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第五百三十三話 リーガルアタイヤ

 俺たちは一領区の奥へと進むと、【貴族御用達、リーガルアタイヤ】と書かれた

店へ入り、店内をくまなく見渡している。

 格式はそこまで高くないが、品物は良好。値段も良好といったお店だ。


 とある人物のとある事情で懐が寂しい俺たちにとっては、なかなかに厳しい価格。


「……高ぇ」

「そうだな。こんな程度のマジックアイテムで金貨三枚?」

「うーん。よくわからないっしょ。動きにくくなるだけ」

「私が選ぼうぞ。出来る限り安く済み、この先で通じる程度のものを」

「うん? あんたにはどれがいいかわかるじゃん?」

「……」

「悪い、人見知りなんだ。それより俺たち、この先へ行くの初めてなんだよ。よかったら教えて

くれないか?」

「どっちに行くじゃん? 十二領区? 十三領区?」

「十二の予定だ」

「十二領区を収めるのはブシアノフ男爵じゃん。それなりに厳しい管轄の人じゃん。

甘い物に目が無いじゃん」

「その先にある二十領区についても、わかったりするか?」

「オズワル伯爵領区じゃん? この国英雄の一人じゃん。知らないとかありえないじゃん」

「そうじゃなくて、どういった領区なんだ?」


 危ない。ボロが出ないように聞き出すので必死だ。しかし英雄か……それは気になるな。


「俺っちが一領区で働いている理由も、こっち側はオズワル様管轄だからじゃん。

品行方正、質実剛健。曲がった事が嫌いで隣のブルスタン伯爵と仲は最悪じゃん。

二十領区は完全なる貴族街。白馬の馬車しか通れないじゃん」

「……白馬の馬車か」

「ほら、選ぶの終わったみたいじゃん。そのお金、払ってきなよ」

「あ、ああ。色々教えてくれてありがとう。それじゃ……」

「それじゃついていこうかな。俺っちも」

「すまないが、遠慮してもらえないか?」

「ちょい耳、貸してほしいじゃん」

「なんだ?」


 近づいて耳を傾けると……「あんたら、王女を奪還でもしにいくつもりじゃん?」

 ……と、とんでもない事を口走った。


「……なんの事だ?」

「へへっ。別にとぼけなくてもいいじゃん。先ほどの腕前。謎の四人組。

十二領区だけじゃなく二十領区まで向かう予定。俺っちはぴんときたね。

こんな面白そうな話。乗らない手はないじゃん。退屈してたんだ」

「お前一体何者だ? あまり強そうには見えないが」

「第一トループ情報担当、ジェイク。そう呼んで欲しいじゃん」

「悪いが信用できない。先を急がせてもらえないか?」

「おっと。俺っちを放置していくってんなら大ごとになりかねないじゃん? 

それに大きな声じゃ言えないが、王女の件、困ってるのはオズワル様も一緒じゃん。

といっても俺っちが何か出来るのは十二領区まで。そこから先手助けはできないじゃん。

格が違う」

「少し話し合いをさせてくれるか。あまり時間は取らせない」

「構わないじゃん。あんたたちの首が横に振られても、俺っちはついていくけど」


 ビーたちと少し話し合った結果、何かあれば最悪どうにか対処するということで、連れて

行くことになった。

 情報は確かに欲しい。それにこの程度の問題一つで二十領区まで安全に行けるなら大助かりだ。


「ついて来ていい。だが俺たちの邪魔をしたら容赦はしない」

「なかなか言うじゃん。こっちも上がごたついてると落ち着かない。邪魔するつもり無いじゃん」


 こうしてさらにもう一人同行者が増える。

 ジェイクか。少し軽そうだが、目つきは真剣そのものだった。

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