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第六百三話 手合わせ クリムゾン・ダーシュ対ベリアル

 外へ出ると瘴気が弱い場所へ移動する二人。

 クリムゾン・ダーシュは十指の剣を構え、対するベリアルはつまらなそうに虚空を見上げている。


「武器はいいのかな。ベリアル殿」

「……出てこねぇな。忠誠心の無いやつらだ」

「ふむ……あれは殿方殿の剣。あなた自身武器を放出出来ないようならお貸しするが……」


 ヒュンッ! とクリムゾン・ダーシュの頬を何かが通ると、頬に

浅い傷が出来た。

 ベリアルは自分の指をクリムゾン・ダーシュへ向けて嘲笑った表情を浮かべる。


「おい。見くびるんじゃあねえぜ。武器を貸してやるだぁ? 必要あるわけねーだろ。

俺が武器を使えばおめえは消滅する」

「……確かに恐ろしい力だ。では遠慮せず参る」


 低い姿勢からゆらりと前に足を走らせるクリムゾン。

 瞬時に距離を詰め、両の指で見境ない攻防が始まる。


「アニヒレーションズ!」


 辺り一面を無数に切り刻むその技は、ジェネストもよく用いる特殊技。

 特にクリムゾンは十指の剣を持ち、高速で辺り一面を斬り刻む。

 

「レピュトの手甲……アルカサルの腕甲……おめえらもこれくらいの役にはたてるようだな」


 突如現れたもう一本の腕。さらにそれを取り巻くように結び付けられているのは……ティソーナと

コラーダの柄部分。

 腕甲のようにレピュトの手甲を覆い、アニヒレーションズを防いでいる。


「くっ……効きませぬか。では……深淵に見舞え! シャル・D・セイバー!」


 大きく身を引いた後、相手にねじ込むよう渾身の技を放つ。

 Dの文字を刻みこむ必殺の剣技を、アニヒレーションズと併せて放つ。


「器用なやつだな。だがおめえ、剣の効かねえ相手に追加で剣を放つか?」


 ベリアルはアルカサルの腕甲でアニヒレーションズを防いだまま、迫りくる次の

剣技を自らの拳で受け止める。

 その拳部分には黒い竜の顔が浮かび上がっていた。


「これが……ベリアル殿の戦い方か。取り込んだものを巧みに使用する。

まさに魔の力だ……」

「安心しな、おめえを吸収するつもりはねえ。ただ、力の差を見せてやる。

死竜よ、その力を解放し己の一端を見せよ。【ゴクド・デ・ミエド】


 拳に垣間見えた死竜の口が開き、クリムゾンはとっさに左へ回避するが、解き放たれた

ブレスが半身をかすめる。

 正面にあった木々は粉々にちぎれて吹き飛び、跡形もなくなった。


「ぐっ……何という高濃度のブレス。これは……恐れ入りました。

その竜はドラゴントウマですな……」

「残念ながら中にいるパルームが力を貸しやがらねえ。くそ、もっと取り込んだ奴を連れてきてりゃ

色々できるってのによぉ……残念で仕方ないぜ」

「ベリアル殿の実力は十分にわかった。いいでしょう。幻魔界を少し、案内させてもらおう」

「それはいいがよ。少し腹が減った。何か食い物あるか?」

「ここではあいにく……茶屋なら十里程離れた場所にあるのでまずはそちらへ向かいますかな。

行くぞ、ジェネスト」

「私に命令しないでください。あなたを従えるのは私ですよ?」

「ふうん。何だお前ら。できてるわけじゃねえのか」

「何を言うのです! からかわないでください。深淵に見舞わせますよ!」


 六指の剣を少し揺らめかせるジェネスト。

 しかしまったく聞いていないベリアルは少しつまらなそうにしていた。

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