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第六百八十三話 名を叫ぶと……

 丘上での話を終えると、この場に来ていた多くの仲間たちに事情を説明して一度封印に戻した。

 白丕が戻れば四幻全員がそろうこととなる。

 どうやら夜通し作業に従事していてくれたようで、小屋にいたナナー、ビュイ、沖虎とアメーダを

除いて全員眠りについたようだ。  

 

「皆、真面目だな……なぜそこまで親身になってくれるんだろう」


 ぼそりと呟くと、沖虎が口を開く。


「それは主に使えているからでしょう。主従の関係は拳固なものでありましょう? その指示を受ければ

身を粉にして働く。それが使える者の務めです」

「しかしそれをお前たち全員に強要したりはしない。全員が俺に出来た新しい仲間だ。お願いはしても

命令はしたくないんだ」

「そういう主だからこそ、皆親身になって働くのですよ。ベリアル殿とあなた。真反対のようで似ている。

不思議だが、魂の共有とはそういったものなのかもしれませんね」

「ああ……そうだな。あいつ、まだ寝てるのか。そろそろ起きてもいいころだろうに……」



 沖虎と話しつつも、崩落のあった場所付近に再び戻る。

 話二聞いていた通り、底は見えずとても暗い。

 ナナーにも確認してもらったが、やはり見えないという。

 

「やはりこれはただの崩落じゃないな。部分的にくりぬかれたようだ。

聴こえるか! ビー! 聴こえたらお前の正式な名前を名乗ってくれ! 俺の声は聞こえてるか?」



 自分の声が穴付近に児玉するが、返事は帰って来ない。

 やはり、ダメか? 

 何度か声を大きくして叫ぶものの、帰って来るのは自分の声ばかり。

 

 こうなったら単身で切り込むしかないか。

 そう思った時だった。

「見つけたのでございます。ちゃんと生きているのでございます。これから……」

「そこの魂がぶれてるお前。死にたい? 一緒に遊びたい? それともあっちの世界に行きたいの? 

そっちのお前は動くな」

『っ!』


 俺の喉元には鋭い紅色の長鎌が当てられていた。

 そいつは黒いフードを被り、長い鎌のうち一本を俺へ、もう一本をアメーダに向けている。

 長鎌という武器の利点。

 リーチがとても長く、刈り取る形がゆえに対象に与える恐怖心を増大。

 剣とは違い、自分の位置を死角にもっていきやすい。

 重量と持ち運びの問題さえなければ、槍とも十分に渡り合える優れた中距離武器。

 殺傷力も高く、付与能力もつけやすい……しかし重量ゆえ、振り下ろす、横へ薙ぎ払うが精々だったか。

 滅多にレジェンダリーやアーティファクトが出土されない武器でもある。

 

「質問で返さず答えなくてはいけないのでございます!」

「……その三択なら一緒に遊びたい、だ」


 これがアメーダの言っていた死霊のプリマであるなら、嘘はつけない。

 そしてとっさのアメーダの反応……どうやらよくない事態なのだろう。


「そっちの叫んだ奴、名前は?」

「アメーダ……でございます」

「……死霊族のアメーダがここで何してる? シッカリーの命令か? あるいはこれから遊ぶ奴に付き従ってるのか? ……でも質問しちゃったから聞けないしいいや。そっちの魂ぶれ君との遊びはロブロードっていう最近流行りの遊びさ。勝ったら何でも好きな事を一つ聞こう。君が負けたら君はプリマの所有物。不要な奴ならそこから落とす」

「最悪の事態でございます。このままでは……」

「遊びが終わるまで、プリマの領域からは一切出られないよ……」

「いいよ。受けるしかないんだろ。早く始めよう。駒は自分で持っている。それを使っていいよな」

「構わない。経験者か。楽しみだ……」


 まさかこんなところでロブロードを行う事になるとは思ってもみなかった。

 ヨーゼフやビーもロブロードに負けて崩落を受けたんじゃないよな……。

 それにしても、質問してしまったから聞けない……か。これはいい事を聞いたのかもしれない。

 俺に名を訪ねると思っていたが、

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