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第五百五十八話 役割を決めよう

 イーグルサーカス団へ加入した俺たちは、それぞれどんな役割を担うか、決めておくことにした。

 最終地点は今のところ二十三領区。そこで伯爵に許可を得た後に侯爵領三十一領区へ赴く。

 道順としては九領区が封鎖されてしまっているので、八領区から十八領区へ。

 さらにそこから二十三領区へ向かうルートとなる。

 直進はしやすいが左右に行きづらいこの国では、ルートがかみ合わないと途端に不便な道となっている。

 さらにに道すがら、サーカス団らしく芸を披露しなければならない。


「これまでの事情はよくわかったよ。大変だったようだね。ビー君、我らの主を助けてくれてありがとう」

「まさかトリノポート大陸、ベッツェンの王がスライムだったとは……」

「可愛いスライムなんてよしてくれないか。我がベッツェンは既に無く、再興するにも難しい状態なのだ」

「可愛いは、言ってないです」

「それよりも役割を決めよう。ファニーがナイフや色々な物を投げてくれ。サ二―は糸を使って

小道具を操つる。ベニーとドーニーはそのままでいいのか? ビーは射撃のスペシャリストだ。ファニーが

投げた物を撃ち落としたりできるかな? 老師、レッジ、レッツェルはこっちの仮面をつけてもらって建議や術を披露。俺は馬車の高台からモンスターを操ろう。衣装は……魔物使いっぽい衣装があるな。これで。

エプタとブネは可愛い着ぐるみを着て、姿を出さないようにしてほしい。二人はつまり馬車の中だ」

「おいおい冗談じゃねえ。こんな恥ずかしいのを俺に着ろっていうのか」

「ふむ。このブネであれば何を着ても似合うところを見せてやろう。自信の無い誰かと違ってな」

「なんだと! 上等だ。着てやろうじゃねえか。人間に直視されるよりはましだしな」

「相変わらずだな、お前は。道中大変だっただろう? 二人とも」

「いいや? とても素直ないいやつだったよ、エプタは」

「うるせえな! 余計な事言うなって言ってるだろ、いつも」

「ああすまない。そうだったね」

「けっ。調子狂うぜ、こいつらはよ」


 どうやら打ち解けてくれているようだ。

 三人は古代樹の図書館で無事情報収集を終えた後、その情報から必要な物を探してくれたらしい。

 どうりで時間がかかったわけだ。ブネから連絡を定期的に受けていたエプタは、こちらの敬意を話し、急ぎ

この場所へ駆けつけてくれたようだ。道中色々あったのは間違いないだろうけど。


「わしが先頭でいいのかのう? 道に迷わんかのう」

「それなら大丈夫。もう来るわ」

「……逃げ出して、悪かったじゃんよ」

「ジェイク? お前どうしてここに」

「俺っち、やっぱり一緒に行くじゃん。このままじゃ一人だけ逃げ出したみたいで、格好悪いじゃんよ」

「そうか。道案内、頼めるか?」

「もちろんじゃんよ。俺っちに任せて欲しいじゃん!」


 再び戻って来たジェイクが先頭に加わり、俺たちはイーグルサーカス団として進行する。

 先頭はジェイク。サルの着ぐるみを来ながら辺りをゆっくり見回す。

 続いて老師。巨大なぬいぐるみを来てずかずか歩く。サイ男のようだ。

 その後ろに二名。レッジとレッツェルは俊敏に動ける美しい剣士と術使いの装備。仮面の戦士と仮面の

魔術師。

 さらにその後ろ。大鎧を着た戦士の上には担がれた動くピエロのぬいぐるみ。イーニーとドーニー。

 この後ろに馬車があり、中にはカボチャ頭にタキシードなエプタ。純白なドレスにガラスの靴を履き

背中には羽までついてはいるが、顔は蜂のようなブネ。

 上部の高台には俺ことシーと、これまた仮面に長い帽子を被るビーがいる。

 馬車の左右にはきらびやかな衣装を身に着けた美女二人。どちらもヒラヒラとした

服装に、腰や桃下に武器をどっさりしこんでいる。護衛も兼ねているファニーとサニーだ。

 

「しかし、これだけの衣装や道具、よく用意したな」

「サーカス一団から買ったのさ。引退するサーカス団がいてね。しかもちょうどここへ向かうサーカス団だったのさ」

「偶然……じゃないよな。エプタか」

「そう。彼の得意能力だね。情報収集、索敵、諜報。敵には回したくないね」

「別に人間じゃなきゃ敵対する理由はねえな」

「素直じゃないところも、彼の魅力的なところだよね」

「けっ。うるせーうるせー」


 本当にエプタとよく打ち解けてる。こういうところこそ王の器なのかもしれない。

 イーニーがいてくれるというだけで、場を和ませられる。仲間の中でも数少ないポジションだ。

 同じことが出来るベニーがいないこの時に来てくれたのはとてもありがたい。

 ベニーの方へはライラロさんが向かったと思われるが……逆に心配で仕方がない。

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