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第六百三十一話 レヴナントカタストロフィ

 ルーニーを右手で受け取ると、その形は剣ではなく一塊の炎となる。

 右拳に炎を纏い、左に持つティラーナを構え

 

 バラム・バロムは半身を闇に包み、ペカドクルードをその身に受け、多大なダメージを負いながらも

突進してくる。さらに……「最も深き闇、クリムゾン。血の底に在りて歪より生じる力の一旦。

万物在りて己が力を欲するものの意思となれ。闇の幻魔人クリムゾンダーシュ招来」

「……ご命令を」

「対象を消滅、抹消」

「……御意」

「くそ、やっぱこうなんのかよ」


 あの時と同じだ。再び操られたクリムゾンが、上空から十指の剣を構えてこちらを攻撃しようとする。

 非常にやり辛くなる相手だ。


「そうはいきません。主従関係を忘れているのですか? 今の主人は私ですよ。

最も深き闇、クリムゾン。血の底に在りて歪より生じる力の一旦。

万物在りて己が力を欲するものの意思となれ。闇の幻魔人クリムゾンダーシュ招来」

「招来術を、上書きした……? 可能なのか!」


 驚く事にジェネストはバラムによる将来術を上書きし、クリムゾンを再びこちらの味方へと着けた。

 これにはクリムゾン本人が驚いたようで、珍しく動揺していた。


「こうなったか。だが相手もこれで警戒を強めるだろう。殿方殿、結界を!」

「扱い始めたばかりでわからねえが、こうか!?」


 炎熱の拳を上空にかかげ、多い広げるようにルーニーで盾を構築する。

 上空から迫るバラムより発せられる闇が、辺りを侵食し始めた。


「あの時は、お前に向けて放った技だったな……貫け、深淵シャル・ティー・トランスフィクション!」

「そうですね。そして私が勝ちました……終焉に見舞え! シャル・イー・テトラ!」


 二人の幻魔が闇を切り裂く。その姿はまさに美しく流れる紅色の光の様だった。

 

「ふふっ。そうじゃねえと面白くねえ。あの時の一撃、そこまで効かなかったのが悔いに残っていた。

俺の最高傑作の技だったんだぜ。だがよ。闇のものならわかるだろう。

こいつがどれほどの威力を持つか。

いくぜ! 準備は整った。レヴナント(死から戻りゆく)カタストロフィ(変革の一撃)


 右腕が炎を纏ったまま、戦車の主砲へと変化する。そこから炎を纏った最大級火力を放出した。

 バラムを貫いた一撃で、炎はバラムを取り囲むように燃えていく。


「痛みなどない。悲しみもない。哀れみも無い。無情に、そして無常に。

散りゆくは戦場の調べ。汝、まさしくベリアルの力……か」

「その台詞、聞き飽きたぜ! 「改変! 時の中のルーニー! アルデバラン!」


 こいつは闇そのもの。完全に撃ち滅ぼす事は到底できない。

 ならば方法はやはり、封印しかない。

 だからこそ……炎熱ルーニーとともに、レヴナントカタストロフィを撃ち込んだ。


「……そういうことか。これが、幻魔界本当の監視者か……」


 バラムの闇を取り払ったその先には……どう見てもウガヤのような蛇がいた。

 本物のウガヤそのものなのか、或いはそうでないのかはわからない。


 目の前のソレはとてつもない存在であることには間違いない。

 バラムを封印しつくしたルーニーを急ぎ呼び戻し、元の姿へと戻すと頭を撫でてやる。

 以前と違い、賢者の石や、ココットの木札などは見当たらないようだった。


「こいつと一線やりあうってのか……こちらを狙ったのはクリムゾンを通してみていたバラムだと思っていたが……こいつの仕業か」


 そのまま大人しく返してくれそうにはないウガヤを見て、冷や汗が滴り落ちた。

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