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第七百六話 ゴブリンライダーのルイン

「ギョギョギョーー!」

「大分慣れてきたな! いいぞギョブリン。その調子だ」

「何っ? プリマが抜かれた? おい、もっと速く行け!」

「ギッキー! ギッキギッキー!」


 プリマのが騎乗するタックゴブリンを鮮やかに抜き去ると、そいつは興奮して速度を上げだす。

 それを見ていたジュディやアメーだが乗るゴブリンたちも同様に速度を上げた。


「さすがあなた様。王女の嫌がらせをものともしないのでございますね」

「何で俺、そんなに王女に嫌われてるんだ? それにアメーダは顔背けたまんまだし」

「さぁ……アメーダにはわかりかねるのでございますが、恐らくは女の性というもので

ございましょう」

「そうか……」


 現在の先頭はジュディ。その後方に俺とアメーダ。最後方から懸命にプリマの

ゴブリンが迫っている。

 といっても騎乗のレースをしているわけではない。

 

「待てー! 絶対抜いてやるぞー!」


 ……最後方の奴がそう思っているかはわからないが。


「さっきからターゲットに反応があっては消えを繰り返してるな。

ジュディに襲われた時もターゲットに反応は無かったが、一体なぜだ?」

「あなた様の力はソードアイによるもの……との事でございましたね。

幻魔の力が既にこの場所では、弱まっているのかもしれないのでございます」

「幻魔の力が……弱まる?」

「そうでございます。まずジョブ……つまり能力の根源たる力を呼び覚ますものは、幻魔の

力でございます。各所に残る幻魔神殿。それは確たる秘められた能力を強制的に引き出す

儀式でございます。これはおわかりでございますね?」

「ああ。実際に何度か受けたからな。地下には怪しい場所もあった」

「そうでございますね。上の建物自体はさしたる意味はございません。

重要なのは地下に封じられている始祖の力。それらが各大陸に点在しているのでございますが……

この大陸には幻魔神殿がございません」

「つまり幻魔神殿がない大陸では幻魔の力が大きく失われると? だとしたら

アメーダやシカリー、プリマだって力を失われるんじゃないのか?」

「我々死霊族は既に切り離された力でございます。幻魔神殿の影響は受けないのでございますよ。

ですがあなた様に宿る幻魔の力……それは与えられた力でございます」

「つまり、幻魔の術や技、与えられた能力、そしてアルカイオス幻魔そのものの力が弱まるって

事か」

「その通りでございます。単純にアルカイオス幻魔の力は強力無比でございますが、この大陸には

他にもアルカイオス幻魔を弱める効果が施されているのでございます。

その場合、我々が行使する力も弱まるのでございます。その効果が施されている場所が……」

「シフティス大陸東側か。それでシカリーは俺に東へ届け物をしろって言うんだな」

「その通りでございます。ですからアメーダやプリマは、この先それほどお役に立てないと

思うのでございます……ですがこちらにはミレーユ王女もおりますので、力の行使は彼女頼りになるので

ございます。プリマ様はラング族のお力もお持ちですから、そちらで頑張られるのかと」

「心配するな。ジュディも加わったし、四人もいればなんとかなるだろう」

「ぱーみゅ!」

「ああ……悪かった。プールとパモも入れて六人だ」

「うふふふ。アメーダとしてはこの機会にあなた様が本当の意味で覚醒して頂けることを

期待しているのでございますよ……」


 アメーダが何かつぶやいていた時だった。

 高い天井に黒い影が見え始める。

 それは直線に広がり、天井の氷を埋め尽くしていた。

 どう見てもそのまま通してくれる雰囲気じゃない。


「あれは……コウモリ……か?」

「早速でやがったか……まだ西側だってのに」

「ジュディ、あれを知ってるのか?」

「あたりまえだろう。東側にいけばゴロゴロいる。ヴァンピール種の下位だ。

数が多いな。一度止まったほうがいい! 背後を取られると、襲ってくるかもしれん」

「よし、一度止まれ!」


 俺は全員を制止した。ジュディとアメーダのゴブリンはピタリと止まり、ヴァンピールに

備える。

 騎乗するギョブリンに指示を出した……が、全然止まらない。

 ついでに後方から来ていたプリマも全然止まらない。


「プリマが一番だな! あはははーー!」

「ギッキーーー!」

「ギッキーじゃねーよ! 止まれ!」

「ギョギョギョーーー!?」

「お前も止まれって! ああーーーーーー!」


 俺とプリマは全速力でそのままヴァンピールの下を通過していく。


「あなた様……制御不能でございますね」

「何やってんだあいつら!? あんたも冷静のままだな。こいつらしっかりと命令通りに動いてくれるのに」

「……ちょっといたずらが過ぎたようでございますね、王女様……」


 アメーダはぷいっと笑顔のままそっぽを向くと、タックゴブリンから降りて

戦闘の準備を整え始めた。


「ここからは戦闘でございますね。アメーダの力があまり使えずとも、王女様の代わりを

務める事は出来るのでございます。では……」



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