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第五百二十五話 続バイブランシーの酒場 幽閉された王女

 話始めようとしたとき、ベニーが飲み物を持参してくる。

 注文で割って入らぬように、気遣いをしたのだろう。数種類の飲み物と食事をテーブルへ

並べていく。

 

「何かあったら呼んで。かけつけるから」

「ああ、すまないな。気を利かせてもらって」

「……随分と仲がよさそうだが、君も来たことがあるのか?」

「いや、隠してもしょうがないから話すけど、妻なんだよ」

「妻!? あの娘が? 随分と可愛い妻がいるね」

「あ、ああ。ありがとう。それより続きを」

「そうだったな。現在王女様が他国へ嫁ぐパレードが行われているのは周知の事だろう。

だがこれは、どうしても阻止せねばならない」

「……それはコーネリウス個人の思いでそうしたいというわけじゃないのか?」

「いいや。確かに彼女は仲のいい友人だ。王女という身分にも関わらず、伯爵の息子である私にも

優しく接してくれる。そんな優しい王女が幸せに嫁いでくれるならば、まだいい。

王は……何か恐ろしい事をしようとしている。王女を利用して。本物の王女はある場所へ

幽閉されている。王女を、助けたいんだ」

「そういえばパレードに肝心の王女が見当たらなかったな。影武者を立てたりもしなかったのか?」

「影武者? それは難しいだろう。国民の前に姿を現す時、王女はいつも決まって同じ挨拶をしていた。

魔術大招来……百体程の招来術を同時行使し、すべてと共に挨拶をする。

この国で王女以上の魔術招来術の使い手はいない」

「そうか。ただの王女ではないと思っていたが……いや、なんでもない。それで、王の目的は?」

「建前は嫁ぎ先の国との友好。実際は戦争だろうが、問題はそこじゃない。王女を利用し何か

とんでもない人体実験をしようとしているのだ」

「人体実験? 自分の娘でか?」

「あの方は、実の娘ではない。王の実の娘はとっくに死んでいる」

「……色々、わかってきた。これは確かに密談でなければ離せない内容だ」


 話しているコーネリウスの顔色はどんどん悪くなっていた。先生がコーネリウスに話すのを

一時止めるよう伝え、休憩を挟む。


「すまない。少しだけ休憩しよう……息が詰まる」

「そうだな……ここで聞いた話は、後ほどエーとビーにしてもいいのだろうか」

「ああ。そうしてくれ。ただし、誰にも聞かれないように頼むよ」

「わかってる。それにしても……コーネリウスはよくこの情報を知る事ができたな」

「……父上が、一枚絡んでいるからだよ。私は納得がいかなかったが、そんな話を伝えたところで

父上が何かをするわけがないからね」

「そうか……ああ、この料理パエリアというんだが、食べてみるといい。まだ何も口にしていないだろう」

「パエリア? 聞いたことがない料理だが……ほう、本当だ。随分と海の食材が入ってるな」

「この辺では食べらられない珍しい料理だ。少しゆっくりするといい。俺は少しお手洗いにいってくる」

「あ、お客さんお手洗いはこっちでぇーす」


 シーが席を立つと、お手洗いへ案内する娘が一人。


「大丈夫、一人で行けるよ」

「ダメですよー。少しふらつてるじゃないですかーっ」

「……調査を頼めるか」

「場所まで聞いてから行く。ほら、上」

 

 少しだけ頭を上げ上を見るシー。そこにはムササビ、キドという二匹の生物のような

者が人形のように張り付いていた。


「やっぱ凄いなお前。俺も気付かなかった」

「キャハハ。褒められちゃったー、アイドルレニーちゃんでぇーすっ」



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