第四百八十七話 祝礼参加準備
「おい新人! うまくいったな! でかしたぞ! しかし休んではおれん!」
「えーと、隊長?」
「そうであります! 我々はなんと、パレードに遅れたのがバレて、祝礼組であります!
とほほ……」
「なんで遅れてない俺まで参加することに……お前と喋ってたからか?」
「ええい! それよりも全員、名前を名乗れーい! わしは隊長だ!」
「隊長って言う名前だったのか……?」
「自分はアルフォンスであります!」
「ふむ、貴様はエーだ」
「俺はミズガルドだ。いっぱい飲みたかったなぁ」
「ふむ、貴様はビーだ」
「俺は……ツインだ」
「ふむ、貴様はシー!」
『名前名乗った意味ないだろう!』
「いちいち覚えておれーん! すわっ、祝礼のやり方を教える!」
「わくわくであります!」
「いいかよく見ておれ。各々の武器をこう構えていく。まずはスウェイフラット!」
バランスを崩したような姿勢から平行に勢いよく戻る動きだ。アンバランスとバランスの両立。
「次にシェイプスウィフト……こうだ!」
片腕の中に武器を通し、素早く滑り込ませて一回転して武器を肩にかける。一連の流れが美しい。
「さらに……エリアルコンコード! とわっ!」
空中に武器を回転させて投げ、反対側の手でつかみ武器を掲げる。調和のとれた流れるような動きだ。
「よし、全員練習せい!」
「隊長ぉ! 何か最後に特別な姿勢が欲しいであります!」
「何ぃ? エー!」
「はいっ!」
「よい案だ。貴様ら、何かいい案はないか?」
「それより一杯飲みに行きてぇなぁ……座って飲む姿勢とかどうだ?」
「コラァ! やる気あるのか、ビー! ええい、シーは何かないか?」
「ポーズって言ってもなぁ……こういうのはどうだ?」
シーと呼ばれた男は銃口に指を入れ、クルクルと上空で回転させる。徐々に早くなっていき、上空へ高く
投げた。それを背面でキャッチする。
『格好いい!』
「よーし、特別な姿勢はそれにする! 名前を決めろ!」
「んじゃ、ビハインドスピン……かな」
「シー、貴様センスがあるな! すわっ、各自練習せい!」
全員しばらく祝礼用の練習に打ち込む。ビハインドスピンをエーとビーが苦戦しながら
練習しており、シーはそれ以外の方で苦戦していた。
一時間程練習して、隊長よりやめるよう合図が下る。
「よーし、全員ついてこい! まずは着替えだ! その後祝礼場まで向かうぞ!」
「隊長ぉ! ご飯はまだですか?」
「ばっかもーん! 終わった後に決まっとろう!」
「やれやれだな……」
「酒はお預けかぁ……」
全員走って更衣室へと向かう。
更衣室は大きな飛空船の中にあり、その一角を使用するよう命じられる。
全員武器を置き、兵装を変えると、祝礼用の弾が入っていない銃を渡された。
「実技用のものでは無い! 軽いから先ほどの姿勢も容易くできるだろう!」
「隊長ぉ! 自分のは重いであります!」
「懐かしいなぁ。バレット二十二式じゃねえか、これ」
「お前、戦闘経験あるのか?」
「当たり前だろ? 何年兵士やってると思ってるんだ?」
「そうか……手練れだったんだな」
「お前は新人みたいだが、いい筋肉の付き方してるな。戦いなれてるって
感じがするぜ」
「気のせいだ。ただの農民だよ」
「こら、貴様らぁ! 着替え終わったらちゃっちゃと整列せい!」
全員再び整列し、武器や装備を点検する隊長。
準備よしと頷き、再び移動を開始する。
「よーし、全員ついてこい! 行くぞぉー!」