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第五百四話 出発、そして

 アルカーンにルーニーを受け取った翌朝――――、全員ジャンカの森へ出ると、いよいよ

出発となる。

 おりしも外は好天に恵まれてはいるが、強い風が吹き荒れている。

 比較的穏やかな気候のトリノポートとしては珍しく強い風だ。

 出発するのにはちょうどいいかな。


「ルシアさん。途中まで、案内を頼みます。それと……レェンたちのこと、よろしくお願いします」

「任せておきな。レェンはもう俺の子供みてぇなもんだ。気にせず行ってこい!」

「ははは、レェンもそう言われたら喜ぶと思いますよ。とびきり美人のお母さんができたって」

「よせやい。それより夫役はセフィアだと、ちゃんとねじこんでおけよ」

「えっ? それはー、どうかなー……そもそも女性だし……」

「細かい事は気にすんな、そんじゃ行くぞ!」

「ライラロさん、本当にこれ、飛べるの?」

「当たり前じゃない。誰の乗り物だと思ってるの? これでベルディスを乗せて地上の果てまで行くのよ!」

「物凄い嫌がりそうですけど。こんなに改造したら。だってどうみても顔の部分が……」


 そう、ライラロさんが改造した風斗車。その顔面部分はウェアウルフのようだった。

 銀色に逆立つ毛をイメージしたのか、ボディ部分はつんつんとしたトゲ武器形状。

 非常に乗りづらく、辺り一面突き刺すような乗り物に、誰が好んで乗るのだろうか。


 戦闘レースでもするつもりなのか? そんなの開催したら……あれ、流行りそうだな。

 ルーンの町で企画してみるのもいいかもしれない。


「言い忘れたが」

「うひゃららわぁー! びっくりした……何だ一体……ってやっぱりあんたか!」

「何を言っている。いつもの事だろう。今の驚き方はなかなかよかったぞ」


 絶対わざとやってるだろ、アルカーンさん! 俺の反応を見てインスピレーションを磨いているのか? 


「……それで何ですか。まだメモ書きは見てないですよ」

「そうではない。大切な話を伝えなければならなかった」

「大切な話? 妖魔国の事ですか?」

「久しぶりに戻った影響でフェルドナージュ様からの言伝を忘れていた。

ルーンの町を拡張し、城を立てよ。メルザが戻った時に居城となるような城を用意せよ

との事だった。確かに伝えたぞ」

「はい? あのスペースに城なんて築けないですよ、もう」

「何を言っている。拡張するに決まっているだろう。旅の最中によい城の案を考えておけ。

戻ったらその案を元に拡張工事を行う。あの町にも随分と人が増えたからな。

今後、人の往来を考えた設計をするんだな。忘れるなよ」

「そう言われてもな……インフラの整備と城のイメージを構築しろっていうのか。

そう簡単にはいかないですよ」

「なぁに貴様の事だ。また面白い事を思いつくのだろう? 期待している。ではな」


 突然口を開けて喋り出したルーニーから声が聞こえなくなる。

 この機能、もう外してもいいかな……。


 ようやくジャンカの森をゆっくりと飛翔しはじめる一行。

 ルシア率いるルクス傭兵団を筆頭にして、空を舞い上がるセーレが続き、俺たちが乗る

風斗車も上昇を始めた。


「さぁ行くわよ。しっかりつかまってなさーい!」


 シフティス大陸、その地にてどんな冒険が待っているのか。

 目的は複数ある。我が主が戻る前に、どうにかして果たさねばなるまい。

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