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第四百六十七話  レミの声真似

 アビオラとの密談を済ませたルインたちは、ルクス傭兵団の力を借りて、バルバロッサの町へと

来ていた。

 いくつか目的はあったが、あの町は安全という情報を確かめる事も目的の一つ。

 町へ到着すると、以前治癒院へ連れて行ってくれた兵士が気さくに話しかけてきた。


「おや、君は……以前重傷者を連れてきた人だね。そちらの子がそうだったな。元気になったみたいで

よかったじゃないか」

「シュイオン先生と仲間のおかげだ。それと言いにくいんだが……」

「先生のことは聞いているよ。医療に熱心なのはわかるが、この町ではな……こちらの事は気にすることはない。治癒院は教会が買い取ったようだから先生もお金には困らないだろうし」

「どのみち俺たちの町で不自由させるつもりはないさ。体力のありそうな助手もいるし」

「しかしなぁ。レミちゃんまでいなくなるとは思わなかったよ。あの子、人気があったんだ。

兵士の間でな」

「そ、そうか。それはとても残念だ。買い物がしたいので町に入りたいんだが、入場するのにお金が必要か?」

「いや、君らはまだ滞在期間中だから不要だよ。通ってくれ」


 兵士に別れを告げ、町へ入る。レミが人気ねぇ……確かに見た目はいいし、アイドルをやっている

らしいが……どうなんだ? 俺にはさっぱりわからない世界だ。


「……それでレミ、聞いてたんだろ? いいのか、答えなくて」


 封印からひょいっとレミが出てきた。

 ううーんと大きな伸びをしているが、随分とくつろいでんな、おい! 


「えぇー? アイドルがそんな簡単に出てくるわけないしぃー? この町はもう、殆ど人気取っちゃった

から知らなぁーい」

「アイドルってそういうもんなのか? あんまり詳しくないんだが」

「お金になるならやるしぃー、ファンは大事だけどぉー。でもでもやりすぎちゃいけないんだよぉ? 

ルインもやってみるぅ?」

「あのな。その絶妙に緩い喋り方はなんとかならないのか? 少し調子が狂うぞ」

「えぇー? こういうの好きじゃないとかぁ。遅れてるぅ。じゃあじゃあ! 俺様さー、腹減ったよー」


 なんと……メルザの声そのままに話しかけてくるレミ。見ないで聞けば確実に間違えるレベルだ。

 恐ろしい能力を持ってる……。


「今の俺様の声か? 俺様の声ってあんな風に聞こえてたのか?」

「ああ……自分の声って実際聞くと違和感あるよな。しかし今のは文句のつけようがないくらいメルザの声だった」

「へへへ。照れるぜ。なぁなぁ、早く食い物買いにいこーぜ!」

「それは俺様も賛成だぜ! 腹減ったよー」

「腹減ったー」

「おいやめろ! どっちがどっちだかわからなくなるだろ!」


 これまた絶妙なタイミングで、そうなのかーと言いながら歩きだす二人。

 

「さすがに俺の声は出せないだろ」

「そんなこちはない。出せるに決まってるだろ?」

「すげーなレミ! ルインそっくりだぞ! どうやってんだ?」

「それはな。お前を愛しているから出来るんだ、メルザ」


 ぼんっと音をたてて真っ赤になるメルザ。人の声でやめてくんない? 


「うふふ。あー面白かったー! それじゃあレミはルインの中で休んでるから、食べ物いーーっぱい

買っておいてね!」

「あ、おい! まったく、なんて勝手なやつだ」

「いいじゃねーか。ルインはちょっとレミに冷たくねーか?」

「闘技大会の事があったからなぁ……あいつにからかわれると、どうしてもあの時のことを

思い返すんだ。レミっていうより、キャットマイルドなんだけど。さぁそれより、早くファナたちの

お土産を買って戻ろう。ルクス傭兵団をあまり待たせるわけにもいかないし」

「ああ! そーだな!」


 メルザと二人、大量のお土産を購入した。懐は一応レミのおかげで温かい。

 戻った後、あいつらに一体なんて言われるのか……考えただけで少し胃が痛んだ。

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