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第五百三十五話 信 義 礼

「止まれ! 止まれ!」

「はいよすぐ止まるじゃん」

「護衛依頼受注志願者か? 馬車と中を確認させろ。上にいる者もすみやかに降りるように」

「ああ。わかったじゃん」


 ここは既に男爵邸宅付近。

 綺麗な景色に見とれ過ぎていた。ここまでの道中、一点の曇りもなく整備されている道だった。

 さすがは貴族街といったところだが、それだけじゃない。

 道中数人見かけたが、どれも九領区や一領区とは違う。二十三領区とも異なる。

 それ以外の道中は馬車中で見ていないから何とも言えないが、気風があり、背筋も伸びた人々

ばかり。会釈も忘れていない。確固たる規律を重んじる区域だ。


 この礼儀になら、うまく習えそうだな。


「高所より失礼しました。護衛志願の者で、名前をツインと申します。

厳格なる男爵の許で幾何かの仕事を頂けたらと、はせ参じた次第にございます」

「うん? なんだ、貴族が混じってたのか。これは失礼しました。私はノーブルトループ

第十二部隊副官のアリエルド・ゲンシンと申します」

「いえ、私はただのトループ。貴族ではありません。ですが礼儀を重んじる者ではあります。

それは我々の仲間全員がそうなのです」

「ふむ……どう見ても貴族流の挨拶。深い事情があるのだろう。トループの鉄則により

探ったりはしないが、あなたのような礼儀を重んじる護衛なら歓迎したいところだ。

実力を確認させてもらいたい。何名いる?」

「そちらのジェイクを合わせて五名です」

「そうか。全員が強い必要はない。それぞれ役割もあるだろう。

二名無いし三名戦えれば十分だ」

「……では三名。うち女性一名おりますがよいでしょうか」

「実力があれば男女どちらでも構わない。演習場はここを真っすぐ。一人トループが

立っているので、十分準備が出来たら来て欲しい」

「はい。支度して伺います」

「よろしい。本当に礼儀正しい青年だ。君が実力者である事を願おう。私は奥で待っているよ」


 一連の話をすると、そうそうに確認を取りやめ、奥へ去っていくアリエルド・ゲンシン。

 副官も優秀……か。やはり老師の言っていた通り、シフティス大陸は一筋縄でいく場所ではないようだ。

 

 シーの一連のやり取りを見て、目を丸くするジェイク。

 

「あんた凄いじゃん。気になりすぎて後をつけちゃいそうじゃん」

「それは勘弁してくれ。ジェイクは馬車を見ててくれ」


 さっと馬車の裏手に回り、シーは誰にも見られないよう術を行使する。


「妖氷造形術、フンボルト、マカロニ。登場は小声で頼む」

「ゥォィー」

「ゥォィ」

「あたりの様子を探ってくれ。その後は……」

「ゥォィー」

「ゥォィ」

「ん? 何か言ったかシー」

「ゥォー、ィい景色だって言ったんだ」

「お前、そんな事言うやつだったか? まぁいい。うまくやってくれたようだな」

「三人戦うと聞いたぞ。私は当然入っていようぞ?」

「私もっしょ。しゅっしゅ」

「メナスは頭数にいれていない。元々貴族なら、出来る限り伏せて置いた方がいいだろう?」

「むう。こちら側の領区であれば問題無いとは思う。だが貴様がそうだというなら、そうしようぞ」

「つまりこっちのお嬢さんと俺、シーでやるわけか」

「ああ。その前に……めざといビーならわかってるよな」

「ああ。演習の場へ真っすぐ行けば不合格だな」

「どういうことじゃん? 準備が出来たらって……ああ、それも準備ってことじゃん?」

「そういうことだ。実力を確認させてもらいたい。一人トループが

立っているので準備が出来たら来て欲しい。それしか言っていない」

「もう始まってるってわけじゃん。あんたら凄すぎるじゃん」

「全部で何人かわかるか? ビー」

「何かおかしな気配もある。ちょっと待ってろ……」

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