第四十五話 闘技大会受付と闘技大会内容
それから幾日か経過し――――デイスペル国に到着した俺たちは、早速宿を取る。
宿の場所はライラロさんおすすめの場所。
値段は張るが、会場まで近いうえ、綺麗で料理も美味しいらしい。
シュウさんたちはもう少し安いところにするようだ。
「それじゃここで。道中楽しかったよ、シュウさん」
「ああ、俺もだ。うちのメンバーは寡黙な奴が多いからな」
「……すまん」
「別にせめてないさ。それじゃまたな!」
俺たちは別れを告げると目的の宿屋を目指す。
――しばらく歩くと【宿屋インフィニティ闘技場覇者ご用達】と書かれた看板があった。
宿に入ると丸っとした女性が出迎える。
「まぁライラロちゃん。待ってたわ! そちらがお弟子さん?」
「マリーン、会いたかったわぁ! そうそう、こっちの赤いのが不肖の弟子。
こ憎ったらしいけど可愛いのよねぇ……それでそっちが彼氏のルイン。
大きいのがファナって子。そっちの坊やがニーメ君よ」
「か、か、彼氏じゃねーし! こいつらは俺様の子分だし!」
「私の印象ってそれだけかぁ……」
「僕、坊やって年齢じゃないんだけどなぁ」
三者三様の嘆きである。
「まぁまぁ、遠い所からよくきたわね。今部屋に案内するわ!」
マリーンさんはさらっと話を流すと俺たちを案内してくれた。
ライラロさんのことはよくわかってらっしゃる。
――部屋に案内され荷物を置いて一息つく。
今日はもう遅いので明日闘技大会の受付に行こう。
そこから船旅をとるためぐっすりと全員眠りに着いた。
――そして翌朝。マリーンさんの作ってくれた美味しい朝食を頂いてから
全員で闘技大会付近へ。
「まだ大会前なのに相当賑わってるわね」
既に闘技大会会場前は店が立ち並び、大混雑している。
これからしばらく毎日がこのお祭り騒ぎのようだ。
「受付はあっちね。団体戦は反対側よ。
さて、私の役目もこれで終わりね。あんたたちとの旅
なかなか楽しかったわ! これでやっとベルディスにお礼を……うふふっ」
最後に不吉な笑いを残してライラロさんはどこかに行ってしまった。
「んじゃ俺たちも行くか」
ニーメは闘技大会に参加しないが一緒について行くようだ。
四人で『おー!』と掛け声を上げ、個人戦の受付へ向かう。
「個人戦参加希望の方ですね。ルールや参加形式はご存じでしょうか?」
「いえ、詳しく教えて頂けますか?」
「承知いたしました。ではまず……」
受付の人に詳しい話を聞いた。
個人戦ではまず、三つのパートに分かれてエントリーするらしい。
近接戦術飛び道具禁止パート、遠距離戦術のみパート。
それからなんでもアリパート。
より楽しんでもらうための趣向らしい。
一度に複数のパートに申し込みも可能で、それぞれ日付が違うようだ。
団体戦でも同じパートがある。
世界中の猛者が参加するのは何でもアリパートらしい。
俺は個人で近接パートと何でもありを。
メルザは遠距離パートを。
ファナは近接戦パートと何でもありパートを選んだ。
結局メルザはライラロさんに厳しく言われて、個人戦も参加することに。
団体戦はもちろん何でもあり一択だ。
……受付も終わり、大会まで日数もせまってきた。
大会まではより連携を深めるべく近隣を見て回るつもりだ。
パモを助けるべく向かったデイスペル国。俺たちの闘技大会がいよいよ迫ってきている。