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第五十三話 地下祭壇 生贄の儀式の間

少し残酷な表現があるので見る方は注意してください。

 ゴブリンのいた部屋から先へ進むと、そこには不気味な祭壇があった。

 部屋は広く、蠟燭が並べられている。

 中央は赤い液体が入ったバケツが無数に入っている。


 見てるだけで吐き気がしてくる。おおよそ想像がつくものだ。

 くそ……ファナはこんなとこに連れ去られているのか。


 辺りを見回すと……ローブを着たスケルトンがいる。

 あいつはスカルマージかリッチどちらかだろう。

 後者なら最悪だ。師匠より戦うんじゃねえって言われているような強敵。

 びびるな。覚悟を決めろ! ファナを助けるんだ! 

 意を決して飛び出した……こいつはスカルマージだ! こちらに気付かれる前に、速攻で蹴りをいれる。

 奴は吹き飛ぶが、ダメージ自体はそれほどない。

 逆におれの足が凍らされる。

 くそ、やっぱ氷防壁(コルスパイク)の氷幻術を張ってやがったな。

 幸い凍ったのは靴だけだ。かかとを思い切り地面に打ちつけて氷を砕く。

 その間に奴は燃斗を四発も撃ってきた。


 こいつの詠唱速度は速い。

 メドレスで防ぎながら様子を伺う。

 白金製だからか幻術にはかなり強い耐久性を持つ。

 スカルマージは続けてこちらの足下めがけ、氷斗を射出。そちらもどうにか回避する事に成功。


 その刹那……俺の装備品の効果により、雷斗(ライド)を放出した。

 奴が一瞬怯んだ隙に、カットラスで奴をめい一杯斬り飛ばした。

 反動で奴は壁にぶちあたり、動かなくなった。

 ……一匹でこの強さ。

 しかも上位のリッチの強さはこんなもんじゃない。

 まじで危なかった……この祭壇にいたのはこいつだけか。

 確かにあの強さなら一匹で十分守備出来るだろうな。

 周囲を探ると、祭壇の下にさらに地下に降りる場所を発見した。

 地下へ慎重に降りて行くと、そこには小さな檻と部屋があった。


「誰!? ここから出して! お願い!」

「助けてよぉ、寂しいよぉ。怖いよぉ」


 そこには両足を切断されてしまったファナ……と

小さいしゃべるぬいぐるみがいた。


「ファナ、大丈夫か!? お前、その足……」

「ルイン!? よかった。これは、私のせいよ。

受け入れるしかないの。でも、よかった。うぅ。怖かったよぉ。

怖かったよぉ……ふえーん」

「落ち着け、もう大丈夫だ。ここは危険だ。急いで外にでるぞ」

「待って。あのぬいぐるみも閉じ込められているの。だしてあげて」

「よくわからないがファナがそういうなら。

とにかく急いで脱出しよう。またスカルマージが出たら

かばいながら倒せるかわからない」

「お兄さん、僕のこと助けてくれるの?」

「ファナをさらったやつの仲間じゃないんだな?」

「違うよ。僕はずっと一人だよ」

「ならいい。お前もこい!」


 俺はそういうと、ファナとぬいぐるみを連れて猛ダッシュした。

 とにかく人が来ないうちにここを離れないと危険だ。

 ファナを連れ去ったのも誰だかわからない。


 ファナをしっかりと捕縛網で固定して、俺は神殿の地下を出た。

 外はだいぶ明るくなり始めていたが、人の気配はない。

 いつの間にかそんな時間が経過していたのか……。

 ――なるべく人目に付かないように宿に戻る。

 宿の部屋に着くと、メルザに寄り添うようにミリルがいてくれた。

 

 ニーメは泣き疲れたのか椅子の上で寝ていた。

 起こさないように静かに部屋へ入る。 

 ……ファナは気絶している。

 足からの出血は見られない。

 全員今のところ意識がない。

 今のうちに同じ宿に泊まっているライラロさんに助けを求めに行こう。




「何なのよ、こんな朝早く」

「すまないライラロさん。ちょっと力を貸してほしい」


 俺の真剣な表情を見て察したのか、ライラロさんは

後で部屋に向かうといってくれた。


 部屋に戻りライラロさんを待つ。一体何があったのか。

 今日は何でもありの個人戦がある日だが、棄権しよう。

 今はそれどころではない。

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