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第六百六十四話 アースガルズを抜けて、いざ廃鉱山へ

 結局アルカーンさんを連れて戻ったら、それはそれはびっくりされ、警戒され、腰を抜かされと

それぞれの反応を見る事になった。

 肝心のアルカーンさんは三人にはあまり興味を示さず、残っていた食料を食べ始め、シフティス大陸の

風景などに興味を示していた。

 この人まさか、食糧が底を尽きて食事を取りにきたわけじゃないよな……。

 そもそも妖魔は他人に無関心な者が多い。

 その代表格といえるのがアルカーンさんだろう。

 

「おい、時計の新しい知識はないのか?」

「ありますけど今は深夜ですよ。そういった話はこれから鉱山に向かう途中にでもしますから」

「そうか。期待している。サラはどうだ?」

「眠ってますよ。起こさないでくださいよ? 起こすと面倒なんです、サラはとっても」

「あいつは昔から寝起きが悪いからな。勘弁してやってくれ」

「別にそういう意味じゃ……ああ、なんだかんだいって、サラのお腹の子が心配なんですね」

「……まぁそうだな。あいつは物心つく前より親がいない。俺が親代わりとしてもっと見てやらねば

ならなかったのだ」

「そんなに背負う必要は無いと思いますよ。リルの事だってあなただけが背負う問題じゃない。

何か大きな事が動いている。それだけです。それに……何度も助けに向かおうと試みたのでしょう?」

「……弟や妹を助けるのは、兄としての務めだからな」

「すべての兄弟がそうできるわけじゃない。それにリルを助けたいのはアルカーンさんだけじゃありません。

先ほども話しましたが、任務を終えれば地底へ行けるかもしれませんし」

「俺にも手伝わせろ。そろそろお前も実力的に俺と並ぶ程には成長しただろう?」

「どうでしょうね。既に、越えているかもしれませんよ?」


 それを聞いてアルカーンさんは眼鏡をくいっと上にあげる。

 心なしか笑っているようにも見えた。


「面白い事を言うようになったな。このアルカーンを越えた……と。

能力が戻ったら少し試してみるか?」

「いいんですか? あなたと戦えるのは願ったりかなったりなんですよね。

散々驚かされた分、一発殴ってやろうかと思ってました」

「ふふふ、ここまで飛ぶのに封印された時間は約二十八時間だ。楽しみにしているぞ」


 そういうと腰を下ろし目を瞑って眠りについた。

 どこでも眠れるんだな、この人……というか朝一番で水浴びして欲しいな……。



 翌朝、騒ぎになったことは言うまでもない。

 だが、兄妹のやり取りを見るのは嫌いじゃない。

 レッジとレッツェルもそうだが、兄と妹か。

 どちらの兄妹も良い関係だ。

 少し抜けているところがある兄と強烈な妹というアルカーン、サラカーン。

 しっかりした兄に、守られている妹といったレッジ、レッツェル。

 仲間という結びつき以上に、兄妹としての強い繋がりを感じた。


 だがそれを言うなら俺とベリアルもそうなのかもしれない。

 強い繋がりを持つ魂。

 彼らみたいにはうまくいかないが、助け合わなければいけないな。


「どうしたっしょ? そろそろ出発するよ」

「そうだな。今日中に廃鉱山に着かないと」


 俺たちは再び進み始める。既に雪が見え始めるエリアへと差し掛かっていた。

 ここからは多くのモンスターを倒していく事になる。

 しかし俺の仲間たちはとても強い。

 アースガルズの国を抜け、新たな旅路が始まろうとしている。


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