう見ても魔族……呪われた装備か何かですか?」

「そ、そんなところだ。彼女はエルバノといって、訳あって正体を隠す封印された

装備なんだ。ははは……」

「そうか、それでお強いのに戦闘なるべく避けていたんですね。ギオマ殿がピンチで封印が解けた……

そんなところですか。兄貴思いですな」

「そうなんだよ。だからベギラアントとかいうのを倒したらもとに……」



 俺はつるはしを置いて状況をみると……四方八方の道からぞろぞろと巨大な炎のような色をしたアリの

大群が出てきていた。

 既に大多数を始末しており、横たわるでかいベギラアントが邪魔をして、他のベギラアントが進めずに

いる程だ。

 レオさんは身をかがめて避難していた。

 俺は……この中を気にせずつるはしを振るっていたのか。


「どうりゃーー! 全て酔っぱらってしまえ。ギャハハハハハ! わしがピースになったら

全ピース酩酊じゃあ! ギャハハハハ」

「おいエルバノォ! 酒が飲みたくなるではないかァ! 少しは控えぬかァ!」

「なーにをいうか、飲めばよかろう。酒盛りじゃあ! ギャハハハハ」


 これはチャンスだな。このベギラアントっていうのも一体封印しておこう。

 何かに役立つかもしれない。

 相手は閃熱を吐くって聞こえたが……ああ、確かに口から何かを吐き出しているな。

 エルバノが吐き出した酒で燃え広がって……いやいや燃えてないか。


「おい! エルバノ止めろ! 燃えてる、眩き草が燃えてるから!」

「なんじゃあ? ふうむ、これは……火事じゃな」

「冷静に分析してる場合か! 封剣……」


 ティソーナだけ出すと、素早く来た道をふさごうとしていた一匹を突き刺す。

 瞬時に切り上げ、エスパーダケマルを放ち、一匹を封印することができた。

 そのまま急いでティソーナをしまい、鉱石を担げるだけ担いだ。


「おい、全員一度こっちへ! 辺りを氷で塞ぐから!」

「もうおしまいかぁ。つまらんのう」

「ふうむ。折角だが遊んでる暇はなさそうだなァ。時間までに戻らんといかんのだァ」

「わっしはもう、何が何だか……」

「よし……妖氷造形術、氷の壁!」


 通路を塞ぐ程の氷を放出し、道を塞ぐ。

 これで炎はここまでは来ないだろう。マルクタイト鉱石もそれなりに取れた。

 

「しかしヴァンピール中位にも驚いたが、あんなバカでかいアリもいるんだな」

「これでもまだ洞の中間地点ですからね。先に進めばもっと凶悪なモンスターもいるでしょう」

「ふむゥ。ベギラアントは古代種の系譜を受けた珍しいモンスターだぞォ。血は大分薄くなったようだ

がなァ。古代種の系譜が濃いモンスター程、より強くたくましいのだァ」

「古代種の……」

「系譜ですか?」

「うむゥ。我に聞くのもよいが、エルバノもよくしっておるだろうなァ。我より活発に動き回る

奴だったからなァ」

「そういえば先ほどの女性は……」

「もう手甲に戻ったよ。驚かせてすまなかった」

「いえ、それにしてもこの氷術。凄いですな……無詠唱で放出されたように見えましたが」

「氷術が得意ってだけで、たまたまこれだけの氷が出せたんだ」

「ふうむ……そうですか。しかしこれだけ早く採掘を終えられるとは思って無かったです。

トロッコに入れて帰ろうとしましたが、これでは歩いて帰るしかなさそうですね」

「ギオマの兄貴も少しもってくれるか」

「いいだろう」

 

 つるはしは持って帰れそうにないので、後ほど物資が届いたら、レオさんの部下に

取りにいかせるとのこと。

 レオさんはつるはしで少しマルクタイト鉱石を砕くと、持っているランタンに詰めた。

 この作業なら……モジョコにも出来るかもしれない。後で食事とかのお礼も含めて手伝ってもらうか。

 全員抱える程のマルクタイト鉱石を持ちあげる。

 つるはし二個分よりは重いが、持って帰る量としてはかなり多いのではないだろうか。



「帰りにモンスターが沸いてる可能性はあるか?」

「いえ、恐らく無いでしょう。ベギラアントは日の光を嫌いますからね」

「ヴァンピール中位はどうだ?」

「同じくです。入り口近くに沸くのはスライムくらいのものですよ。その肝心のスライムは

殆ど倒してしまいましたからね。いやー、本当に助かりました」

「こちらもいい経験になったよ。おかげで採掘にはまってしまいそうだ」

「それはよかった。この後も採掘作業はありますからね」

「……えっ?」

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