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第六百七十六話 命真水

 大量のモンスターにおいかけまわされつつ、俺たちは鉱山内部を移動。

 幸いにもでっけぇシリーズのモンスターは来ていないようだ。

 ひとまず安心だが……後々の事を考えるとそいつらも倒す必要があるかもしれない。

 

「おい。なんで俺が逃げなきゃならねえんだ。こんな雑魚モンスター共、止まって

倒してきゃいいだろうが」

「仕方ないだろ。沢山の骨蔵族つれてるんだから。今は我慢して泉まで行くぞ!」

「くそ。振り回されるのは好きじゃねえってのに」

「ふふふ。こちらも報告がございますので、急いで欲しいのでございます」


 俺たちより速い速度で前を行くアメーダ。

 身軽さでも上をいかれるのか。

 これでも三人の師匠に鍛え上げられたっていうのに。

 上には上がいるもんだな。


「くそ、化け物女め。斥候より先に行くんじゃねえ!」

「大丈夫でございます。もう到着する故」


 確かに外から差し込む光が強くなってきた。

 この部分、もう少し光が入りやすいように入り口を大きくする必要があるな。

 いや、その辺りはルーンの町に開通して、全員連れてきてからだ! 


「よし、抜けた……ってうぉお! 封剣! 赤閃!」

「グルォオオオオオオオオオ!」


 外に出た途端、でかい虎のような熊のようなモンスターが二匹待ち構えていた。

 とっさに赤閃で襲ってきた爪を凌ぐ。


「ちっ。ウルフグルードかよ。厄介なモンスターだぜこいつら」

「邪魔でございます。消えなさい」


 アメーダがウルフグルードと呼ばれたモンスターに手をかざすと、二匹とも空中に

浮かび上がり、上空遥か彼方まで吹き飛ばされた。

 ……無茶苦茶だぞ、こいつ……。


「少し見ない間にモンスターの生息地となってしまったようでございますね。

木も生い茂り、綺麗な泉が見えないのでございます。少々片付けますから

お待ち頂いてほしいのでございます」


 そう言うと、両手を水平に伸ばし、体を小刻みに回転させる。

 そして……まるで小さなハリケーンのようなかまいたちを体で実現させ、あたりの

木々や草を薙ぎ払っていく。


「おいティソーナ。あれ、できるか? 俺たちでも」

「無理でごじゃろ。目が回って吐くでごじゃろ」

「お前、吐けるのか」

「吐くのは御前でごじゃろ!」


 ティソーナとそんなやり取りをしている間に、あっという間に木も草も切り倒された。

 しかも切り倒した木ははじっこに丁寧に敷き詰められている。


「これで準備は上々でございますね。シカリー様も納得いくのでございます。

これより泉を領域へとお繋げするのでございます。マーキングしたあなた様の

手を、泉に浸けて欲しいのでございます」

「あ……それで俺じゃないとダメだったのか」

「いえ、それだけではございませんが……さぁお早く」

「わかった。こう……か? ここの水、冷たいな」

「ただの水ではございませんから。これは命真水という特殊な水でございます。

薬の材料にもなるのでございますよ」

「そんな貴重な泉を、領域への道にしてしまっていいのか?」

「ここでなければ難しいのでございます。さて、詳しいことは全ての事が終わった後に、町で

お話するといたしましょう……古代アルカイオスの力を持って領域を制す。

汝の名はウガヤ。己が誇示する力と欲を抑え我が意のままに従え」

「ウガヤ……だと?」

「ふう。これで繋がったはずでございます。ウガヤについても

後ほど、お話するのでございます」

「あ、ああ。今は信じて進むしかないな……ここへ直ぐ、戻って来れるよな?」

「もちろんでございます。まずはあなた様お一人、進んでみて欲しいのでございます。

奥方様は領域へ置いて行かれるのでございましょう?」


 こくりと頷き泉へと浸かる。

 さっきまでとは違い、冷たさをあまり感じなかった。

 ――――懐かしい。この感じ。

 初めてメルザと会い、泉に飛び込んだ時の事、思い出すな……。


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