間話 幻魔界でとれた必要な物を持って
ウォーラスとレウスさんから幻魔界で取れる薬の材料を受け取ったシュイオン先生とスピア。
二人は深く感謝する。
「これが……ありがとうございます。これでついにメルフィールを……夢のようです」
「いやーよかったよかった。楽しいとこだったぜ? な?」
「楽しくないカベ。そこら中瘴気で満ち溢れていただけカベ。でもお陰で毒耐性をさらに獲得できたカベ」
「ふっふー。俺も更に磨かれた骨になってきたぞ。どうだ美しいだろう、この骨の色。
骨の隙間から瘴気を出せる技まで身に着けたんだぞ? な? 見てみるか? な?」
「い、いえ。遠慮しておきます。レウスさん。それより……セーレさんにお願いして欲しいことがあるのですが」
「それならもう頼んであるカベ。ウォーラスもレウスも一緒についていくカベ」
「俺たちなら乗せてっても問題なく飛べるからな。スピアのお嬢さんと先生だけだろ?」
「ええ。他の皆さんはとても忙しそうです。彼のセーレさんを勝手にお借りするのは忍びないのですが」
「何言ってるんだ、先生。主なら何て言うか知ってるか?」
「えっ?」
「聞くまでもないカベ。急いで行ってあげてくれカベ」
「そういうことだ。俺とあいつは誰よりも長ーーーい封印関係。
言わばマブダチの相棒ってわけだ。だから言わなくてもわかっちまうのよ。それが俺、レウスさんだ。
だっはっはっは!」
「言ったのは……ウォーラスさんだったような……でもありがとうございます。そう言っていただけると
少し心苦しさが和らぎます。今急いでスピアを呼んできますね」
「いや、来たみたいだぞ。荷物をもって。よくできた助手に成長したな? な?」
ちょうど宿屋からスピアが荷物をまとめて駆け足で来るところだった。
久しぶりに領域へ戻れるのが嬉しいからか、満面の笑顔だった。
「スピア。荷物をまとめておいてくれたんですね。ありがとうございます」
「領域に帰れるんだろ? 早くリンドヴルムに会いたいんだ! お土産も買ったんだ。お小遣いで」
「そうですか。それはきっと喜ぶでしょうね。どんなものを買ったんですか?」
「これだ! この地にいるっていう竜の絵なんだ!」
「ほう……随分と美しい絵ですね。リンドヴルムは本当に竜が好きなんですね」
「うん! いっつも竜の話してるよ。温泉でゆっくりしたいなぁ……」
「それは大賛成です。私も入りたいですね」
「先生も一緒に入るか? 先生ならいいぞ!}
「い、いえ。私は女性と温泉に入るのはちょっと……」
「なら俺が入っていいか? いいよな? な?」
バコリと骨を吹き飛ばすスピア。
どうやらダメだったようだ。
「セーレももうまもなくくるカベ。今やれることをやるカベ。それを主も望んでいるに違いないカベ」
「そうですね。折角薬の材料を手に入れてくれたのに、何もしないままではそれこそ彼をがっかり
させてしまう。見ててください。あなたに頂いた希望。ちゃんと果たして見せます。
メルフィール……今、行きますからね……」
セーレに乗り込むと、トリノポートへ向けて飛翔する。
シュイオン先生の戦いは、まだこれから始まろうとしているのだった。