間話 竜の墓場
ここはドラディニア大陸のどこかの場所。
そこに立つ、二人の竜騎士がいた。
「ミリル、そろそろ行くぞ」
「はい、お父様……」
「キーンはお前をかばったんだ。本望だろう」
「うぅっ。でも……でも! あんなのって……結局わたくしは、誰も
助けられなかった。あの子だって」
「そう自分を責めるな。あの状況ではどうしようもない。ギルドーガが現れるなど、誰しも
がおもうまい。我々の戦力でもどうにもならなかったのだ」
そういうと、男は竜にまたがる。
「デイスペルでの商品に竜の卵が出品されると聞いた。
気晴らしに参加してみなさい。気持ちの整理はそうそうつくまいが、ミリルを守る竜が
いなければ、キーンも心配であの世にはいけないのではないか?」
「……そうですわね。わたくしも前に進まなければいけませんわね……」
ミリルは絶望の淵にいたあの少女の事を思い返す。
あの後、少女を降ろした場所へ仲間とともに戻ったが、少女は見つからなかった。
足跡はロックフィンの群れの森へ続き、そこで途切れていた。
きっと生きてはいないだろう。
けれど生きていたら……ミリルは謝りたかった。
両親も、村も、何一つ救えなかった事を。
自分の不甲斐なさを。
ミリルは父の背に捕まり、ゆっくりと飛翔する竜から、竜の墓場に埋葬した
キーンのあたりを見て、涙を流すのだった。