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第六百三十四話 強すぎる力、エグゼキューション

 玄の盾はそのまま手前にいたラージャ……恐らくミストラージャへと

鋭い回転を伴いながら激突する。

 多大なダメージは与えたはずだが、やはり貫通はしなかった。

 しかし翼部分を切断。ぐらりとその巨体を大きく崩している。

 その崩れた隙間から後方にいるラージャがブレスの構えを取っているのが

目についた。


 正面、どうしても回避できない位置取りでブレスを取られた場合……


「白の身代わり……虎徹」


 左腕の腕甲を抜き去り、位置を修正する。右手はもちろん暴風を出したままだ。

 こいつはレピュトの手甲が無ければできない所業。


 生み出された白虎の腕甲をブレスに向けて投げつける。

 これで防ぐわけじゃない。方向を逸らすだけだ。

 それが虎徹の力。

 白丕が本来持つ力の一端らしい。

 幻深の朱に襲われた時も、これでどうにか命を落とさず済んだようだ。


「いい力持ってるぜおめえらは本当によ。これだけ近けりゃ……」


 さらに上方にいる一匹も、サーシュ、ルーニー組により朱色の炎熱で

身を焼かれ、ぐらりと体制を崩した。

 そのまま落ちるのではなく、その反動を生かして己の爪を飛ばし攻撃してきた! 


「ジェネスト。クリムゾン。おめえら二人の剣、使わせてもらうぜ! 

強・アニヒレーションズ」


 目の前に迫る爪を、自らの速度を落とすことなく無数の斬撃で撃ち落としていく。

 そのタイミングでラージャ三匹が一直線に並んだ。


「救罪の剣サルバシオン、執行の剣エヘクシオン、生罪の剣ペカドクルード。

まだ一つ使えてねえが……見たことがある固有技ならできねえ道理はねえ! 

全てを貫きやがれ! エグゼキューション!」


 ティラーナを正面に大きく構える。あの時は剣三本が見えた。

 しかしこいつは融合させた一本。

 ……リーサルレデクの時と同様、剣がギリギリと動き出し、手元を離れる。

 それは三百六十度、時計回りに回転しだし、残影を残してあっという間に

三匹のラージャを貫いてみせた。

 

 招来されたラージャ三匹は、何の音も発さないままはじけ飛び、その姿を消した。

 それはあまりに一瞬の出来事であり、強すぎる力だと感じた。


「勝った……ってのになんだ、この震えは……これがティラーナの力か。

あれほどの化け物が、その存在すら認識できず葬れる程の一撃かよ……」


 突き抜けたティラーナがこちらへ戻ってくる。左手で受け取ると、再びそれを

ティソーナ、コラーダへと戻した。


「強すぎる力だ。それだけは間違いねえな……さて、ウガヤはどこいきやがった?」


 辺りを探すがウガヤの姿は見当たらない。

 決着はついたとするべきか。

 あるいはまだ襲ってくるつもりなのか。


「どちらにしろ、今襲われたらやべえな……」


 地面に降りると立っていられず膝をつく。

 かなり消耗したようだ。無理もない……新しい造形術を多発させた。

 呼吸を整え辺りを見回すが、ウガヤの姿は見当たらない。

 目的が俺自身ならあれで諦めるとは思えない。


「っ! 地中か!」


 着地した地面がどんどんと隆起していく。そして……巨大なゴーレムが

次から次へと現れ始めた。


「ちっ。幻奥の青は……あっちか。 被害が及ばねえよう離れた場所に寝かせたのが裏目に出やがった!」


 次々現れるゴーレムを回避しつつ、幻奥の青の許へ向かう。

 くそ、間に合わねえ……「私が行く!」、「待つのだ!」「空からの援護、ここにアリ」


 幻浅の玄、幻中の白、幻深の朱。それぞれが一斉に飛び出して、幻奥の青へ駆けつける。

 

「へへっ。そうだよな。おめえらは四幻。互いをよく知らなくても、同じ幻魔の界隈に生まれ育った

仲間みてえなもんだ。迎えるのは俺である必要はねえ。担いだらこっちに放り投げろ! 

封印する! 悪いが文句は言わせねえぜ。一人だけはぐれさせるわけにいかねえからな」



 飛び出した三人は聞こえていなくともそうするだろう。

 それを信じて、周囲のゴーレムを一閃する。

 

「回収すりゃこっちのもんだ。ここに用はねえ。幻魔界……封鎖も考えたが無理だな。

引くぞ!」


 

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