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第四十二話 ベッツェンへ到着

 俺たちは一か月程かけてようやくベッツェンへ到着した。

 道中色々ありすぎたが今はあまり考えたくない。


「着いたわね……どうにか……」

「はい……本当どうにかでしたね」

「腹、減ったなぁ……」

「私はさっさと身体洗いたいわね」

「僕もうへとへとだよぉ……」

「ま、まぁ何はともあれ無事に着いたし宿をとりましょ!」

『無事じゃない!』


 全員声を揃えて言った。

 ライラロさんは「おほほほ」と笑いながら、「宿を取ってくるわね」と急ぎ足で消えた。

 

 道中色々あったのはぶっちゃけ全部ライラロさんのせいだった。

 無茶苦茶な人だとは思っていたんだが。

 ライラロさんが凄い速さで戻ってきた。


「宿をとってきたわよー! てへっ」


 俺たちはとぼとぼと宿へと向かう。

 ベッツェンはトリノポートの首都だけあってかなり大きい都市だ。 

 大会まで時間がないのであまり長居はできないが、今度ゆっくり観光してみたい。


 ライラロさんに案内された宿に入る。

 看板にはレーデルの宿泊所とかかれている。


「いらっしゃいませ。五名様ですね。

随分お疲れのご様子です。直ぐにお部屋までご案内致します」


 実に紳士風の男性が部屋まで案内してくれた。助かる。

 俺たちは綺麗な五人部屋に案内される。

 

 椅子が五人分と長テーブルもある。

 食事は部屋で食べれるスタイルのようだ。


「お食事はいつ頃お持ちしましょうか? 空腹のようでしたら

取り急ぎお作りしてお持ちする事も可能です」

「じゃあお願いしてもいいですか? 俺たちもう腹ペコで」

「承知いたしました。出来上がりましたらお持ち致しますので

お待ちください」


 案内してくれた方は少し会釈をして部屋を出ていく。

 凄いな。なんせ三夜の町の、せっちゃんのインパクトが強すぎる。

 いやせっちゃんはいい骨なんだがなぁ。


 しばらくすると、温かいスープとパン、サラダのような物と

この世界に来てから初めて食べる魚料理があった。

 

 そうか、ここ港町だもんな。

 米が恋しい……米さえあれば寿司も食べれそうなのに。


 料理はどれも新鮮で美味しく、メルザはもっと食べたいようだ。

 夜に少し歩いてみるか。明日には出発しないといけないしな。

 案内人が部屋をノックし食器類を下げにきた。


「予約者様の言伝どおり、お着替えをお持ちしました。

お召し物は洗濯いたしますのでお着替えをお願いします」


 ライラロさんが気を遣ってか、俺たちの着替え分もお金を払ってくれていたようだ。

 着替えを受け取ると見覚えのあるような服だった。

 これって……浴衣だよな? 


「本日夜は、祭り事を催しておりますのでよければそちらを着用してお楽しみください」


 浴衣に祭りか……これは嬉しいサプライズだな。

 ファナは水浴びに行きたいとのことなので、俺たちは全員、水場を借りることにした。

 やっぱ風呂なんてどこの世界にでもあるわけじゃないよな。

 ……水浴びをしてさっぱりしてから女性陣を待つ。

 ニーメもさっぱりしてだいぶ疲れもとれてきたようだ。

 こちらを見てにっこりしている。


 しばらくして着がえたメルザとファナがきた……着物越しだと余計に

デカく見える。何がとは言わない。ぶんぶんと首を横に振る。

イテテッ! ファナを見てたらメルザに思い切り足を踏みつけられた。


「えっと皆で外を回ってみようか。珍しい物もあるかもしれないし」

「そうだね、行こう!」

「あら、その前に何か言うことはないかしら、二人とも?」


メルザもファナも腕を組んで協調する。


「あぁ、その……二人ともすごく、綺麗だ」

「うん、お姉ちゃん達きれい!」


 俺は少し赤くなって言った。

 メルザもボンっと赤くなり横を向く。

 ファナは当然よといったポーズをとっている。

 流石です。


 メルザは紅色の丈が長めの浴衣でファナは藍色の浴衣だ。

 髪留めとあってよく似合う。

 俺たちは宿の店主に一言声を掛け、町中へ赴いた。


「すげー、ルイン。食べ物だらけだ! いっぱい食おーぜ!」

「さっき食べたばっかだろ……まぁあれじゃメルザには足りないかな」

「全然足りねーしよ。なんなら船に持ち込む分も買っていこう!」

「ニーメとファナもまだ食べるか?」

「うん、珍しいもの沢山あるしね」

「そうね、私もちょっと足りないかも」


 俺たちは祭り中を食べ歩いて回り、ひとときの時間を満喫した。


 日もだいぶ落ちて、人がかなり増えてきたので、メルザは俺の裾をつかんで

離さなかった。

 裾じゃ危ないのでメルザの小さい手をしっかりと握ってやった。

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