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第六十五話 団体戦 初戦 デンジー三兄弟

「さぁいよいよ団体戦初戦が始まります! 今回の初戦注目はやはり! 個人船優勝者の

ルイン選手がいるチームです! あの優勝候補ベルド選手を倒した逆転劇! 感激して

好きになってしまった女性は多いのではないでしょうか!」


 耳をふさぐはずだったのに……おい、まじでやめろ。

 毎回いじられすぎだろ! 


「しかーし! 残念ながら彼には思い人がいるようです! ぜひ皆さんで、応援して

やりましょう! がんばれー!」


 会場から『がんばれー』と声があがる。

 恥ずかしすぎる……穴があったら入りたい。


「けっ。兄者ぁー! あの野郎のことみたいですぜ。気に入らねぇ!」

「まーったくだ弟よ。わてら三兄弟を無視して女の話たぁよ!」

「げーっ、げけっ」

「われらデンジー三兄弟!長兄エレギー!」

「次男、ジーキ!」

「げーっ、げけっ」

「……三男、ソウゴー!」

「「三人合わせて! デンジー三兄弟!」

「……」

「貴様らをぐちゃぐちゃにして、そっちの女どもをわてらの恋人にしてやる!」

「願望が詰まってるやつらだな……」

「いくぞっ!」

「いやまだ試合始まってないから」

「なにぃ!?」


 漫才トリオみたいなのが出てきた。

 和気あいあいで楽しそうだが……初戦で負けるわけにはいかない。


「それでは試合開始!」


 俺たちは練習通りに配置に着く。

 俺が最前線。

 ミリルはメルザを守るようにメルザの正面やや左程度に。

 立ち位置として後衛に置いた。


「そんな離れて貴様一人で戦うつもりかぁー!」

「ちげーよ」


 ジーギが二本の刀を両手で前に出して、頭から突進してくる。

 これはダサい! 

 ちょうど新しい武器の試し打ちにはなるな。

 流星錘を射出してジーギに飛ばす。

 それはとんでもない速さで射出され、ジーギの正面の刀に、ぎぃん! という

音をたててぶちあたる。 

 その勢いで、ジーギを後方に大きく吹き飛ばした。

 

 流星錘は凄い速さでがしゃりと俺の元へ戻ってきた。

 便利すぎるな、これは。

 メルザはその隙に詠唱する。

 個人戦では術を行使するのにも一苦労だろうが、相手がこちらを

阻害出来ない状況さえ作ってしまえば、楽々術を行使出来る。


「主として権限を行使。火、土の斗。改元せし二つの理。

燃流出乃、土流出乃を我が下に」


 メルザは右手で円を描き、二対のエレメンタルを解き放った。

 明らかに燃流出乃エレメンタルがでかい! 

 付与でこんなに変わるのか?

 続けざま、メルザはソウゴーに燃臥斗を放つ。


「げーっ げけっ」

「危なーい、弟よ!」


 すると、エレギーがソウゴーの前に飛び込んでソウゴーを庇う。

 エレギーの背中にメルザが放った燃臥斗が当たった。


「ぐああ! っ……だ、大丈夫か弟よ……!」


 いや、今あんたがくらいにいかなきゃ普通に避けたんじゃないか? 


 それに弟さんはさっきから「げー、げけっ」しか喋ってないんですが。

 ゲッコ族ですか? このやろー。


「ぐぅ、わては動けん。頼んだぞ、弟たちよ!」

「兄者ー! おのれぇ、よくも兄者を!」


 起き上がったジーキが俺を睨む。磁力バリバリだ。


「……もう片付けていいか?」

「なにぃっ?」


 後ろからメルザが超でかい燃斗をエレメンタルと一緒に叩き込もうとしていた。 

 フル装備にさらに強化したソレは絶対くらいたくない。

 三兄弟は固まり、震えながら場外へ飛び降りていった。

 おまえら、絶対ネタ参加だろ! 


 俺たちは精神的に疲れながらも、初戦を勝利した。

 ミリルさんの出番、なかったな……。

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