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第七百四十四話 アルカーンの依頼

 ルーンの町へと道を繋げる間に、アルカーンを通じて連絡を取る事となる。

 というのも、帰宅予定が予想通り出産に間に合わないからだ。

 だがあらかじめ対策をしておいた。


「随分な無理を任せてくれたものだ。高くつくと思え」

「わかってますよ。ちゃんと新しいアイデアを提供しますから。

それより……あいつらの調子はどうです?」

「今のところ問題ない。自らの領域を改築するなど、これまで考える事も無かったが、なんとか

なるものだな」

「そりゃ、ただでさえぶっ飛んだ力ですからね、それ。使い勝手がよくなったならいいじゃないですか」

「ふむ……だが少々、騒がしくなってしまった。これでは作業に集中できん」

「いいんですよそれくらいで。あなたは集中しているようで、考える事が多すぎる。

たまにはそうやってゆっくり、時を感じてください。もう幾日かすれば

そちらへ戻れます。ナナーとビュイの面倒もしっかりと見てあげてくださいね」

「ああ。そのことなんだが……貴様に少し聞きたい事がある。

サラとあまりにも勝手が違うのでな。困っているのだ。まず良い匂い……とは

どういった匂いのことをいう?」

「あんた、相変わらずちゃんと風呂に入ってないんだな……」

「そんなことはない。二日に一度は入るようにした」

「毎日入れよ! まずはそこからだ。後はカカシのところにいって、いい香りの

するハーブをもらってきてください。カカシにそう伝えればいいものを用意してくれます。

それをひとまずは懐にでもいれてください」

「ほう。わかった、やってみよう。そうだ、貴様にもう一つ頼みがある。

そちらの大陸にある金属を取ってきて欲しいのだ。これは貴様のためにもなる」

「金属? 今この地は芽吹きの時っていう状態らしく、結界の外に出ると危ないらしいんですよ」

「危ないだけで出れないわけではないのだろう? 出来れば急ぎで用立てて欲しいのだ」

「一体何に使うんです?」

「それは言えんな。では頼むぞ。おい! それに触ってはいかん! 壊れたらどうするのだ。

まだ作り途中だぞ!」

「あ、ちょっと……」

「ホロロロー?」

「……無茶言ってるのはお互い様か。誰かに相談を……ラルダさんにでも

聞いてみるか。にしても予想通りというか。実は面倒見がいい奴なんだよな……」


 死霊族の町に来て今日で四日目だ。

 その間アメーダは泉と領域を繋げる作業に勤しんでいる。

 といっても泉の前で座禅を組んで、何かを唱えているだけなのだが……。


 そして宿は既にあいつらの遊び場と化していた。

 そのあいつらというのは――――「もう寝るスペースすらないな」

「おう、ルインではないかァ! 貴様も当然遊んでいくのだろうなァ?」

「ぎゃーはははは。集え! 死霊族! 全員集合じゃ!」

「先生。そろそろ稽古をお願いします」

「プリマを置いてどこに遊びに行ってたんだ?」

「暇よねぇ。私、ロブロード以外の遊びがしたいんだけど。

ここは甘い物も全然ないし」


 この町に住んでいた別の死霊族数名と、ギオマ、エルバノ、エンシュ、プリマ、ミレーユ、ライラロさん

そしてラルダ。ここは宿ではなく宴会場に変わったのだろう。


「ラルダさん、ちょっといいか? 実は……少々探し物があって結界の外に出たいんだけど」

「まぁ。本気ですかぁ? 芽吹きの時は危ないですよぉ。やめた方が、いいですよぉ?」

「急ぎでどうしても必要なんだ。確か……マルクタイト鉱石とベルゼレン希石だったか」

「ベルゼレン希石じゃと? あんな滅多に取れぬものをこの芽吹きの時に探しに

行くというのかの?」

「ふむゥ。一日であれば我の結界を維持したまま、同行できようぞォ。

ちょうど肩慣らしをしたいところだったからなァ」

「プリマも行くぞ!」

「私はパス。エンシュと修業するわ。あんたのメニュー、こなすのだけでまだ精一杯だし」

「相変わらずそっぽを向いたまま話すんですね、ミレーユ王女様は。腕立て二百、腹筋二百、スクワット三百。基礎トレーニングだけでもきつそうですよ、先生」

「最低限術使いでも動けるようにはならないと、この先困るだろうからな。

しかしミレーユ、お前本当に地底にもついて来るつもりか?」

「当たり前でしょ。置いて行こうったってそうはさせないわ。

人を箱入り娘扱いしておいて……最後まで修業に付き合ってもらうわ」

「強気な王女様だな……そんじゃ二人は残って修業の続き。俺はエルバノとギオマを連れ

鉱石を探しに行ってくる……っていっても取れそうな場所、わかるか?」

「マルクタイト鉱石ならここから東へ進んだ砂塵奥。紅葉洞でとれるけどぉ……

危ないわよぉ」

「大丈夫だ。いざとなったら逃げて戻ってくるよ……ライラロさん、なんでそんなに

目を輝かせてるんだ?」

「甘い物、取って来て」

「甘い物? そんなもの、紅葉洞とかいう場所にあるのかな」



 俺とプリマ、エルバノ、ギオマという風変わりなパーティーとなったが、芽吹きの時である

外で散策を開始する。

 しかしアルカーンさん、せめて目的物の場所くらいは教えて欲しいな……。

 アルカーン自身も知らないって可能性もありそうだ。

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