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第六十九話 メルザの思い

 予選三戦目を終え、休憩室に戻る。

 流石に一日三戦するのはきつい。

 メルザはそもそもそんなに体力はない。

 背丈は百五十五cm程。体重も四十キロ程しかない。

 

 紅色の髪を肩下で揃え、ルインの後を追いかけるのも少し早足だ。

 メルザはスラっとしたミリルが少し羨ましく思う。


「なぁメルザ、ミリル。夕飯は何がいい?」


 ルインはいつも自分を優先しない。 

 俺様がいつも食い意地がはっているのはあるが「たまにはルインの食べたい物を

言ってもいいんだぜ?」と言ってるんだけどな。


「俺はいいよ、好きなもの食べな」って言う。


 確かに俺様はルインの主だ。

 けどルインはずっと苦しんできたんだろう。

 俺様よりもずっとずっと暗い所にいたのだろう。

 だから俺様は、少しでもルインが明るく楽しくいられるようにしてきたつもりだ。 

 そして俺様のありのままを受け入れてくれたのもルインだ。

 昔、母ちゃんと話ししていたのを最近思い出す。

 思い出すと胸が苦しくなる。けど、俺様はちゃんと見つけた気がするんだ。

 こんな喋り方の俺様を受け入れてくれるやつを。


 だから俺様はこいつとずっと一緒にいるつもりだ。

 これまでも、これからも。

 今日はでっかい肉を沢山見た気がしたから「それをおかずに穀物料理にしようぜ」って

言ったら、いい笑顔を見せてくれた。


 対戦相手のあいつら、でかかったからな。

 あんなのに襲われたら、ひとたまりもないぜ。

 サイクロプスに襲われて、父ちゃんも母ちゃんもいなくなっちまった。

 自分の故郷もわからねーしよ。すごく不安だった。悲しかった。

 けど、今の俺様には家族がいる。沢山仲間ができた。友達ができた。


 帰ったら、ルインにファナにニーメに。ゴサクに、そしてパモを解呪して。

 ココットに、それにミリルも呼ぼう。ライラロ師匠やルインの師匠。

 そしてちょっと怖いけどセフィアとハーヴァルも呼ぼう。

 みんなで新しく傭兵団を作ってよ。

 またいっぱい冒険すんだ。


 そしてもっともっと強くなって、あのサイクロプスを討伐してやる! 

 俺様はもっと強くならねーとよ。

 装備もしっかり揃えて、も少し体力もつけねーとだしな。 

 ……あっという間に料理も平らげちまった。さっさと宿に戻ろう。

 宿に戻ってすぐ、ルインに相談を受けた。


「なぁメルザ。明日の試合用にちょっと作戦をねらないか?」

「ああ、構わないぜ。俺様はどうすればいい?」

「あの燃刃斗、何発位一試合で撃てる? さすがに研究はされた

だろうが、あれは滅茶苦茶強い」

「うーん、二発も撃てばしばらくは動けねーかな」

[そうか。それなら一発にしておくのが無難かな」

「ミリルの跳躍はどうだ? もっと高く行けるか?」

「ええ、跳べますわよ。もう三十メートル程」

「そんなに?」


 ……なんでだろう。最近ルインが他の女と喋ってると少し胸がざわつく。

 なんだろうなこの気持ち。ミリルは友達なのによ。

 俺様の気持ちがよくわからねー。

 一緒にいるのに、何か寂しい。

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