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第六百三十二話 集結セし力、ベリアルの戦い方

「殿方殿! お見事でした」

「クリムゾン。おめえが襲ってこなくて助かったぜ。身内にやられながら戦うのはやりづれぇからな」

「精々私に感謝することですね」

「ああ。感謝してるぜジェネスト」

「ふん。深淵に見舞わせますよ?」

「あなたの話し方、少々ベリアル殿寄りになりましたな」

「今は共鳴中ってとこだ。気にすんな。それより……終わりじゃねえぜ。ありゃ多分ウガヤ……の精神体だろう。半端じゃねえぞ」

「あれは殿方殿の主が招来していた神の力を持つ幻獣ですな。

こちらを見たままずっと動かないように見受けられるが……」

「いや、多分放出する準備だろ。領域そのものを生み出す文字通りの化け物。

ある意味世界の理を司ってる存在みてえなもの。つまり、絶対神クラスかもしれねえな」

「そんなものに襲われて、勝ち目があるとでも」

「わからねえが……あいつにとってみれば俺たちは領域を侵犯した敵ってことなのかもな。

俺たちじゃなく、俺だけかもしれねえが」

「もしかすると……あなたの幻魔の宝玉や闘魔の宝玉を回収しようとしているのでは?」

「さぁな。どちらにしろ、そろそろ……くるぜ!」


 上空に漂うウガヤは、その口から無数の卵を吐き出していく。

 合計で三つ。それは直ぐにヒビが入り、中から何かが飛び出してきた。

 見た事がある。当然だ。

 幻魔獣クレルクラージャ、ミストラージャ、ユビルラージャ。

 

 やはり幻魔界に生息すると言われた竜。

 出来れば対峙することなく戻りたいところだったが、そうはいかないか。


「これは……果たしてどうにかできる相手ですかな」

「急げばまだ戻れます。退避を」

「無駄だ。恐らく……地上まで追って来るぞ、こいつら。

おいお前ら! 十分な休みを与えられたとは言えねぇ。傷も癒えねぇうちからおめえらの力を借りるのは

望むところじゃねえ。だが……そうも言ってられなくなった。全員俺に力を貸せ。

ジェネスト。おめえもいい加減腹くくれ。イネービュの奴にもらったソレは、クリムゾンそのものを

どうにか出来るものだろう」

「何を……言っているのですか」

「早くしろ! 時間がねえ! ルジリト、策をよこせ!」


 三匹の竜は上空で大きく顎を上げると、ブレスを吐く準備を始める。

 半端なブレスじゃない。

 辺り一面軽く焦土と化す程のブレスだ。


 すぐさまルジリトより意思が伝わってくる。

 ブレスを受けきるのは困難。身動きがとり辛くなるが、上空へ思い切り退避。

 ただし垂直ではなく東寄り後方へ飛べ……か。

 まずはそれで十分。


「遅ぇぞジェネスト! 仕方ねえ。クリムゾンも一度東後方へ飛べ!」

「くっ……」


 全員指示通り飛ぶと、その瞬間三匹の竜により放たれたブレスは、彼らが居た場所を的確に崩壊させる。

 その威力は地面をえぐり取り、小規模な惑星が落ちた程の穴が開く。


 ルインは後方に飛翔しながらも、ラージャへ向けて強烈な斬撃を放つが、前爪で器用にその斬撃を

弾いていた。


「ブレス吐いた姿勢で俺の斬撃を止めるっつーのは随分器用な事じゃねえか」

「私は……これで……」

「早くしやがれ! 何をためらってやがる」

「私が彼を封印すれば、ディーン様の許で彼は働けなくなる。それが……どういう意味かわかりますか?」

「んじゃ今すぐこいつが消滅してもいいってのか?」

「ジェネスト。やってくれ。殿方殿の言う通りだ。お前の一部として、陰ながらディーン様を支えられるなら

消滅するよりマシだろう。殿方殿の言う通り早くしろ。俺たちの手に負える相手じゃないのはわかったはずだ」

「……幻形具現首輪へ、あなたを封印します。私専用の幻魔人として、あなたを使役します。クリムゾン・ダーシュ」

「是非も無し。これで正真正銘殿方殿は我が最も位の高い主だ。ディーン様。私に命令する事、叶わなくなる

事、お許しください」

「幻形封印! クリムゾン・ダーシュ!」


 幻形具現首輪をクリムゾンの前に出すと、フッとクリムゾンが消え、ジェネストは再び首輪をはめる。

 そのうえでこちらを見た。



「……遅くなったこと、お詫びします」

「気持ち悪ぃな。おめえが謝ると」

「やはり一度深淵に見舞わせて欲しいようですね……」

「んなことやってる場合じゃねえ! 早く封印に戻れ!」


 ジェネストを再び封印に戻すと、ラージャの攻撃を回避しながら再び意思を介して皆の力を借りる。


「ルジリト。頼りにしてるぜ。今の俺が持つ最大戦力たち。それを使いこなしてみせな!」



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