表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
615/1120

第五百四十四話 喋らない二振りの剣

「剣戒、封剣」


 戦場へと走るシーは、いつのまにか二本の美しい剣を手に携えていた。

 その剣を上空へ振るうと、赤色と青色の美しい斬撃が交差して飛んでいき、上空のモンスターを

攻撃する。さらにシーの傍らには、ペンギン二匹と赤、黒の可愛い小鬼が同行している。

 それぞれが小躍りしており、楽しそうに後を追従している。


「コウテイ、アデリーは俺と一緒に。レドッピー、ブラッピーはベニーへ。

これだけ近づけばいけるか。ター君! ベニーが毒を受けないよう守ってくれ!」

「……」

「相変わらず無口だな、お前は。そろそろ一言くらい喋ってくれても……」

「……」

「いや、悪かったよ。それじゃ頼むぞ! 俺たちは西よりの集団を片づける! 散!」


 東よりの敵を倒しに行ったベニーたちへ援軍を出しつつ、西よりへ向かう。

 ジェイクにはくれぐれも男爵たちの護衛がこちらへ来ないように伝えておいた。

 メナスにはビーの護衛も頼んである。あいつなら問題なく行動するだろうが、念のためだ。


「くそ、追加で来る地上のモンスターの数が多い! なんて山道だ。英雄が管理していてこれか!?」


 レドッピーとブラッピーは雪こん棒を掲げながら、テコテコとベニーの方へ走っていく。

 上空ではルーニーが、焔剣の嘴をうまくいかし、戦っている。


「ルーニー! 炎熱薙ぎ払い!」

「ホロロロー!」


 嘴を大きく振るうと、横薙ぎの紅蓮がモンスターの集団を薙ぎ払う。

 しかし数が多い。地上のモンスターと違い、飛翔するモンスターの群れは、数が多いと

厄介極まりない。

 まとまっていればまだ倒しやすいのだが……。

 

 遠方からのビーの射撃による援護や、グリドラ、炎竜トウマ双方のブレス攻撃により、数は減っているし

戦いやすくはなっているが……ここは本物のトウマも出すべきか!? 


「くっ……かなり遠距離にいる。ブラックイーグルに切り替えるか!? だが」


 こいつらは自分たちを使え、使いこなせといっている気がしてならない。

 喋らなくなったコラーダ、ティソーナ。メルザを封印するとき、俺を守ってからだという話だ。


「頼りない主人で悪い。お前たちに認められるよう、まだまだ精進して剣を十分使いこなせるように

なってみせる! |巨爆烈牙空剣(ギガバースエアソード)!」


 上空へ巨大な交差する斬撃を放つと、数匹のモンスターを撃ち落とす。

 その斬撃に続くよう、ゴォンと巨大爆発が上空で起こり、さらに数匹モンスターが落ちていく。


 ビーの援護射撃。ここまで届くのか……あいつ、やっぱりすごいな。

 今はあちらを任せて、地上の援軍に来そうなモンスターを掃討しに行こう。

 

 老師には怒られるかもしれないが、最悪、足までは使用しなければならないだろう。

 上空のモンスター一匹でも相当手ごわい。確かにこれは、他大陸の比じゃないだろう。


 そう考えている時だった。地上のそれらだけならまだどうにか倒せるだろうと。

 俺たちだけでどうにかなると考えていた。

 

「これが、シフティス大陸か……温存なんて無理だ。ははは……ふざけてる」


 東の上空……ずっと奥からこちらに黄色い集団が無数に迫っている。

 一匹一匹が巨大な翼を持ち、そして恐ろしい鱗がある。

 黄色い竜種、その数おおよそ五十匹が、こちらへ押し寄せようとしていた。

 しかも、先頭の竜の背、あれは一体……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ