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第六百四十八話 死霊族とのロブロード

 かなり久しぶりに駒を触る。

 昔はよく触っていたおはじき。

 当時の物とはかなり異なるが、体は覚えているものだ。


「やはり考案者なだけある。実にうまい。私の負けだ。君からの質問を受けよう」


 勝負はあっという間についた。

 というより相手はわざと負けたように見える。

 俺の指の動きなどをずっと見ているだけで、自分の番は適当に弾いていた。


「ではお聞きしたい。俺をどうしたいのか。原初の幻魔の生き残りをどうするつもりなのか。

あなたたちの目的は? この世界で暗躍している者たちの心当たりは?」

「ふふふ、君はなかなかに欲張りだね。一度にそれほど質問してくるとは思わなかった。

そうだね、私としては君がこの先もっと面白い遊びを考えたり、楽しい施設などを造ると

考えている。よって君を失うのはゲンドールとして大損だ。そうはさせたくない。

原初の幻魔というのは君の妻の事だね。あの娘は死霊族にはならないだろう。我々の興味を

引くところでは無いよ。強すぎる力を持っているのは間違いない」


 そこで一旦話を切り、一口飲み物を口にする。

 死霊族といっても飲み物は普通に飲めるものなんだな。

 レウスさんとかでもこぼしながら飲んでるから、それが当たり前なのか。


「我々の目的は絶対神に支配され過ぎないゲンドールの維持。

それと敵対する死霊族の領域を潰す事だ。この世界で暗躍している者の心当たりは……ある。

複数いるが君に話すつもりはない」

「かなり情報が多いな……しかし最後の俺に話すつもりが無い……とは?」

「君の死ぬ確率が跳ね上がるからだ。最初に述べた通り、我々は君を失う事をよしとしない。

君はこの先もやるべきことがあって行動しなければならないのだろう? 今は君と対談し、ロブロード

をやるだけでいい。だが、そうだね。君に一つだけ仕事を依頼しよう。見返りと引き換えにね」

「仕事と見返り……? 一体どういうことだ」

「そうだね。そちらの話せない王女の声も戻してあげようか。悪い話ではない」


 一体次から次へと何を……いや、きっと死霊族というのはそう簡単に人の前に現れる事がないのだろう。

 ゆえに珍しい来客との会話が……楽しいのかもしれない。


「内容によっては、手伝ってもいいかもしれない。でもまだ信用したわけでは……」

「信用はそうだな。今日会ったばかりだ。直ぐには難しいものだろう。私も

君を信用しているわけではないよ。互いに欲するものを正確に渡しあわなければ生まれないものだ。

違うかい?」

「いや。その通りだと思う。それで、内容は?」

「シフティス大陸が西と東に分かれているのは知っているかな? 君の居た場所は西側に分類される

シフティス大陸西部。東部へ渡るには巨大な一本橋を渡る必要がある。ある物を持って

大陸東部の場所へ設置してきてもらいたい」

「ある……もの?」

「警戒しなくてもいい。ただの、花だ。場所はアメーダへと伝えておく。

ついでにアメーダを君に憑けよう。自由に使ってくれて構わないよ」

「その場所まで向かうのは、かなり困難であると?」

「ああ困難だろうね。しかし他に道はない。上空から行けば即死は免れん。

地下道もない。転移も不可能だと言っておこう」

「その場所へ向かう前にどうしても、アースガルズの国に一度戻りたい」

「それだけではないだろう? 子供が産まれる、それとアルカイオス幻魔が戻る。違うかい?」

「そこまで知っているのか……」

「君のこれからすべきこと。それらを済ませた後、しっかり支度をして向かうといい。

君への報酬はそうだね。私との修行……にでもしておこうか。ふふっ……」

「シカリー様、本気ですかな?」

「ふふふ、それは彼次第だ。アメーダ、絶対に殺させるな。いいな」

「承知いたしました。それでは、ルイン様。よろしくお願い申し上げます。シカリー様。

失礼いたします」


 ゆっくりと立ち上がり部屋を出る。あちこちにあるヘンテコな機械のようなものを再び見つつ

外に出ると、入っていた建物は跡形もなく消え去った。


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