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第四百八十九話 二十三領区 食事処【ア・ペタイト】へ

 二十三領区――――貴族が多く住まう区画であり、一般人は立ち入り禁止となる。

 一部奴隷などは立ち入りを許可されており、貴族ではない者も少数働いている。

 食事処などが働き口にあたり、こちらでも厳しい過去経歴などを調べられ、不審な点があれば追放される。


「……どうにか内側に入れたな」

「ん? 何か言ったか?」

「いや、綺麗な場所だと思ってな」


 辺り一面きらびやかに飾られ、道はしっかりと舗装されて広い。

 歩く人物は見当たらず、道から見える景色は、とても綺麗だ。


「ああ、ここは身分違いの場所だ。飯処に貴族は殆ど来ないが。貴族の息子部隊の兵士は来るけどな。

ここに入れて兵士の恰好してれば、からまれる事はまずないさ」

「ビーはここらに詳しいのか?」

「ん? いや、俺は貴族出身じゃないから。ここより下町で一杯ひっかけるのが好きなのさ。

狙ってる子がいるって話したろ? 酒場の娘でな。つい先日随分と可愛い子がたくさん入ったんだよ」

「狙ってるってのはその新人なのか?」

「いやいや、昔からいる娘でね。俺には高値の花と思って、顔を見に行くだけだよ」

「そうか。うまくいくことを願ってるよ。さぁ飯にしよう」

「ああ、やっぱお前いいやつだな。へへっ。戻ったら一杯おごらせてくれ」

「時間があったらな……」

「自分も混ぜて欲しいであります!」

「なんだエー。お前も聞いてたのか」

「おい貴様ら! ここでの会話は許すが、食事処では静かにするように!」

「わかってるよ隊長。どうだ? 隊長も下町に戻ったら一杯やるのは」

「ふむ。悪くない。貴様らは相性がよさそうだったので、この後の軍事演習も同一班となるように

組んでおいた! 新人! 貴様は本当に入ったばかりなので、班登録が未登録のままだったぞ! まったく。 ツイン・シーとして登録しておいたからな!」

「あ、ああ……危なかった。俺がビーじゃなくて本当によかったよ」

「何の話だ!」

「何でもないよ。それより……」

「おいおい、俺はジャグロス班だったんだが、まさか書き換えちまったのかい?」

「自分は問題ないであります!」


 隊長を含む四人は、それぞれ隊長に付き従い食事処へと向かう。

 少し歩いたところに無数の馬車が止めてある食事処【ア・ペタイト】という店が見えてきた。


「団体さんがおるようだな。失礼する」

「……いらっしゃいませ。お戻りをお待ちもうしておりました」


 受付は耳の長い獣人族で、奴隷の印が両腕に押し付けてある。随分古いもののようだ。

 かなり厳しくしつけられたのか、丁寧にゆっくりとおじぎをして挨拶をする。

 

「二十三の緑。承っております。直ぐにご案内いたします。こちらへどうぞ」

「さすがに レオルム殿は手際がいいようだ。すわっ! 行くぞ貴様ら!」

「静かにしろって隊長が言ってたよな……」

「隊長! 怒られるであります!」

「……あまり目立たないようにしてくれ」


 席に着くと、すぐさま料理が大量に運び込まれてくる。

 とてもではないが四人で食べきれる事を想定している量ではない。

 テーブルは広く、料理を並べるのに十分なスペースは確保されていた。


「お飲み物はいかがいたしましょうか」

「エールを四つくれぃ。まずはそれからだ」

「承知いたしました。直ぐにお持ちいたします」


 あっという間に飲み物が運び込まれ、全員席に着くと、隊長の合図とともに食事を開始した。


「よし、頂くとしよう! ビハインドスピンに乾杯!」

『乾杯!』

「恥ずかしいからやめてくれ……」

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