第五十七話 本選近接戦準決勝 ルインvsベルディア
ベルドの試合が終わり、十分休息を取った俺の、次の試合が間もなく始まる。
「さぁいよいよ本選近接戦準決勝が始まります!
日は登って好天! 絶好の観戦日和です!」
「実に気持ちのいい日ですねっ」
「そうですねーニニーさん! では準決勝第一試合
選手の説明を致します! 第一試合ではシュウ選手と激闘の末勝利を
勝ち取りました! 今日も彼女は会場にきているのでしょうか?
幸せ一杯! ルイン!」
会場にめい一杯ブーイングが起こる。やめてくんない?
「対するは、目つきがちょっと怖いっしょ! リヒャルド選手の両手両足を
ズタボロにした格闘少女! ベルディア選手です! 怖っ!」
「えーっ。かわいいですよぉー、がんばれーっ!」
ベルディアもかなりいらついているのがわかる。
「ふー、やっとまともに戦える相手っしょ。あんた強」
「いや、あっちのベルドってやつの方が強いだろ」
「兄貴っしょ。あれは戦い方しってるから」
「あぁ、そうか。どのみち君に勝たないとあいつとは戦えないしな」
「私、負けない。がんばるっしょ」
「いい試合ができそうだ」
「試合開始!」
開始とともに全力で真っすぐ向かって来るベルディア。
やっぱりいっきに詰めて来た……その行動を読み、後方にジャンプしつつメドレスから
カットラスを引き出す。
「読まれた! やっぱやるっしょ! 強いよ!」
「そりゃどうも!」
更に追い打ちをかけるベルディアに、カットラスで応戦する。
ベルディアは両手でカットラスを受け止めると
後方に押し切る。
力も相当あるな……ここはわざと後方に押し出された姿勢を取る。
チャンスと見たベルディアは、俺の足下に回し蹴りの足払いを放つ……誘い
通りだ! と見せかけてあえてバックステップを取る。
「ちっ なんでわかったっしょ」
「師匠との特訓でな! 感だよ」
再度カットラスを構える。
次はこっちから攻めるか……低い姿勢から左のフラタニティを突き出す。
まぁ当然躱されるよな。そのまま肩を掴んで左に引っ張る。
ベルディアは左拳で脇腹を狙う……がベルディアの左肩を使って空中に
飛翔し、そのまま肩に蹴りをお見舞いする。
「っ! 」
裏側にまわってから再度一気に距離を詰めて、こちらに向き直った
ベルディアに左のガントレットであご打ちする。あたった!
「ぐっ……」
そのまま腹部を蹴り、ベルディアは大きく吹き飛ぶ。
すぐさま近づくが……あれでも起き上がるのかよ!
だが明らかに動きが悪くなる。
ベルディアの攻撃をシールドでいなしてから渾身の裏拳を繰り出した。
ボヨンという弾力の衝撃が起こる。
ボヨン?
「え……っちっしょ……」
ベルディアは倒れた。
違う、不可抗力だ! 俺の勝利に会場はとても静かだった。