第六十七話 マリモンズ モノ・パラ・トリアタック
「くっそ、この! まじであたらん!」
「きゃっ、すばやすぎますわっ、えいっ」
「土斗! 土斗! わわっ、前に出てきた。えいっ、こいつめ!」
試合が始まって直ぐ……俺たちはマリモンズに滅茶苦茶翻弄されていた。
強いわけじゃない……が,どう戦えばいいかわからない。
捉えようにもとてつもなく速い。
「………………!」
そしてあいつらは喋らない。どうやって大会に応募したんだよ!
奴らは中央に集まると、そのうちの一体が俺めがけて突撃してくる。
痛くはないんだが、衝撃系の能力なのか、くらうとすごい衝撃だけくる……危ねぇ、落ちる!
あわてて回転して衝撃を軽くして空中に飛び上がった。
そこを狙ってか、もう一匹のちょっと大きいやつが空中の俺を吹き飛ばした。
さらに三匹まとめてせまる! やっば……い! と思ったらミリルがとてつもない
跳躍力で空中キャッチして救ってくれた。
さすが竜騎士! あれがスーパージャンプってやつか?
ミリルは何事もなくとんでもない高さから着地する。
普通なら足折れるぞそれ。
マリモンズは仕留めたと思ったのかピョンピョン互いをみて飛び跳ねている。
くそ、こいつらまじで叩きおとしてやる!
俺が引き付ける間に、メルザは指示した通り闘技場へ、土斗で迷路のような
ものを造ってやった。
俺とメルザとミリルはその中に入っていく。
それをみたやつらもその中に入っていく。迷路戦といこうじゃないか。
「おーっとEブロックが大変面白い戦いになっています!
皆さんもぜひ見てください! これは迷宮です! ダンジョンを
闘技場内に作ってしまったー! あーっとマリモA選手、行き止まりだぁー!
メルザ選手、転んでファンサービスだっ! これはおいしい!」
マリモAっていう名前なのか。もっとましな名前はなかったのか?
おっ……いた! 気付いてない!
「マリモB選手! ルイン選手の網に引っかかったー!
そしてそのまま場外! マリモC選手! どじっこメルザちゃんが振りかざして
待っていた杖を回避! おーっとミリル選手がその横からマリモC選手にタックル!
壁に激突して動かなくなりました! これは痛い!」
新しいニックネームを拝命したメルザはぷんすか怒っている。
主よ、キャットマイルドの挑発にのるな。
残るは一体か。解説が一応役にたってたり足ひっぱってたりする。
……垂直に思い切り飛び上がり、相手の位置を確認することにした。
あ……このマリモ、同じこと考えてちょうど飛んたな……目線があったよ。うん。
にっこりと微笑み、流星錘でマリモAと思われるやつを場外の彼方へ吹き飛ばした。
ふざけてるやつらかと思ったが、危うく場外負けするところだった……
ミリルがいなければ負けていたな。