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第六百九十六話 大いなる戦い

「地獄の王が命ず。我が配下よ、ソロモンの名の許にはせ参じよ。パーガトリーゲート」


 長くそびえる蒼黒い髪が、地へと突き刺さり、イカリのように引き上げられる。

 その先には二体の者が引きずりだされるように浮かび上がって来た。


「デカラビア、参上つかまつる」

「ギーヒャヒャヒャヒャヒャ。ダンタリオン、再・降・臨!」


 出てきた瞬間ぐしゃりと踏み潰されるダンタリオン。

 こいつはやかましいからしつけが必要だ。


「ギヒャー! 何しやがるてめぇ! おうおう? おめえ本当にベリアルか? 

ギヒャアーー……随分と面白そうなやつと対峙してやがんなあ? 力が必要か? 貸してください

お願いしますダンタリオン様っていえ!」

「おいよせダンタリオン。とばっちりを食うのは御免だ。

相手はどちらですか?」

「三姉妹だ。派手にやれ」

「ギーヒャヒャヒャヒャ! あの女共、食っていいのか? いいんだな? ならやるぜ!」

「そんな楽な相手じゃねえ。精々無様をさらさねえようにするこったな、ダンタリオン」

「ギヒャ? 俺を舐めてるってのか? このダンタリオン様をよぉ!」

「御託はいい。さっさといけ。こっちは……けん制だけで今のところ手一杯か」


 見えざる幻手……これがとにかく厄介だな。

 三姉妹はあいつらでどうにか防いでいられるだろ。

 本体をけん制しつつ動き回らねえといけねえ。


「そうだった、こいつはアルカーンの知る由もないところだったな……改変! 時の中のルーニー! アルデバラン!」

「何? それは闇の……ルーニーをとどめておけん!}

「ホロロロー!」


 稲光を発したまま静止していたルーニーが、闇のモヤを纏い動き出す。

 それは幻魔界でルーニーへと封じたバラム・バロムそのもの。

 

「時を改変されたか……ならば対応せねばなるまい」


 ルーニーへと対応を始めたアルカーンを見て、一気に勝負を詰めるべく、詠唱を開始した。


 【 ᚴᚢᚾᛋᛏᚢᚴᚢᛚᛚ ᛚᛁᚴᛖ ᚹᚨᚷᛖ ᚢᚾᛚᛁᛏ ᚠᛁᚾᛘᛁᚴᚦᛖ ᛏᛖᚲᛁᛋᛚ ᚾᛟᛘᛁᚾᛋᛚᚨ ᚠᛁᚾᛘᛁᚴᚦᛖ ᚢᚾᚷᛁᛋᛚᛁᛋ ᚠᚨᚢᚾᛁᚴᛁ ᚦᚨᚱᚴᛋᛚ】


「来い、エゴイストテュポーン」


 大きな裂け口を持つ怪物が突如空中に現れる。

 それはかつて竜の集団を丸のみにした怪物。

 裂け口が動き出すと、空中に静止していた六つの武器が吸い寄せられ、飲み込まれていく。


「……先手を打たれたか。だが……」

「ギヒャヒャヒャヒャー! あの女共強すぎるぜ。だったら本体狙っちまえばいいのよ! おめえから

食らってやるぜ!」

「支配する汝の刻限」


 背後から近づいて襲おうとしていたダンタリオンは、自らの複数ある顔だけが前に出て、胴体は

後方にあるままだった。

 己自身の体がバラバラに動き出し、意味の無い攻撃が空を切る。


「ぎゃは! どうなってやがる。なんで体がこっちへこねえ?」

「時は不可逆。貴様の行いもまた、不可逆だ。弾き飛べ、時空流裏(ジクウルリ)


 別々に行動していた体がそれぞれ弾かれるように吹き飛び、消えてしまう。

 亜空間送りだな、ありゃ。

 下卑た笑いをするやつには容赦なくってとこか。

 まぁダンタリオンなら呼びつければまた来るが……まじいな。あの三姉妹を

デカラビアだけじゃ防ぎきれねえ。


「やっぱもう、勝負を決めるしかねえ」

「来い。十分に余暇は楽しんだろう。時の強さを受けるがいい……。

「こっちも負けてられねえんだよ! 。

レヴナント(死から戻りゆく)カタストロフィ(変革の一撃)


 片腕が主砲となり、相手を貫く程の一撃を放つ。それは闇を纏うルーニーと共に

アルカーンへと一気に押し寄せる。

 こいつには撃っても撃っても攻撃があたらねえ。

 全てすんでのところで止められちまう。

 だが無限に止められるはずもねえ。

 それにこちらが攻撃を行うタイミングの時は、見えざる幻手は動かねえ。


「何度やっても同じことだ。その攻撃は……」

「リーサル・レデク!」


 ギリギリとコラーダが手を離れ、一直線にアルカーンを襲う。しかしこの一撃はアルカーンではなく

三姉妹の内の一名がデカラビアとの戦いから離脱し、身代わりとなって受け、消滅した。


「……? 何だ今の違和感は」

「その技は時を超える。止める事は恐らく叶わん。受け止める、防ぐなどの方法以外ではな」


 だが決定打にはなっていない。仮に同じ事ができたとしても、後の二名がそれを防げるということだ。

 デカラビアではあの姉妹を消滅させられないだろう。なら……どうするか。

 打つ手を考えていると、ルーニーから突如黒い羽根の生えた四十一の鳥が飛び立つ。


「あれは……バラムの四十一のガァスホォークか!」


 無数の黒い鳥はアルカーンに向けて一斉にとびかかる。

 闇そのものを止める事はできないのだろう。

 煩わしそうにそれらを回避しつつ、デカラビアへ対峙していた二姉妹が鳥を追い払いだす。


「交われ、ティソーナ、コラーダよ。俺に力を貸せ。絶神剣ティラーナ、その姿を現せ」


 二つの剣は交わり、、紫色の超長曲刀を握りしめる。

 

「よく聞きやがれアルカーン! おめえはリルやサラに、だましているような感覚をずっと持っているのかもしれねえ。詫びたい気持ちもあるかもしれねえ。だがな……あいつらにとっちゃおめえがアルカーンだろうが、管理者だろうが関係ねえ。ここまであいつらを成長させたのはおめえだろ! だからな……おめえの感じる罪を俺が断ち切ってやるよ……いくぜ!」


 四メートルもあるティラーナを、直接アルカーンにむけ斬りにいく。

 その直線状には四十一のガァスフォークのうち二匹がいて、俺の時を止める行動を封じる。


「ふふふ……時の管理者を断ずる剣。受けてやろう。時空……」

「お兄ちゃん、もうやめて! お兄ちゃん! お兄ちゃん!」

「断罪の剣 コンビクシオン!」


 サラは、アルカーンが神・真化してからずっと叫んでいた。

 俺の話を聞いて、ようやく気が付いたのかもしれない。

 そして力を抜いた瞬間、俺の断罪の剣は、アルカーンへと深く刻まれた。


「お兄ちゃーーーーん!」

「貴様の……勝ちだ……」



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