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第四百四十一話 ベルディス、ハーヴァルVSイド、アド

 舞台の上で構える両者。どちらも突撃はせず冷静に相手の動きを見る。


 ベルディスはラフスタイル。左手で自分の頭をごきりと鳴らしている。

 ハーヴァルはベルディスの左後方で、両腕を組んだまま微動だにしていない。

 対するイド、アドはどちらもやや腰を静め、両手を上に挙げている。

 

「いかにもパワーありってか。くだらねぇな」

「ここはひとつ、鼻っ面へし折ってやるか!」


 先手を仕掛けたのはまさかの後方ハーヴァル。普段は金ぴかの鎧を身にまとっている事もあり、俊敏

そうにはまるで見えない……が、一瞬で小柄な方のアドへと下段回し蹴りをお見舞いする。


「ちぃ、速い! だがそんな程度で」

「アド! ばかもの! 上だ!」

「なっ……」


 ハーヴァルの動きをまったく見ないでベルディスはアドの視線がハーヴァルへとうつったのを見て上空へ

飛翔し、斜め蹴りをアドへと食らわせる動きへ移っていた。

 単純な格闘センスだけではなく、鋭い状況判断と行動予測それに抜群のタイミングを兼ね備えた一撃が

アドへと突き刺さった。後方へ大きく吹き飛ぶアド。

 とっさに上段回し蹴りをけん制で放ちながら後退するイド。


「おいおい、軽い挨拶しただけでそんな後方へ引き下がるか?」

「悪いなベルディス。ちょいと鎧つけてる習慣が長すぎて足技が鈍ってらぁ」

「おめぇ、そんなんだから小僧に足元救われたんだぞ」

「それ、お前が言うか!? あの形態でやられただろ!」

「いやぁ、あいつの一撃をまともに受けたらどの程度いてぇのか、知りたくなってよ」

「おい貴様ら! 対峙中になんだその余裕な態度は! もう許せん。いくぞ、アド!」

「わかってる。くそ……油断した」

「油断ねぇ。その程度で本当に俺たち二人と互角かそれ以上だってのか」

【神魔解放!】

「ほう。小僧の形態と同じか。おもしれぇ」

「ありゃ確かに反則だな。どうやってるかわかるか?」

「うーん。わからねぇな。なんか引き金みたいなのが必要っぽい……あん? 

なんだ、動かなくなったぞ」


 突如としてイドとアドの動きが止まる。それと同時に上空へ現れるスキアラ。


「ふむ。たった一撃で神魔解放させたか。汝らを甘く見すぎていたようだ。

汝らの精神はイネービュのお気に入りよりずっと上。神魔解放するに値するであろう。

あちらで黙想している青年はまだまだ。試練が必要だろう。

背中に強い衝撃が走るが直ぐ動ける。参るぞ」

「あん? 何言ってんだおっさ……」

【神魔解放】



 一瞬時がとまったかのようにして、スキアラの話を聞いた二人。

 その直後背中に衝撃が走るとともに両者神魔解放状態となる。


 訳が分からなくなった……と感じたのも一瞬。

 すぐさま迫り来るイド、アドへ身構える。


「覇道王道蹴破」

「飛翔円烈撃!」


「動きがわかる。デカイ方が足を鋭く伸ばし広い範囲に攻撃しようとする……か」

「軽い方は上だ。さっきの真似してんのか、こいつらは」


 ベルディス、ハーヴァル両者左右に大きくわかれ、ハーヴァルは上空へ、ベルディスは地面すれすれへと身をかがめる。

 

「ゴリアテ! シュヴェアーエルボゲン!」

風牙蹴雷(フウガシュウライ)!」


 上空に飛翔したハーヴァルは、局所的に肘を肥大化させ強烈なエルボーを上空のイドへ突き立てる。

 それと同時に中断蹴りを放っていたアドへ向けてベルディスが下方よりスライディングの形で滑り込み

上空へぶち上げる鋭い蹴り技を、稲光を発しながら放つと、アドは大きく状態を浮かせてハーヴァルの

肘へと吸い込まれていく。


『惨劇のプレス』


 両者の技が双方をプレスし技が重なりあった。


「が……は」

「うぐっ……まさか……負け……」

「何言ってんだ。見下した時点でお前らの負け確だろ」

「俺たちはそんなことしないが、そもそも勝ってからだろ、相手を見下すならよ。

お前らは別に口先三順野郎じゃないが、雑魚ほど強がってよく吠えるものさ」


 しかし初めての神魔解放の影響で膝をつく二人。苦戦せず倒しはしたが形態にはまだまだ慣れていない。


「ふむ。見事だ。神魔解放を初めて使用したにも関わらずそこまでの連携が出来るか」

「連携なんてしてねえよ」

「勝手に合っちまうんだ、俺たちは。気持ち悪いからやらないようにしてるだけ。ライラロのやつがいちいちキレるからな」

「ふうむ、汝らは不思議だな。まぁよい。今のは神兵の中でも末端。もっと修行になる相手を呼ぶ」

「そいつは楽しみだがよ、ちょいとばっかし」

「休憩だ……たはー、この状態、たまんねえな」


 二人とも結局、大の字になって休みだした。

 二人とも顔を見合わせて少し微笑む。無理もない。負けた相手と再選するとき、より強い状態で戦える。

 戦士にとって進歩はこれ以上ない喜びなのだから。

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