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第四百七十八話 メルザに会えなくなる支度

 ニーメの鍛冶工房を後にした俺は、ハクレイ、ブネがいるであろう温泉へと来ていた。

 ファナたちはルーンの安息所で引き続きお菓子作りをしているようで、今日の温泉は空いているようだ。


「やっぱり混浴じゃなくて男女別の風呂場を作ってくれ……」

「ルイン、ようやく来たか。早く入れ」

「……なんで裸なんだよ。ハクレイはどうした?」

「刺激が強すぎるわいといいながらどこかへ行ってしまったぞ」

「いいからタオルを巻け! 自重しろ! 神の遣い!」


 無表情だが不満そうなブネ。とりあえず近くにあったタオルをぶん投げると、残った片手で受け取る。


「片腕では巻けぬ。貴様がやれ」

「はぁ……こんなのあいつらに見られたら何言われるか……よいしょっと。これでいいか」

「詳しくは湯につかってからだ。貴様は体を清めてからこい」


 温泉に入る前にどっと疲れた俺。体を洗おうとしていると、直ぐ近くにパモがいた!


「ぱみゅ!」

「おお、パモー! こっちの温泉にきてたんだな。久しぶりだ、会いたかったぞー! 

癒される……」

「ぱーみゅ!」


 ブネの疲れをパモでパモパモして回復した。やっぱり旅にパモがいないと癒しが足りないな。

 温泉にパモがそのままつかると沈んでしまうので、体を洗った後にパモを肩に乗せて

温泉につかる。


「ふう……ブネはいつからここにいるんだ」

「朝からだが、どうかしたか」

「お前やっぱ、異次元な存在だな……」

「それより、子はなしたのだろうな」

「子はなした……って俺男なんだから子供産めないけど」

「貴様はまったく。ちょっとこっちへ来い」

「ん? なんか嫌な予感がするから行きたくないんだけど……いてて、なんで髪を抜くんだ!」

「よし、これでよい。全部で五本か。後で使用する」

「は? 俺の髪の毛なんて何に使うんだ? まさか……」

「ほう、理解したのか」

「藁人形につけて釘を刺すつもりか!?」

「貴様の前世での祭りごとか」

「ブネにはギャグとして通じないんだな……」

「それより、メルザの腕の件だ。明日執り行う。覚悟はできているな」

「……ああ。できてるよ。それを伝えにきた。そして大事な話もだ」

「なんだ。前にも伝えた半年会えぬ事に変わりはない」

「お前も一緒にシフティス大陸に来てくれないか?」

「このブネを連れて行動するつもりか」

「そうだ。俺はメルザを守っていたい。だが、半年もの間、この町にいられるほど

状況は待ってはくれないようだ。地底も、地上も。それにメルザの父から受けた頼み

もあるからな」

「……いいだろう。イネービュ様に掛け合ってみよう……いや、掛け合わなくても

いいか。お気に入りの貴様がそう申すのであれば、同行しろと言われるに決まっている」

「……なんか悪いな。お前の意思を尊重していないみたいで」

「何を言っている。イネービュ様より命じられている事を実直にこなしているだけだ。

我々はあくまでイネービュ様の分体。ゲンドールの状況を把握するのもまた、イネービュ様の

ためになることだ」

「できる限り俺も協力はするつもりだが……シフティス大陸ってのは神の力も強く影響を

受けているのか?」

「そうだな、下位神も上位神も存在はするだろう。だがあの地は強者がひしめいている。

神ですら踏み込めない領域に達した者もいると聞くが」

「ブネにもあまりわからない土地柄なのか」

「絶対神は多くの神々に干渉しすぎないようにしている。考えても見ろ。宙域そのものを

管理するものが、細かい点にいちいち気を取ると思うか?」

「すまない。人で考えられる領域の範囲じゃなかったな……ブネ。明日からは

よろしく頼む。それと、もう一度念を押すぞ。温泉に浸かる時はタオルを巻け!」

「ふむ。仕方ない、そうするとしよう」


 最大限の忠告をし、温泉をパモと一緒に出て、ハクレイを探した。



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