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第四百七十九話 指導の約束

 温泉を出てしばらく歩いた先にある木のベンチのようなものに腰をかけているハクレイがいた。


「ハクレイ、ここにいたのか。てっきり温泉にブネと浸かっているものかと」

「ありゃ刺激が強すぎるわい。いやらしい意味では無いぞ。神々しさが強すぎるんじゃ」

「そ、そうなのか。別にどっちの意味でも構わないが……ハクレイ。お礼を言いたかったんだ。

俺の剣を受けてくれてありがとう。ニーメに根回しまでしてくれたみたいで」

「うむ。お主の力はまだまだ未完じゃ。特に魔族としての戦い方ができておらぬ。

妖魔は本来魔物を取り込み、その力を行使して戦う種族じゃ。教えられる者がいなくても

当然なんじゃが」

「そういえば俺の師匠は元人間。先生は妖魔だったな」

「ほう。それで武器の扱いや、妖術の扱いには長けるんじゃな。シフティス大陸に

向かう前に、わしが魔族としての戦い方を教えてやろう」

「本当か? それは助かる。だが……明日以降、明後日からでいいか?」

「構わんよ。そんなに長くはここに居れぬのだろう? 道中も含め少しずつ教えてやるかの」


 ハクレイは少し天を見上げると、腰を上げて動き出す。


「どれ、喉が渇いたし、娘たちにお茶でも貰いにいくかのう」

「なぁハクレイ。あんたはどうやってそれほど強くなったんだ」

「わしか? わしの大陸は昔から紛争、戦争ばかりじゃ。死なないためには強くならねばならぬ。

弱き魔族も強気魔族も、明日生きるために必死なんじゃ。環境が違い過ぎる。

それがシフティス大陸じゃ」



 ずっと紛争が続いている……か。

 もはや争う理由もわからないほど長く続いているのかな。

 

 ハクレイに礼を告げた後、きょろきょろと誰かを探しているメルザがいた。


「あーーーー! やっと見つけたぜ! ルイン! なんで勝手にどっかいっちまうんだよ」

「メルザがびしっと起きるまで時間があるかと思ってな。とはいっても大分時間が経ったか」

「なぁなぁ。俺様ニンファに会いにいきてーんだけど、だめか?」

「妖魔国か。久しぶりに行ってみようか。フェルドナージュ様の事も気がかりだし」

「行っていいか!? なら俺様……ファナにべんとー作ってもらいに行ってくる!」

「おいおい、走っていくと転ぶ……」


 すってんころりんするメルザ。ワンピースがめくれてあられもない姿に。


「……言わんこっちゃない。ほら」

「……見るなー! ばか!」

「仕方ないだろ。ほら、おぶってってやるからいくぞ」

「最初からおぶってもらえばよかった……イテテ」

「はっはっは。メルザは相変わらずだな。んじゃ一瞬で到着してやるぞ! 神魔解放! 

バネジャンプ!」


 一気に跳躍してルーンの安息所付近に着地する。紫電まで使用すると町の端から端まで

移動できるだろう。メルザを下すとパテパテと走り、再び転びそうになるのをサラが全身で

受け止めた。


「だから走るなって……」

「だってよー、急いで行きてーんだもん。ありがとな、サラ!」

「あぁ……可愛いメルザちゃんを全身で抱きとめるっていいわね……ルインはこんなことを堪能していたのね! ルインで試させて!」

「何言ってるんだ、サラ……」

「あらお帰りルイン。どうしたの?」

「稽古に行くんじゃないっしょ? シュッシュッ」

「これから久しぶりに妖魔の町に行きてーんだ。べんとー作ってくれよファナ!」

「あらいいわね。私も行こうかな」

『私も!』

「あー、レミも!」

「そういえばお前もいたんだよな……」

「ひっどーい! アイドルをのけ者にしたら、許さないんだからねっ!」

「まぁファナたちと仲良くしてるならよかったよ」

「この子面白いっしょ。全員の物まねできるし」

「一度会ったら声を真似れちゃうんだって。反則能力ね」


 レミもついてくる事になり、ファナ、サラ、ベルディア、メルザとパモも

合わせ、妖魔国へ向かう事になった。

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