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第四十八話 ルインとファナの二戦目

 俺は控室に来ていた。

 一回戦目の相手がかなり格下だった。怪我を負わせるつもりは

無かったが、加減がうまくいかなかった。

 次はもっと気をつけねば。

 師匠からは「俺が教えたからには三回戦くらいまで余裕だ、蹴り一本でいけ。

相手を見極めろ」と何度も言われた。


 ここまで実力差があるとは正直思っていなかったので、気を引き締める必要がある。

 試合より終わった後の挨拶の方がきつい。

 ……あの司会、やめてくれないかな。


 司会の対応は、俺よりファナの方が酷かった。

 アイドルには嫉妬され、司会にはいじられ、観客にエロい目で見られる。

 すみません。俺は自重しています。


 そろそろ第二回戦が始まる頃。

 一日に三回戦やるのはなかなか大変だが、朝、昼、夜と切り分けての三試合。

 無理をしたり長丁場にならなければ問題無いだろう。


 試合会場へ向かうか。


「さて、前試合では瞬殺で相手を倒したルイン選手がやってまいりました! 

会場ではきっと彼女が応援してますよー! このこのーっ!」


 ちょ、試合前に精神的ダメージを与えるのはやめろ! 


「対するは巨漢に大斧を振り回して相手を場外に落とした

チョムリー選手です! チョの後ろに点をつけるのはやめましょう! 


『チョ・ムリー』


 会場から声があがり爆笑が起こる。チョムリーは顔を真っ赤にして怒り心頭だ。

 ……これ、絶対楽勝なパターンだわ……いいのか司会に左右されて。


「二人とも配置に着いたようです。試合開始!」


 開始と同時にチョムリーが俺めかけて突っ込んでくる。

 あーあ……やっちゃったよ。

 後退しつつ、左右にステップを展開て回避していく。

 

 いきり立ったチョムリーは、突っ込んで来るばかり。

 頭冷やせって。


 場外付近まで後退し、くるりとチョムリーの背後に回り込むと、蹴りをいれる。

 でかい音を立ててチョムリーは場外に落ちた。

 冷静に戦えば場外負けは無かったろうに。


「ルイン選手の勝利です! 充実してます! 色々と!」


 ほっとけ! もう挨拶にはいかん! 

 第二試合から戻るとファナと入違った。


「よっ。充実してるわね! うふふ」

「ファナまでからかうなよ……あの司会やばいって」

「えぇ、私も気に入らないから私の試合見ててよね」

「ん? あぁ。よくわからないが無茶はするなよ」

「平気よ。まぁ見てて!」


 俺は間もなく始まるファナの試合を見に行った。


「さーて次の試合は……マドンナの登場です! 先ほどは素敵な声に

会場の皆さんもうっとりしたのではないでしょうか!? ニニーさんも

焼いております!」

「焼いてなんかいませんっ! あの子アイドルに

誘えないかなーって思っただけですっ!」


 そんなファナ選手の対戦相手はちょっとエロい顔をしている

ドニ選手だー! これは勝っても負けても

羨ましい! 試合開始です!」


 ファナは一瞬でドニにせまり、手に持った千本を

首に差し込んだ。

 ドニは意識を失う。

 勝利宣言が出る前にドニの履いている靴を脱がして

司会の席に投げ込んだ! 


「ごめんなさぁーーーーい!」


 司会の二人は平謝りしてファナはふんっと鼻を鳴らす。


 やっぱ怒らせると怖いよなファナも。

 結局まだ変身も使ってないし隠し玉はお互い多い。

 ファナの肩をポンポンと叩き休憩室へ戻る。


 会場から「おい二人目か! ずりーぞ!」という声が聞こえたが

何も聞こえてないふりをする。


 ファナの顔が少し赤かった。一気に片付けたから疲れたのだろう。

 だいぶ時間が経ち夜になったが、会場は明るいままだ。


 そろそろ強い奴が来るか? 

 まだ予選だから本選まではあたらないか……。

 

 ――いくつか試合を見ているうちに、自分の試合時間となる。

 第三試合に向かうとしよう。


「さて再び登場のルイン選手。これまで実力をほとんど隠したままです。

対するはボルド選手。こちらも大ナタを振るい、ここまで無傷です。

どんな試合が見れるでしょう?」


 …あれ? この人強くないか? 


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