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第六百三十八話 哨戒任務

 敷設されたコテージのうち、中央右に位置するコテージに案内される。

 それと同時に外は激しい雪が降り始めた。

 

「失礼します。コーネリウス様。お連れしました」

「ああ。ありがとう。雪の中すまないが、君は外してくれないか」

「はっ。メイズオルガ閣下にはお話しせねばなりません。報告に向かいます」

「そうしてくれて構わない。閣下にも合わせたい御仁だと伝えてくれるか」

「はっ!」


 案内してきた者はコーネリウスへ敬礼すると、ジェネストへ会釈し、猛吹雪の中を駆け足で出ていった。

 

「礼儀正しい部下ですね」

「彼は僕の部下ではないよ。初めまして……かな。そそれより彼の顔をよく見せてくれないか」


 ゆっくり近づくコーネリウスに、少し警戒するジェネスト。

 無理もない。かなりの強者である雰囲気を持っている。

 或いは戦闘であるなら一対一では不利かもしれない。


「そう身構えないで欲しい。とって食おうというわけじゃないんだ。

ああ……そうだよ。本当にボロボロだけど、帰ってきてくれたんだね。

どうか、どうか礼を言わせて欲しい。ツイン・シー。君を……待っていたのに戻らなかった。

どれほど心配したか。大恩だけ残して死んでしまったのかと。心配していたよ」


 コーネリウスはルインへ駆け寄ると、ジェネストが支える体から彼を受け取り、熱く抱擁した。


「コテージの奥にベッドがある。そちらへ運ぼう。私が運んでも?」

「すみません。彼の知り合いだという事だけでそこまで信用するわけには……」

「それじゃ一緒に運んでくれるかい? もう一人彼にお礼を言いたい者がいるんだけど

残念ながら言葉が話せなくてね」

「すみませんが、あなたと彼との関係をお話し願えますか?」

「そうだね。どこから話せばいいのかな。その前に君は、彼とはどういった関係なのかな?」

「……主。そうお伝えすればいいのでしょうか」

「君も奥さんだったのか!? 彼は本当にモテるんだね」

「断じて違います!」

「あれ? 違うのか。つまり部下……のようなものなのかな」

「ええ。その方が伝わりやすいでしょうね」

「ではこちらの話をしよう」


 そう言うとコーネリウスは、これまでの経緯をジェネストに話して聞かせた。

 それを聞いて警戒を緩めたジェネスト。

 味方で間違いはないと判断したようだ。


「こちらでは現在哨戒任務中とのことですが……敵はどのような? モンスターでしょうか?」

「ああ。かなりの大群だ。以前オズワル伯爵が抑えていたモンスターの集団が北西より飛来してきている。

見ての通りこの地は雪が深く、雪にまつわるモンスターが多い。

にもかかわらず、この国には雪のモンスターに対抗できる戦力が非常に少なくてね。

援軍を呼んでいる最中なんだ」

「そこに彼の親友が向かっているという話でしたが、まだ戻らないと?」

「……ああ。もう戻ってきてもいい頃なんだが……何かあったのかもしれない。

とはいえ我々の任務を放棄するわけにもいかなくてね。まずはモンスターの群れを……どうした?」

「……いえ。彼なら必ずそうしろと言うでしょう。それが主の意思ならば、私はそれに従い動きます。

それが……認めてしまった私の務めですから」

「つまり、協力してくれるのか? 君が?」

「いいえ、君たち……でしょうね」


 その場に一斉に出てくる仲間たち。

 その姿を見てコーネリウスはただただ驚くばかりだった。

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