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第六百七十二話 久しぶりの……

「あれって宝箱だよな?」

「お? あれ欲しいのか? 持ってっていいぞ。俺たちには使えねえからよ」

「いいんですか? ツァーリさん。だってあれ……」


 そう、それはどう見ても紫電の宝箱だ。

 確実にいいものが入っている。

 いや、骨が出てくる可能性もあるんだけど。


 宝箱の目の前に来ると、封印されていたみんなが出てくる。

 突然見つけた宝箱に皆興味津々のようだ。

 無理もない。紫電の宝箱は本来そうそうお目にかかれないのだ。

 ましてやここは廃鉱山の隠し場所のようなもの。

 いいお宝が入っている可能性は高い。


「なぁなぁ。あの箱、開けてもいいだ?」

「早く開けて中身を確認するのだ」

「でも、罠とかあるんじゃないの?」

「紫電の宝箱に罠はない。貴重な装備や装飾品が入っているに違いないんだが……凄く不安な気持ちにも

なるんだ」

「おじさん、出てこないわよね……」

「お、おいおめえら。アンデッドがこんなにいやがるってのに悠長に箱開けてる

場合じゃねえだろうが! さっさとこの場からずらかるぞ!」

「エプタよ。ちみは何をそんなに怯えているのだ?」

「ふぅーん。あいつにも案外弱点ってあるのね。うふふ、いいことしっちゃったわ!」

「サラは笑い方下品っしょ。でもちょっと面白いかも」

「レミちゃんはぁー。宝箱以外気にならないなぁ。まだなのー?」

「全員落ち着け。開ける……」


 俺は、はっとして手が止まる。この役割は譲る事にした。

 こういうのは幸運の女神にでも委ねるべきだ。

 そうに違いない。さらに子供の純真無垢さがあれば安全は高まるはずだ。


「ナナー。頼む」

「ナナーが開けてもいいだ?」

「ああ。やってくれ。俺よりいいものが出そうな気がするんだ」


 ナナーにこの重要な役割を任せる事にした。

 アルカーンさんの新しくもらったベルトのような、最高峰の装備でも

入っていると嬉しいんだが……アーティファクトを期待するのは難しいか。

 しかし一気に封印穴が増えたから、これでもう少しシフティス大陸のモンスターを封印出来るんだよな。


「お、おめえのそのベルト、恰好いいな。見せてくれよ」


 パキャッ。


 箱を見ていた俺は、後ろにいる骨の存在に気づいていなかった。

 封印穴を撫でていた俺は、後ろを振り返ると、ツァーリさんを吹き飛ばしていた。


「え?」

「ん?」

「あ……」

『あーーー!』


 後ろにいた骨……ツァーリさん。

 俺はどうやらやってしまったらしい。

 ツァーリさんを……封印してしまった。

 完全なる不可抗力。

 不可抗力で骨を殺めて……違う。骨を封印してしまった。


「おお、何だこれは。面白ぇ! おお? おおお? 頭だけも出せるぞ? どうだ? おい」

「……やっちまった」

「宝箱、変な棒と小さな同じ色のナイフが二本、それと綺麗な宝石と紙きれが入ってただ!」

「お、おお。やったな……」


 当たりっぽい話をしてくれているナナーたちとは裏腹に、事情を理解している面々は

茫然としている。

 俺は新たな骨仲間を何も聞かずに手に入れてしまった。

 ひとまず事態をツァーリさんに説明すると……「本当か? つまり俺は何処にでも行ける肉体を

手に入れたも同然ってことだな? やったぞ! ついにあんなことやこんなことが出来るんだな? な?」

「あ、ああ。肉体じゃないけど自由には動けるはずだが……すまない。その、悪気はなかったんだ」

「何言ってやがる。最高じゃねえか! よし、さっさと泉までいこうぜ。話はそれからだ。

おいおめえら! 俺は今日より新しい町にいく! おめえらもついてこい!」

「へ?」

「こいつら全員俺の部下みてえなもんだ。俺の行くところにこいつらアリってなわけよ。そんじゃ泉に

行くぜえ!」


 俺は取り返しのつかないことをしてしまったらしい。

 ルーンの町に新たな住骨が増えたようだ。

 みんな、できれば仲良くして欲しい……。

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