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第六百二話 幻魔界の構造

 ジェネストたちに幻魔界へ連れてこられたベリアル。

 あれから数日経った。

 持ち寄られた薬により、不気味な程回復していくベリアル。

 

「あなたは化け物ですか。どうしたら致命傷がこんなに早く治るのですか」

「さぁな。肉体はあくまで妖魔がベースだろ」

「ベリアル殿に一つお聞きしたいのだが……あなたは何処かの神が産み出した存在なのか?」

「……それをおめえに話すつもりはねえな」

「左様か。深く聞きはせぬよ。殿方殿自身もどういう経緯であのような力を持つのか

聞いていない」

「……それより、あなたを彼に戻す方法をお聞きしたいのですが?」

「暫くは無理だな。あいつが元々目が見えなかった事は知ってるだろ、おまえらも」

「ええ。しかしそれは幻魔の宝玉で治癒したと聞いていますが?」

「治癒はしてねえ。力を与えられているに過ぎねえだけだ。与えられた宝玉の力。

使い過ぎれば反動がくる。その力を与えていたのが……」

「メルザ……ということですか」

「そうだ。あのアルカイオス幻魔の娘がいないときは、自然とセーブしてたんだろうよ。使えないようにな」

「無理やり使ったその反動は、それほどまでに酷いというのか?」

「そうだ。幸い命はつなぎとめたが、そもそも死んでいておかしくない時に、別の宝玉で維持

しただろ、こいつは。その力まで使えばズタボロになって当然だ。こいつはもう、あの娘無しでは

生きていけねえんだよ……そしてそれは、俺もだがな」


 つまらなそうにそっぽを向くベリアル。

 ふと思いついたようにゆっくりと立ち上がった。


「こんなしみったれた話を続けてるのは性に合わねえな。戦うかこの幻魔界を案内しろ」

「あなたはまだ戦えるような状態ではないでしょう? ……まったく。無理をするところは

彼と同じですね。仕方がありません。幻魔界を案内しましょう」

「ならば私も行こう。少し違う形となったが、殿方殿が来たら歓迎するつもりだった」

「まずはこの幻魔界について色々聞かせてもらおうか」

「いいでしょう。この幻魔界は見てきた通り瘴気に溢れています。

ただの人間なら数刻もあれば死ぬでしょうね。さらにはどう猛な獣なども多く存在します。

過酷な環境というだけではなく、長くいれば私やクリムゾンのように変異も起こします」

「その指の剣は変異によるものか」

「そういうことだ。戦いにおいては便利だがね」

「この場所は主に四つの階層にわかれています。一番低層……つまりここ幻浅の玄。

一つ上が幻中の白、さらに一つ上が幻深の朱。そして一番上の階層が幻奥の青。

それぞれ強力な幻魔が支配しています」

「面白れぇ。全て取り込んで力にしてえところだ」

「ベリアル殿でも難しいでしょうな。特に幻深の朱は」

「ほう。一番奥のやつじゃなく、その手前の方が難しいってのか」

「そうです。幻深の朱は実体がない」

「ククク。面白ぇ。いいぞ、そうじゃねえと。なんだよ辛気臭ぇとこだと思ってたが

なかなかどうしていいところじゃねえか。取り込み甲斐があるってもんだ。

こいつは思わぬ収穫だぜぇ。妖魔国に行く前のよぉ……」

「妖魔国へ……行く?」

「ああ。どうせバラム復活に必要なものはほぼ揃ったはずだ。ならば次は……タルタロスに

落とし前をつける番だぜ」

「揃ったですって? ディーン様を復活させる道具が?」

「闇のオーブは少なくともあのオズワルという奴が渡したもので外れはねぇ。

闇の知識……こいつは最も魔に精通する能力者が持つ。つまり、あの王女だ」

「……王女が、闇の知識そのものだとでも?」

「ちげぇな。まぁその辺はよ。戻ってからでいいだろ。今は……ククク。そいつらを取り込んで

力をつける必要がある。案内しろ。俺がやる」

「……本気ですか?」

「ああ。このボロボロな体なら手加減にちょうどいいだろ」

「ならばその前に一つ、手合わせしていただこうか」

「ああいいぜ。表へ出な」

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