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第四百四十七話 インステッド村跡地内部

 メルザが泣き止むのを確認し、村の跡地内部にゆっくりと足を踏み入れる。

 インステッド村跡地……地面にえぐれたような跡がいくつもある。しかしかなり

激しい戦闘が行われたようには見えない。一方的に……か。

 あいつらの目的は一体なんだ? 奴隷を集める事か? それともやはり……神が絡んでいるのか。

 もっと情報収集に長ける者が俺たちには必要だ。ルシアさんたちのようなまっとうなものではなく。

 そう、エッジマールが使用する直属の影のような……。


「メルザ、少し見覚えのある場所、あるか?」

「うーん。確か噴水みてーのが町の中央にあったんだけどよ。無くなっちまってる」

「噴水……ってことは地下水脈があるエリアなのか。湧き水を噴水利用していたのかな」

「どうかなー。お父ちゃんがやってた仕事は警備だったから、俺様にはよくわからねー。

でも村はどんどん人が減ってたんだ。食べ物があんまし取れなくてよ」

「この辺りじゃ無理もない。海も遠いし何より地質が悪い。水が……待てよ、やはりおかしいな。

もし湧き水なら地層はもっと潤っていたはず。今湧き水も見当たらず地質が悪いとなると……誰かの

能力で維持していたんじゃないか?」


 メルザの感じからして、ご近所付き合いてきなものもあまりなかったようにみえる。

 村ってのは本来繋がりが強いように思えるが、それは食料などが充実していればの話だ。

 食うに困るような村であれば、それなりに互いを警戒し合うか。

 

「わからねーけど、確か……変な爺さんが住んでるって聞いたことはあったな。

なんかすげー術が使えるって」

「っ! それだ。恐らくここを狙った理由。名前とかわからないか?」

「うーん。俺様覚えてなくてよ。すまねー」

「いや、いい。今は弔いを済まそう。メルザの家の辺りを探すにはどうしたらいいかな」

「んーと村のもっとずっと奥の方だ」

「わかった。先生たちはここで待っててくれるか? 大群のアンデッドに襲われても困るし、俺一人なら

一気に戻ってこれるから」

「わかりました。十分気を付けて行って来てくださいね」

「ああ。もちろんだ。みんな、頼む」


 メルザと二人、村の跡地奥へと進んで行く。ボロボロの廃屋などが点在しており、辺りには風が吹く

音しかしない。

 地面には草が生い茂り、物悲しさだけが残っている。こんなところ、一人で

きたらいたたまれなかっただろう。


 廃屋の隙間などを警戒しながら進むが、今のところターゲットに反応などはない。

 アンデッドの巣窟と聞いていたが、ロジアール村の方角だけなのだろうか? 

 あえてここの情報は流していないがミリルの話だと、ここら一帯が大幅なアンデッドの巣窟という

話だった。十分注意するようにも言われたが……。


「これは……凄い深い斬撃の後?」

「ああ、あああ……これ、見覚えが、うぅ……」

「大丈夫か? メルザ! しっかりしろ!」

「うぅ、これ……俺様の腕を斬ったやつだ……俺様、ここで意識を失ったんだ」

「これで? 飛んでもない深い幅にとんでもない長さの斬撃だぞ? こんなの、三夜の町で

出会った奴以上の斬撃だろう。規格外すぎる」


 その斬撃の跡は、数百メートルにも及ぶ長い、底が見えない程の深い溝を残していた。

 食らえば……確実に死ぬ。これをわずかにかすめただけで済んだのなら、相当な幸運だ。


「これを放ったやつに出会えば、死ぬな」

「ああ……。俺様、こんなのに襲われたんだな。生きてるのが不思議なくれーだ」

「もう少し、先へ進もう」

「ああ。もうちょっと進めば俺様が住んでた家のあたりだ、多分」

「わかった。民家周辺なら……覚悟していこう」


 恐ろしい溝跡を裂け、俺たちはさらに奥へと進んだ。

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