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第六百二十話 ベリアルの真化

 彰虎は怒りながら朱色のそれへ攻撃をしかけていた。

 この武器は凄い。振るだけで水の斬撃を飛ばせる。

 白丕の姉御はいつも武器を欲していた。

 それこそこういったような強い力を発揮できる武器。

 あの男はいとも簡単に姉御が望むような武器を取り出して見せた。

 あの男は一体何者なのか。

 突如現れ、玄を連れてきた。

 襲われた我々を助け、取り込み。

 そして姉御を助けようとしている。

 強者へも臆することなく挑む姿勢。

 どれをとっても王の器だ。


 この幻魔界に生まれ随分と時が経った。

 だが、このような輩が現れた事は一度もない。

 何かが起こっているのだろう……そう思うことにした。

 

 斬撃はいくつか朱色のそれに掠めてあたっているが、効いている気配があまりしない。

 それどころかより一層、朱色の炎は大きく燃え上がっている感覚すら覚える。


「ぐぅ……このままでは敵がうてん!」

「どけ……後は俺の番だぜ……」


 後ろを振り返ると……そこには一匹の恐ろしい魔族がいた。

 赤い眼を開き悍ましい形をした剣を肩に抱え、左手からは言葉に

出しがたい蛇と亀の混合物が見える。

 頭から生える角には眼があり、対象を凝視していた。


「なっ……これほどの怪物だったとは」

「ククク……悪くねえ。俺の力とビュイ、ナナーの力だけでもこれか……いいじゃねえか。

まずは……赤海星の炎食いレッディフレイムスターナル


 突如無数の青い口をしたヒトデが無数に表れ、辺り一面を覆いつくす朱色の炎を食べ始める。


 次々と食していくたびに辺りは水が放出され、炎はどんどんと消されていく。

 しかしその上にまた炎を振りまく朱色のそれ。


 どちらも手を緩めず攻防一体の形となる。


「それで対抗するのはおすすめしねえな。

どのみちおめえそれだと、隙だらけだぜ……いくぜラーヴァティン。

ブラックシーヘイロー」


 ベリアルが剣を振るうと、黒色の水のようなものが輪となり、上空で暴れる朱色のそれ

めがけて次々と飛んでいく。


 上空を無数の輪が飛んでいくのを確認した朱色のそれは、諦めて地上へと降り、徐々に姿を

変えていった。

 

 美しい朱色の長髪女性に変化したそれは、片足で立ち、片手を前に突き出したままの

姿勢で直ぐに攻撃を再開する。


「主として権限を行使。朱火の斗。改元せし一つの理。朱燃流出乃を我が元に」


 構えたままどう行動するか警戒したベリアルの前に、十もの朱色に燃えるエレメンタルが

現れる。

 

「ちっ。厄介な術を行使しやがって。いいぜ、こっちも追加で呼んでやるよ。

ただし俺が呼ぶのはこいつらだけどな!」


 朱色の炎をまき散らすエレメンタル。それに対抗するかのように、ベリアルは

とんでもないものを目の前に呼び出した。


 それは地上で捕獲した地竜、アビシャフトだった。


「くくく、テュポーンを出すまでもねえ。地上ならおめえの出番だぜぇ。

さぁ無価値なる者の更なる戦いを始めようじゃねえか。お前を俺に取り込んで、全ての

無価値を取り込んで……真なる価値のあるものとなるべく……全ては

俺のため、そして……あいつのためによぉ……クックック……アーッハッハッハ!」


 

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