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第六百三十六話 幻魔界から出た先は、何処?

新章スタートできました!


 幻魔界を抜け出したルインたち一行。

 ジェネストが幻魔界へ来るときは、ホムンクルスの血を用いてくるのだと言う。

 それと同様の事を目の当たりにしたルインは、少し青ざめた。


「そんなに……血がいるのか」

「ええ……おや? 話し方が戻りましたね。ベリアルはお休みですか」

「力を……借りていただけだ。だが、どうやら俺も休まないとダメらしい」

「そうでしょうね。ここからは我々があなたを守ります。暫く休んでいなさい」

「はは……そういうだろうと、ベリアルと話していたんだ。俺は……恵まれて……るな……」

「どこがですか。本当に恵まれている人が、あなたのような努力をする必要などない。

もっと楽に生きている。それにあなたは誰かに恵んでばかりです。自重して欲しいものですね」


 だが答えは無かった。既に気絶しているルインを背負い、血にまみれたジェネストは、彼を

担ぎながら幻魔の領域を後にした。


「ジェネスト殿。私に変わらせてもらえないだろうか。私の背であれば楽に寝かせておけるはず」

「あなたは……白丕でしたね。傷はもういいのですか? 平気そうならお願いします」

「大丈夫だ。随分と一人だけ長く、休ませてもらった。本当に幻深の朱には殺されるかと思った」

「やはり恨んではいない……というよりむしろ尊敬しているようにも思えます」

「ああ。彼女は私より強い。そして、恨むような事はない。逆らえぬ力により行動していたのだろう。

それは私も同じだと思う。あの……幻獣を見た時、震えが止まらなかった」

「ウガヤですか。あの存在はあまりにも危険ですね。しかしメルザ殿が行使なされた時とは明らかに違う。

あれは同じウガヤなのでしょうか?」

「あの力を使う者を知っているのか!?」

「ええ。少々心当たりがあります。それは彼も知ってのところだと思いますが……そろそろ到着します。

それなりの衝撃がありますので気を付けてください」

「ああ。あなたとは後ほどゆっくりと話したい。ついに……地上か」


 ジェネストと白丕は幻魔界を出ると、見知らぬ場所へと降り立った。

 そこは緑に囲まれた自然豊かな土地……ではなく、上空に雨雲があり、絶えず雷が鳴っているような場所。


「ここは何処でしょう? おかしいですね。許の場所へ出るはずですが……移送を歪められた?」

「ここが地上……なのか?」


 上空から降る雨に白丕は少し戸惑っている。

 外は肌寒く、雷光は恐ろしく見えた。


「ひとまず近くにある木陰に避難しましょう。広い場所は落雷の危険があります。

群集している木の方がまだマシです」

「わかった。飛ばすとしよう。ジェネスト殿も乗ってくれ。

主殿が振り落とされぬよう抑えていて欲しい。飛ばしていく」

「わかりました」


 ジェネストがふわりと虎の背に乗ると、ルインを抑えながら少し離れた場所にある木の密集地帯を

目指す。

 途中何度か落雷にあいそうになるのを回避する白丕の動きは美しいものだった。

 ここは一体どのあたりなのかを確認したいが、今のところはさっぱりわからない。


 木陰に入ると、ナナー、ビュイ、ルジリト、そしてサーシュが封印から出てきた。

 全員地上へ出てくるのは初めてで少々戸惑っていたり、寒がっていたりする。


「ここが地上ですか。いきなり雷術でお出迎えされるとは思いもしませんでしたな」

「随分と用向きが変わってしまったようです。申し訳ありません」

「ジェネスト殿。先ほどから謝ってばかりだが、どうされたのかな」

「いえ。なにせ主がこの体たらくでは……」

「確かに、幸せそうな顔して寝てるだ」

「本当だな。顔に落書きでもしてやろうか」

「上空に調べの兆しアリ。確認が必要?」

「ふふっ。あなたたちは初めての地上にも関わらず、普段通りでいられるのですね。羨ましい」


 それぞれ思い思いの行動を取ろうとする四幻のメンバーを見て、少し笑みをこぼすジェネスト。

 この状況において、自分一人では無かった事に安心感を覚えている事に気づく。


「やっぱり……少し変わりましたね……私は。ホムンクルスにも関わらず、多少なりとも

情が出た様です。不思議ですね……さて皆さん。あまり良い状況ではありません。

周囲の確認、情報が欲しい。動いてくれますか?」

「当然ですな」

「任せて欲しいだ。食糧とってくるだ?」

「私も食糧をとってこよう」

「ここで彼を守っている。沖と彰は周囲の警戒を」

「空から偵察を」

「ぱ、ぱみゅ!」


 皆、思い思いに行動を開始する。

 主を守るために。

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