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第七百八話 殲滅と封印

「ティソーナ。あいつの弱点は何だ?」

「何でごじゃろ? 突然でごじゃろ! もっと大事に扱うでごじゃろ!」

「わかってるって。たまにしか呼び出してないだろう?」

「最近扱いがぞんざいでごじゃろ。むー……あれはヴァンピールバットでごじゃろ。

血液を吸うと快音を発して多くの仲間を集める厄介な奴でごじゃろ……ってこんなにいるでごじゃろ!?」

「集めるまでも無く大群だ……っと、赤閃! ……巨爆烈牙剣で蹴散らしたいとこなんだが

あの高さまでは届かないし射程も長くない。何かまとめて倒す方法はないか?」

「こらちゃんの方が適任でごじゃろ。聞いてみるでごじゃろ」

「あちしはあんなの斬りたくないけど。あーたはあちしを四本までしか生み出せないの?」

「ああ。最大で四本までじゃないのか?」

「最大は五千七百本よ!」

「は?」

「五千七百本!」

「なんだそのけた外れの数値は……」

「つまりコラちゃんの力の一パーセントも引き出せていないってことでごじゃろ。

未熟者でごじゃろ。面白いでごじゃろ」

「ちょ、話は後だ。ヴァンピールがこっちへくる! コウテイ! 退避だ!」


 大量のヴァンピールが羽ばたきながらこちらを襲いに来た。一度プリマが向かった出口方面へと

退避すると、凄い勢いで数百はいるであろうヴァンピールの群れが後を追って来る。

 アデリーは相変わらずくるくると空中で一回転して滑り、ヴァンピールを挑発してみせた。

 可愛いけどやってる場合じゃない! 


「どうやったらそんな数呼び出せるんだよ。四戒より先があるっていうのか」

「わかってないわねぇ……驚するだけでも千は造れるのよ!」

「わからん……やっぱティソーナとコラーダ……もっと修業する必要があるな……」


 俺はまだまだこいつらを使いこなせていない。

 神話級アーティファクト、その中でも群を抜いて特殊な剣なのかもしれない。


「おーーい! プリマの勝ちだ! 身を低くしてかがめ!」

「え? まさかそこから攻撃するのか!?」


 かなり遠目からプリマの叫び声が聞こえる。

 俺は言われた通りコウテイ、アデリーに身を低くさせ、自身も身をかがめた。


「ディストーションシックル!」


 二本の鎌が交差しつつ空間を歪ませながら俺の上空を飛んでいく。

 それらは後方から迫っていたヴァンピールに触れると……斬るというより

体が歪な形を取り、ちぎれてばらばらと落ちていくホラー現象となり、後続数百の

ヴァンピールたちは次々と墜落していく。最後方だけはその状況を察知したのか、慌てて旋回して

逃げていった。


「……あんなのありかよ」

「……ウェィ……」

「怖いでごじゃろ……ティーちゃんたちも触れたらやばいでごじゃろ」

「歪術、危ないわねぇ……」


 しばらく突き進んだ鎌は、そのうちぴたりと空中で静止する。

 地面に落下することなく、歪んだ空間にひきずりこまれるように飲み込まれ、消えてなくなった。


 プリマの方を見ると……先ほどの鎌二本を持ち、ピョコピョコと跳ねている。


「おっかねー……飛んでった部分、まだ歪んだままだぞ」

「味方でよかったでごじゃろ……」

「ああ……味方なのかどうかよくわからないけど、敵に回ったらどうすりゃいいんだ、あれ」


 後方のヴァンピールがいなくなったので、今度はアメーダたちの方へ方向転換して

挟み撃ちの形を取る。

 あちらも相当数を相手にしていて大変そうだが、ピールとジュディが

 見事なコンビネーションで次々と撃退している。

 アメーダはやや後方で王女の招来術で呼んだと思われる魔導ゴーレムのような

ものの肩に乗り、指示を出していた。

 

「こっちはプリマのおかげで片付いた。加勢する!」

「別に戻って来なくても平気だったんだけどな。んじゃピール、少し休め」

「クォン!」


 練習がてら先ほど使用したブラックザップで、天井隅に張り付いているヴァンピールたちを

落としていく。

 精度、射出速度、連射性能ともに今までのものより格段と進化している。

 また、氷造形術で造れることもあって、出しやすく、術の行使もしやすい。

 

「氷特化型のスタイルとは、随分と便利そうでございますね」

「お義父さんから受け継いだ紫電ってのがいまいち使い方がわからなくて。

ヨーゼフさんに聞いてから研究しないとなんだ」

「残りに十匹程だ。時間食っちまったが無事抜けられそうだな」


 全てのヴァンピールを駆逐する過程で、一匹は封印出来た。

 使いどころがあるモンスターなのかはわからないが、今は封印がほぼ空いている状態だ。

 東側でより多くのモンスターを封印出来るといいのだが……。

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