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第七百七話 天井のヴァンピール、分断、挟撃開始!

 グングンとアメーダ、ジュディとの距離が開いていく。

 上空のヴァンピールは早く通過しろと言わんばかりにバサバサと羽を広げ、まるで

飛び立つ支度をしているような奴も見受けられる。


「やったぞー! これでプリマが一番だー!」

「ギッキーー!」

「喜んでる場合じゃないだろ。上の奴、襲って来るぞ」

「んー? 来るなら来ればいいんじゃないか? プリマはこんな奴らに負けないぞ」

「ここでお前が暴れたら、洞穴が崩れるかもしれないだろ!」

「その時は洞穴をまた掘ればいいだけだ。気にするな」

「気にするわ! ……しかしここで止まったら逆に思うつぼだな。アメーダたちは

止まってるようだし、ここはいっそ挟撃だ。俺たちは一気に突き抜けるぞ!」

「一番は譲らないからな! 行けゴブリン!」

「ギッキギッキー!」

「ギョギョギョギョーーーー!?」


 しかし俺のタックギョブリンはいうことを聞くというよりまともに滑れない。

 いっそこいつを担いで俺が滑った方がいいんじゃないか? 

 そうするとギョブリンライダーじゃなくライダーギョブリンなわけだが。

 ……折角ここまで運んでくれたんだ。

 こいつの意気込みを途中で変わってしまうなんて可哀そうな事、出来るはずもないか。


 こちらが先行したからか、手前側にいたヴァンピールがぱらぱらと天井から落ちていき、こちら目掛けて

加速し始めた……まずい、まだ洞穴を抜けるまでには時間がかかる! 

 半数程はジュディとアメーダを襲いに飛んでいったが、飛び交うヴァンピールを

跳躍したジュディがバッサリと斬って落としている。見事な腕前だ。


「氷塊のツララ! ……くそ、こんなフラフラしながら撃っても当たるはずがないか。

ブラックイーグルだと射程外で速度も遅すぎる……これならいっそ捕縛銃、借りて

くればよかったか……いや待てよ。ブラックイーグルに込める弾を

変えて……直線に伸びる稲妻。氷は殆ど電気を通さない」


 俺は妖氷造形術でブラックイーグルの改良版を作り出した。

 本来レールガンであれば秒速六キロ近い速度がでるらしいが、こいつは

レールガンとは全く違う構造。

 精々速度が出てもライフル銃程度の速度だろう。

 だが……うまくいけば十分驚異的なけん制となる。

 名付けて……ブラックサンダー! 

 ……はやめておこう。人気商品になりかねない。


ブラックザップ(黒の電撃)


 狙いを定め、ブラックザップを構えて放出。

 すると……先ほど飛ばした氷塊のツララとは比べ物にならないほどの速度でヴァンピール数匹を貫通。

 よし! これなら撃ち落としつつ進める! 

 射出速度が大幅に上がったため、弾速による殺傷力が遥かに増した上、射程も伸びた。


「何だその武器? もう戦っていいならプリマも戦いたいぞ! 上の羽音、うるさい!」


 プリマは片手に鎌を持ち、ブンブンと上空へ振り始めた。

 そのたびに空気が振動して天井の景色がぶれる。

 おいおい……冗談じゃないぞ、こんなところで空間を歪ませるつもりか? 


「よせって! 後方に味方がいるんだ。プリマは先導して洞穴の出口に陣取ってくれ!」

「そしたらそれと同じような遊び道具くれるか?」

「やる、やるから先に行ってくれ!」


 こちらが深入りしたと見て、天井にびっしりと張り付いていたヴァンピールの群れが

一斉に飛び立ち、狙いを俺たちにつけた。

 プリマを先にいかせ、あえてこちらに狙いを惹きつけるため、ブラックザップを放出

していく。


「よし、いい感じだ……っておおおーーーーい!」

「ギョギョーーー!?!?!?」


 俺がブラックザップで攻撃して敵を惹きつけるものだから、ギョブリンは大混乱していた。

 そりゃそうだ……あんな数の敵に襲われたらこいつはひとたまりもないだろう。

 仕方ない、ここは……。


「俺は降りる。お前は出口をそのまま目指せ、いいな!」

「ギョ、ギョギョギョー!?」

「俺に構うな。安心しろ。あんなコウモリ野郎に負けるかよ」

「ギョギョ!」


 タックギョブリンから飛び降りると、急ぎコウテイ、アデリーを招来する。

 相変わらずクリムゾンのように平伏して出てくる。

 そう、初めからこいつに乗れば万事問題はなかったんだ。

 だが……あのギョブリンの意気込みは気に入った。


「さて、コウテイ、アデリー。久しぶりにやるか」

「ウェィ!」

「ウェーイ!」


 迫り来るヴァンピールにティソーナ、コラーダを出し、コウテイにまたがりながら

構えを取った。


 敵の数が少ない。後方でアメーダとジュディが数を減らしながら戦ってくれて

いるのだろう。

 ジュディも強者であることは間違いない。

 こちらも頑張らないとな。


「第二幕といこうじゃないか」

「ウェィ!



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